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ジョナサン・ノット讃、感動のマーラー4番 東京交響楽団@東京オペラシティコンサートホール 2021.5.22

前回、リアルのジョナサン・ノットの指揮を聴いたのは、昨年末のベートーヴェンの交響曲第9番でした。その前はそのちょうど1年前のベートーヴェンの交響曲第9番でした。今回も来日直前にトラブルがあって、ほぼ、来日は無理だと思っていました。しかもsaraiのミスで予約したチケットの購入を期日までに行わず、チケットなし状態。公演が本決まりになった後、慌てて、チケットを購入し直して、大事には至りませんでした。今日の演奏を聴き逃がしたら、一生、悔み続けることになったでしょう。やはり、ジョナサン・ノットの振る東響は最高でした。

東京オペラシティコンサートホールにはジョナサン・ノットのコアなファンが集結していました。残念ながら、緊急事態宣言下で席数は半数に制限されていたので、聴き逃がした方も多かったでしょう。今日のチケットは完売でした。

ステージにマスク姿のノットが登場すると、異例なほどの盛大な拍手が沸き起こります。ノットはにこやかな表情でしょうが、マスクで顔が見えません。

まず、最初はジョン・アダムスのザ・チェアマン・ダンスです。やはり、ジョナサン・ノットが指揮すると、明らかに東響のアンサンブルの精度が上がります。1週間前のコンサートとは見違えるほどです。ゲーム・ミュージックのようなミニマリズム的な音楽が小気味よく響きます。しかし、細部まで極めつくすような恐ろしいほどの丁寧さで音楽が仕上がっています。一見、単調なダンス音楽ですが、実にニュアンス豊かに磨き上げられています。ポストモダンの音楽もジョナサン・ノットの手にかかると、とても見通しのよい音楽になります。ただし、トゥッティで音が濁りがちのところもあります。これは以前にはなかったことです。ジョナサン・ノットにとっても東響にとっても、この1年半ほどのコロナ禍の空白期間のダメージを感じざるを得ません。中間の緩徐パートでの若干の弛緩を感じました。しかし、快調にリズムを刻むパート、小音量での繊細な表現などは見事としか言えない充実した演奏でした。現代音楽を指揮させたら、ノットの右に出るものはいないでしょう。

次はドビュッシーの舞踊詩《遊戯》です。ジョナサン・ノットでフランスものを聴いた記憶がありません。考えてみると、現在、ノットはスイス・ロマンド管弦楽団の音楽監督ですから、フランスものは多く手掛けているんでしょう。実際、見事なドビュッシーを聴かせてくれました。晩年のドビュッシーの音楽の真価を知らしめてくれるような素晴らしい演奏になりました。この曲は3年前にロト&レ・シエクルの演奏をこの同じホールで聴きましたが、あの素晴らしかった演奏をも凌ぐようなレベルの演奏です。指揮は同等、オーケストラは東響が上回るというのがsaraiの見立てです。今後、ドビュッシーやラヴェルの音楽をノット&東響で聴く楽しみができました。ボレロ、ラ・ヴァルス、展覧会の絵、交響詩《海》などもよさそうですね。まあ、コロナ禍が収まらないことにはどうしようもありませんけどね。

