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北村朋幹凄し!徹底した個性派ピアニストに驚愕 井上道義&東響@サントリーホール 2021.3.27

今日のコンサートは東響の美しいアンサンブルを楽しみに足を運びました。その目的は果たされましたが、若手ピアニスト、北村朋幹(名前はともきと言うんだそうです)の個性的で実にインパクトのあるピアノ演奏にすっかり、魅了されました。ベートーヴェンは予習でも聴いたアラウのようなドイツ的な重厚な響きが好みですが、そういうことではなくて、北村朋幹のような独自の音楽観での瑞々しい演奏に接すると無性に嬉しくなります。これまで聴いたピアニストでは、ピョートル・アンデルジェフスキに似たタイプに思えますが、それ以上に自分自身で考え抜いた構想の音楽を披瀝できるところに驚きを禁じ得ません。ベートーヴェンのピアノ協奏曲 第4番の冒頭の独奏パートを聴いて、おおっと驚きます。弱音でしみじみとした表現の何とも美しいこと。冒頭の独奏でこの曲のあり方を決めてしまったかのように思えます。事実、続くオーケストラのパートもその路線上の音楽です。ピアノの独奏を引き継いだ指揮の井上道義と東響の演奏も見事ですけどね。北村朋幹のピアノはざっくりと一言で言えば、ピュアーでリリシズムに満ちた音楽表現です。スケール感とか、重量感とかの表現とは一線を画しています。しかし、オーケストラと協奏しても、そのきらきらした存在感は色を失うことはありません。明快なタッチでベートーヴェンの本質に切り込んでいきます。もしかしたら、ベートーヴェンは大げさな音楽ではなくて、こういうリリシズムにあふれた音楽を作り上げたんじゃないかという説得力に満ちています。ベートーヴェンの時代のフォルテピアノでは、こういう軽快で繊細な音楽こそがあり得た音楽表現であったという思いに駆られます。それにしても、北村朋幹のピアノの抒情感にあふれた美しく、粒立ちのよい響きには参ります。瑞々しさにあふれた第1楽章に大変、感銘を覚えました。第2楽章のオーケストラとの対話でも、北村朋幹のピアノのリリシズムは冴え渡ります。いつもはこの楽章はオーケストラと対峙する存在として、ピアノがオーケストラに抗っているように感じますが、今日は違って聴こえます。やさしく寄り添いあっているように感じます。優しく対話ながら、融合していく過程を聴くかの如くです。一転して、第3楽章は軽やかに疾走していきます。例えれば、ジャズのノリのような感覚に陥ります。それにしても、北村朋幹のピアノの軽やかなタッチはまるで作曲家自身が即興的に演奏しているように錯覚します。ベートーヴェンというよりもモーツァルト的な雰囲気です。軽やかな疾走の果てに心地よいフィナーレです。こんなベートーヴェンがあったとは思いもしませんでした。素晴らしい演奏を聴かせてもらいました。恐るべき若手ピアニストに脱帽! 彼が弾くモーツァルトが聴きたくなりました。もちろん、ピアノ協奏曲です。それにシューマンの独奏曲も聴きたいと思っていたら、なんとアンコール曲がシューマンのような抒情に満ちた曲です。うっとりと聴いていました。後で調べると、シューマンの子供のためのピアノ曲でした。
コロナ禍で日本人演奏家を聴く機会が増えて、逸材が多くいることに今さらながら驚きます。特にピアニストはみな素晴らし過ぎて、贔屓が増え過ぎて、そのフォローに悲鳴を挙げたくなる感じです。もちろん、嬉しい悲鳴です。

後半は大編成のオーケストラに衣替えしてのショスタコーヴィチの交響曲です。痛烈で豪快な演奏は圧巻です。ただ、ショスタコーヴィチとしてはあまりに能天気に思えます。演奏は派手な井上道義の指揮、東響の低弦の底力と高弦の美しいアンサンブルがフルに機能して、素晴らしいとしか言えません。演奏は100点、音楽自体は50点かな。第4番とか、第8番とか、第10番とかだったら、どうだったんでしょう。それにしても今日のプログラムは全体に短かったですね。いくら拍手しても軽く8時前には完了。コロナ禍では最良のプログラムかもしれません。とは言え、とても満足できたコンサートでした。


今日のプログラムは以下のとおりでした。

  指揮:井上道義
  ピアノ:北村朋幹
  管弦楽:東京交響楽団 コンサートマスター:グレブ・ニキティン

  ベートーヴェン : ピアノ協奏曲 第4番 ト長調 Op.58

  《アンコール》シューマン:『子どものためのアルバム』Op.68より 第15曲「春の歌」 

  《休憩》

  ショスタコーヴィチ : 交響曲 第6番 ロ短調 Op.54


最後に予習について、まとめておきます。

1曲目のベートーヴェンのピアノ協奏曲 第4番を予習したCDは以下です。

  クラウディオ・アラウ、ベルナルト・ハイティンク指揮アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団 1964年4月 アムステルダム、コンセルトヘボウ セッション録音

何度聴いても素晴らしい。アラウの重厚で溜めのきいたピアノとハイティンクの安定した指揮でアムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団の美しい響きとくれば、何を言うこともありません。第2楽章のピアノとオーケストラの対話の素晴らしいことが特筆されます。


2曲目のショスタコーヴィチの交響曲 第6番を予習したCDは以下です。

  エフゲニ・ムラヴィンスキー指揮レニングラード・フィル 1972年1月27日、モスクワ音楽院大ホール ライヴ録音

この曲を初演したムラヴィンスキーとレニングラード・フィルはさすがに文句ない演奏です。


閑話休題。サントリーホールのあるアークヒルズ横の桜坂です。

2021032701.jpg



今は満開の桜です。コロナ禍で見物の人も少ないです。

2021032702.jpg



アークヒルズの高層ビルに桜が映えています。

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さっと見て、さっと立ち去りました。コンサート前のちょっとした楽しみでした。



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オペラ・美術が大好きでヨーロッパの旅にはまっています。音楽の聖地ウィーンが中心で、イタリア、フランス、ドイツも巡っています。国内外のオペラ・コンサートの体験もレポートします。

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最終公演に行きますが、ムーティ&ウィーン・フィルは渾身の力で凄い演奏を聴かせてくれますよ。特にシューベルトは有終の

11/09 22:13 sarai

尻上がりに素晴らしくなりました!
あの弦の響きにもうハマるのですよ!
あと2公演ありますが、もう既に同じプログラムを2回演奏しているので、ますます良くなるか、ち

11/09 10:56 えりちゃ

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教えて下さって嬉しいです
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