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藤田真央の個性的なモーツァルトの協奏曲はまるでピアノ・ソナタのごとき演奏、下野竜也&読響の素晴らしいマルティヌー@サントリーホール 2021.5.21

遂に若手ピアニストの注目株、藤田真央のピアノを聴くことができました。彼のあどけない少年のような面影に驚きつつ、その実に個性的なピアノの実力にもさらに驚かされました。
そのピアノの一音を聴いて、えっと思います。音量が小さく、くぐもっているように一瞬感じたからです。しかし、そのピアノの響きは実に粒立ちがよくて、ピュアーな響きです。まるでフォルテピアノを聴いている感覚です。もちろん、弾いているのはスタインウェイです。早めのテンポで軽やかに弾き進めるのを聴いていると、またも、フォルテピアノを聴いている錯覚に陥ります。どうして、こんな響きが引き出せるのかと驚くようなピュアーな響きがどんどん研ぎ澄まされていきます。音量は小さい筈なのにオーケストラに埋没することはありません。読響の弦も素晴らしく、見事なサポートです。とりわけ、ヴィオラの響きの素晴らしさに耳をそばだててしまいます。そして、第1楽章の終盤でカデンツァに入ります。まあ、聴いたこともないようなカデンツァです。誰の作なんでしょう。それまでのフォルテピアノのような抑えた響きを脱して、実にダイナミックに歌い上げます。その対比の妙に魅せられます。実に個性的でいながら、それでいて、モーツァルトらしい響きの演奏にうっとりと聴き入ってしまいました。
第2楽章はあの有名な美しいメロディーが流れます。そして、藤田真央の独特の響きの美しさといったら、もう、聴き惚れるしかありませんね。全編、美しさの限りを尽くしたような。ありえないような演奏でした。第3楽章はまるで飛び跳ねるような自在な演奏です。大変、テンポが早くて、指の回りの滑らかなことに驚愕します。あっという間にカデンツァに入ります。また、ここでも、激しくダイナミックな派手な演奏で、それまでの演奏との対比に驚かされます。そして、勢いよく、コーダに突入し、圧巻のフィナーレ。いやはや、恐れ入りました。その外見から、アンファン・テリブルと名づけたくなるような新時代の旗手ですね。その演奏スタイルはまるでピアノ・ソナタを弾いている風情でした。こんなモーツァルトのピアノ協奏曲は聴いたことがありません。是非、全曲チクルスが聴きたいものです。そう言えば、彼のモーツァルトのピアノ・ソナタのチクルスが進行中ですね。まず、それに途中から参入せねばなりません。もっとも、チケットの入手がとても困難なようです。アンコールで弾いたモーツァルトのソナチネの見事さにはびっくり。これほど弾けるピアニストは世界でもほとんどいませんね。

後半のプログラムはマルティヌーの交響曲第3番。マルティヌーのミステリアスな音響世界を下野竜也は見事に表現してくれました。それにしても、読響の演奏は上手過ぎる!! ここでもヴィオラの響きが冴え渡ります。素晴らしい弦の上に木管のソロが乗るところの素晴らしさにうっとりとなります。細部には触れませんが、まったくもって、素晴らしい演奏でした。マルティヌーの交響曲と言えば、フルシャ&都響で聴いて以来です。しかもフルシャ&都響で唯一聴き逃がしたのがこの第3番でした。これでsaraiとしては、マルティヌーの全交響曲を聴き終えたことになります。第3番はジャズのテイストもボヘミアのテイストもないまぜになったような奇妙な魅力のある作品でした。全交響曲の〆にふさわしい素晴らしい演奏でした。


今日のプログラムは以下です。

  指揮:下野竜也
  ピアノ:藤田真央
  管弦楽:読売日本交響楽団  コンサートマスター:林悠介

  マルティヌー:過ぎ去った夢 H.124
  モーツァルト:ピアノ協奏曲第21番 ハ長調 K. 467

   《アンコール》モーツァルト:ピアノ・ソナタ 第16(15)番 ハ長調 K. 545 より 第1楽章

   《休憩》

  マルティヌー:交響曲第3番 H.299


最後に予習について、まとめておきます。

1曲目のマルティヌーの過ぎ去った夢は予習なし。音源がありませんでした。


2曲目のモーツァルトのピアノ協奏曲第21番は以下のCDを聴きました。

 田部京子、下野竜也指揮紀尾井シンフォニエッタ東京 2012年3月14日-15日 上野学園 石橋メモリアルホール セッション録音
 
田部京子なら、これくらいは弾くだろうという素晴らしい演奏。とりわけ、第3楽章の切れのよさが光ります。


3曲目のマルティヌーの交響曲第3番は以下のCDを聴きました。

 イルジー・ビエロフラーヴェク指揮チェコ・フィルハーモニー管弦楽団  2003年9月8-11日 プラハ、ルドフィヌム セッション録音

ビエロフラーヴェクは素晴らしい指揮者でしたね。チェコ・フィルも見事なアンサンブルを聴かせてくれます。



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テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

       藤田真央,

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