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神尾真由子、圧巻のヴァイオリンに深い感銘!@上大岡 ひまわりの郷 2021.5.30

実に久々に神尾真由子のヴァイオリンを聴きましたが、あまりの素晴らしさに大変な感銘を覚えました。彼女のヴァイオリンを聴いたのは実に10年ぶりのことです。こんなに長期間聴かなかったのは何故かと言うと、10年前の演奏も素晴らしくて、文句のつけようがなかったのですが、プログラムの選曲がsarai好みではなくて、演奏のよさに比べて、感銘の度合いが低かったというだけのことです。ある意味、saraiの音楽受容力のレベルが低かっただけのことで、彼女のヴァイオリンから遠ざかっていただけのことかもしれません。あるいは神尾真由子のヴァイオリンが長足の進歩を遂げたのか・・・どちらかは分かりかねますが、現在、日本人のヴァイオリニストの中でも抜きんでた存在であることは今日の演奏で明確に実感しました。これからは積極的に聴くことにしましょう。

1曲目はベートーヴェンのロマンス 第2番。まあ、軽い曲で名曲アワーの感じで聴き始めますが、神尾真由子のヴァイオリンの弱音のあまりの美しさに絶句します。そして、音楽表現のニュアンスの味わいの深さに魅了されます。あの有名なメロディーが繰り返されるたびにうっとりとします。普通はもっと音量の大きな明確な音で、これぞ名曲という感じで演奏されますが、神尾真由子のヴァイオリンは抑えた音量で気品のある美しさに満ちています。芸術的なレベルが数段も高いような素晴らしい演奏です。

次はベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ 第5番 「春」。このベートーヴェンの傑作はさらに素晴らしい演奏。やはり、品格のある弱音の美しさを軸に魅力的な演奏です。ストラディバリウスのヴァイオリンの響きの素晴らしさも再認識させてくれます。最近はガルネリ・デル・ジェスの響きのほうが素晴らしいと感じていましたが、弾く人が弾けば、ストラディバリウスは凄い音がしますね。最高のヴァイオリンの響きと合わせて、音楽表現の見事さでうっとりとしながら、ベートーヴェンの傑作ソナタに耳を傾けました。それにしても、気品のある音楽というのは天才演奏家だけに備わる美質です。

休憩後はクライスラーの小品群。 愛の悲しみ、美しきロスマリンのとりわけ美しい演奏は魅了されるだけです。気品がないと、単に名曲アワーの下品な演奏になりますが、神尾真由子のヴァイオリンは天上の音楽に聴こえます。

最後は滅多に演奏されないサン=サーンスのヴァイオリン・ソナタ 第1番。これが今日の演奏の中で最高でした。後で調べると、この曲はフランスの最高の文学とも言われる『失われた時を求めて』の作者、マルセル・プルーストが愛好してやまなかったものだそうです。彼の畢生の大作『失われた時を求めて』に登場する音楽家ヴァントゥイユのソナタはこの曲に着想しているといわれています。プルーストの死から100年を迎える2022年は来年です。よいときによいものを聴かせてもらいました。saraiも一念発起して、『失われた時を求めて』に挑戦しようかなという気になりました。現在、『失われた時を求めて』は文庫本しか出ていなくて、単行本は廃刊状態です。この機に単行本がまた再刊されないかな・・・。
話が逸れましたが、神尾真由子のヴァイオリンは美しい弱音だけでなく、フォルテも見事なものでした。第4楽章は大変、高潮して感動のフィナーレを迎えました。フランクのヴァイオリン・ソナタにも比肩するような素晴らしい音楽に出会った思いです。神尾真由子のヴァイオリンは素晴らしい!

アンコール曲は超絶技巧の凄い演奏でしたが、saraiはもっと彼女の気品ある弱音を活かした曲が聴きたかった・・・


今日のプログラムは以下です。

 神尾真由子 ヴァイオリン・リサイタル

  ヴァイオリン:神尾 真由子
  ピアノ:田村 響

  ベートーヴェン:ロマンス 第2番 ヘ長調 Op.50
  ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ 第5番 ヘ長調 Op.24「春」

   《休憩》

  クライスラー: 愛の喜び / 愛の悲しみ
          美しきロスマリン / 中国の太鼓
  サン=サーンス: ヴァイオリン・ソナタ 第1番 ニ短調 Op.75
 
   《アンコール》
     バッジーニ:幻想的スケルツォ『妖精の踊り』クアジ・プレスト ホ短調 Op.25 

最後に予習について、まとめておきます。

1曲目のベートーヴェンのロマンス 第2番は以下のCDを聴きました。

 アンネ=ゾフィー・ムター、クルト・マズア指揮ニューヨーク・フィルハーモニック 2002年5月、ニューヨーク ライヴ録音
 
ムターは艶やかな演奏を聴かせてくれます。


2曲目のベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ 第5番 「春」は以下のCDを聴きました。

 アンネ=ゾフィー・ムター、ランバート・オーキス 1998年8月 ヴィースバーデン、フリードリヒ・フォン・ティールシュ・ザール ライヴ録音
 
ムターの美しいヴァイオリンの響きが心に沁みます。


3~6曲目のクライスラーの名曲群は以下のCDを聴きました。

 ヘンリク・シェリング、チェールズ・ライナー 1963年1月 ニューヨーク、ファイン・レコーディング・スタジオA セッション録音

こういう名曲集には向かない感じのシェリングですが、実に見事な演奏を聴かせてくれます。


7曲目のサン=サーンスのヴァイオリン・ソナタ 第1番は以下のCDを聴きました。

 ルノー・カプソン、ベルトラン・シャマユ 2020年7月2-4日 フランス、ソアソン、Studio, Cite de la musique et de la danse, Soissons セッション録音
 
カプソンのヴァイオリンはサン・サーンスのあまり演奏されない曲を素晴らしく奏でています。



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テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

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オペラ・美術が大好きでヨーロッパの旅にはまっています。音楽の聖地ウィーンが中心で、イタリア、フランス、ドイツも巡っています。国内外のオペラ・コンサートの体験もレポートします。

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たかぼんさん、初めまして。saraiです。

嬉しいコメント、ありがとうございます。ブッシュ四重奏団は素晴らしいですよ。とりわけ、第14番は最高です。
もっとも、ブッシュ

09/17 02:04 sarai

とても素晴らしいお話をお聞かせ頂き感謝いたします。
私は今まで、後期の4曲はブダペスト四重奏団できまり!と思っておりました。
ブッシュ四重奏団は別なレコード(死

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えりちゃさん、コメントありがとうございます。
最終公演に行きますが、ムーティ&ウィーン・フィルは渾身の力で凄い演奏を聴かせてくれますよ。特にシューベルトは有終の

11/09 22:13 sarai

尻上がりに素晴らしくなりました!
あの弦の響きにもうハマるのですよ!
あと2公演ありますが、もう既に同じプログラムを2回演奏しているので、ますます良くなるか、ち

11/09 10:56 えりちゃ

えりちゃさん、お久しぶりです。saraiです。

なかなか、海外渡航の見通し、立ちませんね。来年あたりはどうでしょうね。長期戦覚悟で我慢するしかありませんね。

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