こういう風に前半のプログラムを書いていますが、後半のマーラーが凄過ぎて、印象が薄れてしまっているんです。マーラーの交響曲第4番は感動の素晴らしさでした。
前半のプログラムは楽譜を置いての指揮でしたが、マーラーは暗譜での指揮です。ノットのマーラーは弱音を効果的に使い、細部まで磨き上げた表現です。ここまで繊細に指揮するのはまさにマーラー指揮者の証しともいえるでしょう。ガリー・ベルティーニの細部にこだわった指揮を久しぶりに思い出します。インバルもハイティンクも相当に細部を磨き上げていましたが、ノットはベルティーニ並みのこだわりようです。一音、一音にこだわって、スコアに忠実に演奏していきます。じわじわとsaraiの心に沁み渡ってきます。第1楽章終盤では感極まってしまいます。第2楽章のレントラーではさらに細部が丁寧に表現されていきます。コンサートマスターのニキティンが2つのヴァイオリンを交換しながら、独奏部を弾いています。2つのヴァイオリンのどこが違うんでしょう。もしかしたら、ガット弦でも使っているんでしょうか。(⇒読者の方からの指摘がありました。交換用のヴァイオリンは長2度上げて調弦しているそうです。)このレントラーがこんなに繊細に演奏されたのは初めてです。そして、一番の聴きものである第3楽章。静謐さを全面に活かした感動の音楽です。ただただ、その最高の音楽に聴き入るのみです。激しく燃え上がることはあっても静謐さがこの第3楽章を支配します。己の魂を揺り動かされる思いでじっと聴き入りました。第4楽章には触れません。ハイティンクのときのアンナ・ルチア・リヒターのようなソプラノでないと、この第4楽章は乗り切れません。今日のマーラーは第3楽章で完結したようなものです。完璧とも思える演奏でした。saraiの人生で最高のマーラーだったハイティンク&ロンドン響の演奏に肉薄するレベルでした。これでジョナサン・ノットのマーラーは第10番のアダージョ、第7番に続いて、この第4番を聴き、来週のミューザ川崎では第1番を聴きます。
ジョナサン・ノットは在任中にマーラーの全交響曲を演奏すると言っているそうです。楽しみですが、交響曲第2,3,8,9番は既に演奏されたそうです。saraiは聴き逃がしています。残念! 交響曲第2,3,8,9番はすべて大物揃いですね。再演をお願いしたいです!!! 今後は第5番と第6番ですね。うーん、第3番と第9番は是非、聴きたい! これは提案ですが、ジョナサン・ノットが退任するときには、退任記念に是非、マーラー・チクルスをやってほしいものです。そして、それをライヴCDのマーラー全集にしたら、どうでしょう。ジョナサン・ノット、東響、マーラーを愛するsaraiの密やかな願いです。これは今後もしつこくブログに書き続けます。うるさいかもしれませんが、みなさんも賛同してほしいものです。えっ、もう、交響曲第2,3,8,9番は既に聴いたからいいって言う人がいますか? そんなことは言わないでね。


今日のプログラムは以下です。

  指揮:ジョナサン・ノット
  ソプラノ:森麻季
  管弦楽:東京交響楽団 コンサートマスター:グレブ・ニキティン

  J.アダムス:ザ・チェアマン・ダンス(歌劇「中国のニクソン」による)
  ドビュッシー:舞踊詩《遊戯》

  《休憩》

  マーラー:交響曲 第4番 ト長調


最後に予習について、まとめておきます。

1曲目のJ.アダムスのザ・チェアマン・ダンスは以下のCDを聴きました。

  クリスチャン・ヤルヴィ指揮ノルランド・オペラ交響楽団 2001年5月 ノルランド・オペラ、ウメオ、スウェーデン セッション録音

クリスチャン・ヤルヴィが思いっ切りのよい演奏をしています。


2曲目のドビュッシーの舞踊詩《遊戯》は以下のCDを聴きました。

 フランソワ=グザヴィエ・ロト指揮レ・シエクル 2018年1月 フィルハーモニー・ド・パリ セッション録音
 
ロト&レ・シエクルの話題になったCDです。saraiも来日公演で聴きました。今や、決定盤でしょう。


3曲目のマーラーの交響曲 第4番は以下のCDを聴きました。

 ピエール・ブーレーズ指揮クリーヴランド管弦楽団、ユリアーネ・バンゼ  1998年4月 クリーヴランド、メソニック・オーディトリアム セッション録音

ブーレーズらしい精緻な演奏が成功しています。ただ、この曲をあまり聴き込んでいない人は消化不良に陥るかもしれません。あくまでも冷静な演奏で、悪く言えば無機的とも思えます。ブーレーズのマーラーに興味が湧きました。



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テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

       ジョナサン・ノット,

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