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高度なテクニックで圧巻のベルクの弦楽四重奏曲、クァルテット・インテグラ@鶴見サルビアホール 2021.6.1

この日も、弦楽四重奏の殿堂である鶴見サルビアホール(音楽ホール)はコロナ禍の影響で、若手の日本人のカルテットを聴けました。ベルク、シューマン、そして、ベートーヴェンの最高傑作のOp.131という実に挑戦的なプログラムです。恐れ知らずの若者たちですね。結果はそのキャリアの短さを感じさせない見事なテクニック、豊かな響きで室内楽の醍醐味を十分に感じさせてくれ、また、別の作曲家の作品を聴いてみたいと思わせてくれました。桐朋出身の弦楽器奏者のレベルの高さを痛感させられました。日本人カルテットの層も厚くなり、嬉しい限りです。

今日の一番の聴きものは最初に演奏されたベルクの弦楽四重奏曲です。最初の1音から、おっと思わせられます。豊かで美しい響きでベルクの音楽の本質を突いてきます。狂おしいウィーンの夜のねっとりした熱さを感じさせる素晴らしい演奏。無調でありながら、後期ロマン派の流れの先にある表現主義的などぎつさを最高に表出した演奏を夢中になって聴き入ります。まったくもって、素晴らしいベルクでした。予習で聴いた世評に高いアルバン・ベルク・カルテットを音楽的にはるかに上回る演奏に深い感銘を覚えました。4人の個性が自由にぶつかりあいながらも、しっかりとアンサンブルを作っているところ、そして、確かな技術に裏打ちされた攻撃的とも思える瑞々しい音楽表現に感嘆しました。

次はシューマン:弦楽四重奏曲 第1番。ロマンの香り高い美しい演奏が第1楽章から繰り広げられます。テクニックと響きは最高です。音楽的にもそれほど不足はありません。シューマンワールドをしっかりと楽しませてもらいました。及第点の演奏です。

休憩後、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲第14番。ベートーヴェンの最高傑作と目される作品です。若手には音楽表現が難しいとも思えるものですが、彼らは果敢に挑戦します。ここでもテクニックと響きは見事です。しかし、どこかしら、ベートーヴェンがこの曲に込めた人生の旅路の果てという風情がもうひとつ聴こえてきません。音楽というものはかくも難しいものです。演奏は完璧ですが、その演奏の先にある音楽を超えた何かが表現しきれていないように感じます。しかし、それでも終盤、第6楽章あたりから、奇跡的にベートーヴェンの後期四重奏曲らしい音楽性が立ち上がってきます。終楽章はなかなかの聴きものでした。もう一歩でこの難曲を攻略するところまで来ているようです。これからの彼らの成長を聴いてみたくなりました。

来月、再来月の彼らのコンサートに急遽、駆けつけることにしました。どんな演奏を聴かせてくれるか、楽しみです。


今日のプログラムは以下です。

  弦楽四重奏:クァルテット・インテグラ
   三澤響果 vn   菊野凜太郎 vn   山本一輝 va   築地杏里 vc

   ベルク:弦楽四重奏曲 Op.3
   シューマン:弦楽四重奏曲 第1番 イ短調 Op.41-1

   《休憩》

   ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第14番 嬰ハ短調 Op.131

   《アンコール》
    チャイコフスキー:弦楽四重奏曲第1番 ニ長調 Op.11 より、第2楽章「アンダンテ・カンタービレ」

最後に予習について触れておきます。

1曲目のベルクの弦楽四重奏曲は以下のCDを聴きました。

 アルバン・ベルク四重奏団 1991-1992年 セッション録音

素晴らしい技術でバリバリ弾き込んでいます。少しドライ過ぎるきらいはあります。ベルクらしい、ねっとりとした熱情がほしいところです。


2曲目のシューマンの弦楽四重奏曲 第1番は以下のCDを聴きました。

 ロータス・ストリング・カルテット 2003年1月29,30日 横浜,リリスホール(横浜市栄区民文化センター) ライヴ録音
 
素晴らしいロータス・カルテットのシューマン。この録音では第2ヴァイオリンが現在のマティアス・ノインドルフではなく、藤森彩です。2代目のメンバーです。


3曲目のベートーヴェンの弦楽四重奏曲第14番は以下のCDを聴きました。

 ザ・リンジーズ(リンゼイ弦楽四重奏団) 2001年6月25日-27日 聖トリニティ教会、ウェントワース、ヨークシャー、英国 セッション録音
 
これまでリンゼイ四重奏団のベートーヴェンは旧録音を聴いていましたが、そのあまりの素晴らしさに、現在、入手困難の新録音の全集を苦労して、収集しました。この新録音も基本スタイルは旧録音と同じで、素晴らしい演奏を聴かせてくれます。ブッシュ四重奏団、ブダペスト四重奏団と並んで、saraiが最も愛好するベートーヴェンの弦楽四重奏曲の演奏です。



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ジャンル : 音楽

       クァルテット・インテグラ,

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