モーツァルトの楽興、ここに極まれり・・・太田 弦&山根一仁&東京交響楽団:モーツァルト・マチネ 第45回@ミューザ川崎シンフォニーホール 2021.5.1
最初のモーツァルトの交響曲 第32番から、爽やかな春風を思わせるモーツァルトの佳曲が聴けます。モーツァルトの作品にしては少し編成が大きい(12,10,8,6,4)アンサンブルですが、決して、もたれるようなところがありません。3楽章が切れ目なく演奏されて、そよかぜが吹くようにあっという間に短い曲が終わります。素晴らしい演奏でした。
次はモーツァルトのヴァイオリン協奏曲 第3番。東響のアンサンブルは実に素晴らしいです。山根一仁のヴァイオリンは多分、初聴きです。その響きに何か違和感があります。よくよく聴くと、ノンヴィブラートで弾いていますね。そう言えば、東響もほぼノンヴィブラートで合わせています。10代のモーツァルトが書いた作品ですが、素晴らしい曲、素晴らしい演奏にうっとりと聴き入りました。
最後はモーツァルトの交響曲 第36番 「リンツ」。これは単に爽やかというだけでなくて、聴き応え十分。モーツァルトがウィーンに拠点を移し、コンスタンツェと結婚した後の作品だけあって、とても充実しています。リンツに滞在中、4日間で書き上げたそうですが、とてもそうは思えない作品です。モーツァルトの交響曲はこの作品以降は次元が異なるレベルに達しています。第1楽章の流麗な演奏に魅了されます。第2楽章もとても美しいのですが、あまりの美しさに時折、寝落ちします。第3楽章のメヌエットはさっと通り過ぎていきます。そして、第4楽章の颯爽とした演奏に耳を奪われます。爽やかに高潮してフィナーレ。太田 弦の的確な指揮、東響の素晴らしいアンサンブルで見事なモーツァルトでした。
今日のプログラムは以下です。
指揮:太田 弦
ヴァイオリン:山根一仁
管弦楽:東京交響楽団 コンサートマスター:水谷晃
モーツァルト:交響曲 第32番 ト長調 K.318
モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲 第3番 ト長調 K.216
モーツァルト:交響曲 第36番 ハ長調 K.425「リンツ」
休憩なし
最後に予習について、まとめておきます。
1曲目のモーツァルトの交響曲 第32番を予習したCDは以下です。
ジェイムズ・レヴァイン指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 1987年12月 ウィーン セッション録音
これはウィーン・フィルがいい意味で弾き飛ばしている感じの演奏です。これがモーツァルトなのねって、妙に納得します。
2曲目のモーツァルトのヴァイオリン協奏曲 第3番を予習したCDは以下です。
アンネ・ゾフィー・ムター、ロンドン・フィルハーモニック 2005年7月、ロンドン、アビーロード第1スタジオ セッション録音
ムター、円熟の演奏。文句なし。
3曲目のモーツァルトの交響曲 第36番 「リンツ」を予習したCDは以下です。
ヨーゼフ・クリップス指揮アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団 1972年6月 セッション録音
実に優雅な演奏。最晩年のクリップスは素晴らしい遺産を残してくれました。
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