モーツァルトはやっぱりピアノ協奏曲が最高・・・小菅優&東京交響楽団:モーツァルト・マチネ 第44回@ミューザ川崎シンフォニーホール 2021.3.6
最初は珍しいベートーヴェンのピアノ協奏曲 第0番です。もちろん、初めて聴きました。メロディー部分はオーケストラが受け持ち、東響の弦楽セクションが素晴らしいアンサンブルの響きを聴かせてくれます。その東響の美しい響きの上を小菅優のピアノが忙しく駆け巡ります。なかなかの力演でした。ボン時代のベートーヴェン少年(13~14歳)が書いた作品で、まだ、モーツァルト風でさえもなく、バロック的な音楽です。そのまだ未熟とも思える音楽を小菅優は驚異的なピアノの素晴らしく高潮した演奏で圧倒してくれました。
次はモーツァルトのピアノ協奏曲 第23番です。先ほどのベートーヴェンの協奏曲に比べて、各段に成熟した音楽です。モーツァルトはピアノ協奏曲が最高に素晴らしいことを実感させられます。小菅優はそのモーツァルトを実に表現力豊かに演奏します。惜しむらくはタッチが少し重くて、モーツァルトの軽みに至り切れていないことです。それは贅沢過ぎる注文かもしれません。それでも第3楽章の勢いある演奏は圧巻でした。小菅優の音楽性ある表現力のなせる技です。
全体に東響の弦楽アンサンブルの素晴らしさと小菅優の豊かな音楽性、そして、木管とピアノの対話の美しさが光るコンサートに大変満足しました。
今日のプログラムは以下です。
ピアノ(弾き振り):小菅優
管弦楽:東京交響楽団 コンサートマスター:水谷晃
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲 第0番 変ホ長調 WoO4
モーツァルト:ピアノ協奏曲 第23番 イ長調 K.488
休憩なし
最後に予習について、まとめておきます。
1曲目のベートーヴェンのピアノ協奏曲 第0番を予習したCDは以下です。
ロナルド・ブラウティハム、アンドリュー・パロット指揮ノールショピング交響楽団 2008年10月 ルイス・デ・ギア・コンサートホール、ノールショピング、スウェーデン (ブラウティハムによるオーケストラパート再構成) セッション録音
ピアニスト自身がオーケストレーションした演奏です。音質が素晴らしいです。
2曲目のモーツァルトのピアノ協奏曲 第23番を予習したCDは以下です。
クリフォード・カーゾン、ジョージ・セル指揮ウィーン・フィル 1964年12月7~10日、ゾフィエンザール セッション録音
クリフォード・カーゾンはさすがに素晴らしいピアノの響きです。それをサポートするセル指揮のウィーン・フィルの演奏も文句なし。もっとも、saraiが最も愛するのはハスキルとミュンシュの1959年の演奏です(パリ国立管弦楽団、モントルーでのライヴ録音)。
↓ saraiのブログを応援してくれるかたはポチっとクリックしてsaraiを元気づけてね
いいね!
- 関連記事
-
- 辻彩奈の美麗な響きのヴァイオリンで聴くフランクの名作@紀尾井ホール 2021.3.12
- モーツァルトはやっぱりピアノ協奏曲が最高・・・小菅優&東京交響楽団:モーツァルト・マチネ 第44回@ミューザ川崎シンフォニーホール 2021.3.6
- ゴルトベルク変奏曲はやっぱり最高! 曽根麻矢子 バッハ 連続演奏会@ハクジュホール(Hakuju Hall) 2021.3.4