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伊藤恵&小菅優の見事なモーツァルト with 秋山和慶&新日本フィルハーモニー交響楽団@サントリーホール 2021.5.20

前半のプログラムは若きモーツァルトの傑作、2台のピアノのための協奏曲です。極め付きのピアノの達人、伊藤恵と小菅優が弾くのですから、素晴らしいに決まっています。とりわけ、微笑みを浮かべながら、余裕でピアノを弾く伊藤恵の名技には魅了されずにはいられません。2台のピアノは交互にほぼ同じようなパッセージを弾いていきますが、小菅優も伊藤恵のピアノの完全コピーのような素晴らしい演奏です。多分、目をつぶっていたら、どちらが弾いているか、分からないかもしれません。モーツァルトも、自身と姉ナンネルでこのような完璧なデュオを弾こうと思って、作曲したんでしょう。そういえば、この曲の決定的な演奏はクララ・ハスキルとゲザ・アンダの二人の演奏でしたが、ハスキルの格調高いピアノに呼応したアンダのピアノの響きが次第にハスキルのピアノと同質化したことを思い出します。現代の達人の二人は最初から同質化したピアノの響きを聴かせてくれました。実は細部の演奏についてはよく思い出せません。二人のピアノの演奏に完全に聴き入っていたので、その瞬間・瞬間の美しい音楽に入り込み、全体を鳥瞰する余裕がなかったんです。ある意味、一瞬で終わった感じの演奏でした。残ったのは至福感のみ・・・これこそが音楽の極致かな。オーケストラはピアノが鳴っていないときのみ聴いただけですが、弦の美しい響きがなんとも素晴らしかった印象です。
不満だったのは、二人の達人がいたのにアンコールでピアノのデュオを聴かせてくれなかったこと。期待したんですけどね。モーツァルトの2台のピアノのためのソナタなんて、なかなか聴けないでしょう・・・。お二人なら、そんなに練習しなくても簡単に弾けるでしょうに。

後半のプログラムはR.シュトラウスのアルプス交響曲。R.シュトラウスが作曲した最後の交響詩です。もっとも交響詩と題されている作品では、その17年前に書かれた英雄の生涯が最後のものではあります。この作品を書いた時点、1915年には、既にオペラ作品は、サロメ、エレクトラ、薔薇の騎士、ナクソス島のアリアドネという代表的ともいえるものが作曲されており、アルプス交響曲以降は、ほぼ、オペラの作曲に専念することになります。ということで、アルプス交響曲はR.シュトラウスの管弦楽作品でとても重要な作品です。規模も大きく、バンダを除いても、ホルン8、トランペット4など金管の構成も大きく、演奏時間も50分を要します。
今日の演奏はまさに新日フィルが死力を尽くしたと言っても過言でない壮絶なものでした。音楽の頂点を極める『山頂にて』と『ヴィジョン』は実に激しく壮大に演奏されました。秋山和慶の指揮もこの大規模な作品を冷静にまとめあげた手腕が評価できます。音楽的に素晴らしかったのは終結部の『日没』、『余韻』、『夜』で、しみじみと人生を俯瞰するような思いに駆られるような表現です。R.シュトラウスの晩年の名作群(4つの最後の歌、ダナエの愛、カプリッチョ)を予感させます。素晴らしい演奏でしたが、惜しむらくは、冒頭と終盤で静寂の美を感じさせてくれなかったことでしょうか。
 
なお、今日はお昼に神奈川県立音楽堂で北村朋幹ピアノ・リサイタルも聴きましたが、これは後日、記事を書きます。素晴らしいドビュッシーのプレリュードを聴きました。

今日のプログラムは以下です。

  指揮:秋山和慶
  ピアノ:伊藤恵、小菅優
  管弦楽:新日本フィルハーモニー交響楽団  コンサートマスター:崔文洙

  モーツァルト:2台のピアノのための協奏曲 変ホ長調 K. 365

   《休憩》

  R.シュトラウス:アルプス交響曲 op. 64, TrV 233


最後に予習について、まとめておきます。

1曲目のモーツァルトの2台のピアノのための協奏曲は以下のCDを聴きました。

 フリードリヒ・グルダ、チック・コリア、ニコラウス・アーノンクール指揮ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団 1983年6月、アムステルダム、コンセルトヘボウ セッション録音
 
ジャズも弾くグルダと真正のジャズ・ピアニストのチック・コリアが共演する演奏なので、さぞや、ぶっ飛んだ演奏かと思いきや、至って、真面目な(笑い)演奏にかえって、びっくり。きちんとしたモーツァルトが聴けます。


2曲目のR.シュトラウスのアルプス交響曲は以下のCDを聴きました。

 ベルナルド・ハイティンク指揮ロンドン交響楽団 2008年6月8,10日 ロンドン、バービカン・センター ライヴ録音
 
静寂から音が沸き起こり、頂点で音響が爆発し、最後にまた、静寂に戻る。そういう素晴らしい音楽体験を実感させてくれる圧倒的な演奏です。以前、ハイティンク指揮シカゴ響の実演で聴いた英雄の生涯の物凄い演奏を思い出しました。



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ジャンル : 音楽

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