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コバケンのチャイコフスキーも無事、交響曲全6曲、完結・・・ 小林研一郎80歳記念チャイコフスキー交響曲チクルス@東京芸術劇場コンサートホール 2021.6.6

小林研一郎80歳(傘寿)記念&チャイコフスキー生誕180周年記念チャイコフスキー交響曲全曲チクルスの3回目です。

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このコンサートは昨年から、コロナ禍で2度延期され、会場をサントリーホールから東京芸術劇場コンサートホールに移し、苦難を乗り越えて、実現したものです。しめとなる演奏がチャイコフスキーの『悲愴』というのは何か因縁めいた話ですね。

今日演奏された2曲もこれまでの2回のコンサート同様、とても素晴らしい会心の演奏でした。80歳を超えた小林研一郎の健在ぶりを実感させてくれるものですし、この程度の演奏は当然、期待できていたレベルのものです。実はチャイコフスキーの交響曲全曲のチクルスを聴くのは初めてでしたが、コバケンの節目のコンサートで聴けたのは幸運なことでした。全6曲、ライヴでこのレベルの演奏とは嬉しい限りです。まあ、欲を言えば、失礼ながら、日フィルのアンサンブル能力がもっと高ければとも思いますが、コバケンの情熱と見識に応えた日フィルの健闘ぶりも讃えられます。

まず、最初の交響曲第3番『ポーランド』ですが、民俗色に彩られた作品がほのぼのと演奏されました。こういうメロディアスな曲はコバケンの得意とするところ。くっきりとメロディーラインが浮き立ちます。実に満足できる演奏でした。まあ、それにしても5楽章の長大な作品です。

最後の交響曲第6番『悲愴』は素晴らしい演奏でした。第1楽章は冒頭から仄暗い色彩に覆われていますが、美しい演奏です。終盤は悶え苦しみますが、きっちりと収まるところに収まるという風情の演奏です。情熱と節度のバランスのとれた演奏といえるでしょう。第2楽章のワルツは見事に美しいメロディーが歌われます。コバケンの自家薬籠中の物ですね。第3楽章は後半の怒涛のマーチが大迫力です。もう少し、オーケストラの能力があればとも思いますが、音楽的には最高です。あまりの迫力に一部の聴衆から拍手が飛び出したのもうなづけます。ただ、第4楽章に入る間がどういう感じか、注目していたので、水をさされました。多分、ほとんど間を置かずに第4楽章に突入するつもりだったのでしょう。もっとも、その余計な拍手を左手1本で制止して、右手でオーケストラにキューを出して、第4楽章を開始したコバケンの絶妙な捌き方はまさに巨匠ならではの見事な手際です。コバケンは緊張感を欠くこともなく、哀調に満ちた音楽を奏でていきます。その音楽作りはいい意味でオーソドックスなものです。妙な思い入れはなく、音楽的に美しさの限りを尽くしていきます。そして、ラストもあくまでも音楽の美しさを残しながら、ほどほどの絶望感を表出します。まあ、これでいいのでしょう。とても満足できた演奏でした。

小林研一郎の80歳のチャイコフスキー交響曲チクルスは期待以上の素晴らしさで完了しましたが、まだ、おまけの協奏曲シリーズが続きます。上原彩子のピアノ、神尾真由子のヴァイオリンと言えば、チャイコフスキーコンクールの優勝者たちですね。素晴らしい演奏を聴かせてくれるでしょう。感動間違いなしでしょう。このチクルスはライブCDが作成されているので、協奏曲シリーズもライヴCDになるのであれば、これは楽しみです。saraiにとって、決定盤のCDになるかもしれません。


今日のプログラムは以下です。

  小林研一郎80歳(傘寿)記念&チャイコフスキー生誕180周年記念チャイコフスキー交響曲全曲チクルス

  指揮:小林研一郎
  管弦楽:日本フィルハーモニー交響楽団  コンサートマスター:木野 雅之

  チャイコフスキー:交響曲第3番 ニ長調 Op.29『ポーランド』

   《休憩》

  チャイコフスキー:交響曲第6番 ロ短調 Op.74『悲愴』

   《アンコール》
    チャイコフスキー:交響曲第6番『悲愴』 から 第4楽章の終結部分(銅鑼がなるところから)

最後に予習について、まとめておきます。

1曲目のチャイコフスキーの交響曲第3番『ポーランド』は以下のCDを聴きました。

 エフゲニ・スヴェトラーノフ指揮ソヴィエト国立交響楽団 1990年 サントリーホール ライヴ録音

スヴェトラーノフのいわゆる東京ライブです。録音もよく、演奏も最高です。やはり、こういうロシアものはロシア人たちの演奏に限ります。特にこの曲のように民俗色豊かなものはなおさらです。


2曲目のチャイコフスキーの交響曲第6番『悲愴』は以下のCDを聴きました。

 レナード・バーンスタイン指揮ニューヨーク・フィル 1986年 セッション録音
 
これは物凄い演奏です。バーンスタインが晩年に残したもので、生命の火を燃やし尽くしたように思えます。とりわけ、第4楽章は極端なスローテンポで壮絶な美しさに満ちています。マーラーの交響曲第9番を想起します。



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首都圏の様々なジャンルのクラシックコンサート、オペラの感動をレポートします。在京オケ・海外オケ、室内楽、ピアノ、古楽、声楽、オペラ。バロックから現代まで、幅広く、深く、クラシック音楽の真髄を堪能します。
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aokazuyaさん

コメントありがとうございます。デジタルコンサートホールは当面、これきりですが、毎週末、聴かれているんですね。ファゴットのシュテファン・シュヴァイゲ

03/03 23:32 sarai

DCHは私も毎週末、楽しみに聞いています。
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03/01 19:22 aokazuya

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大学入学直後からの長いお付き合い、素晴らしい伴侶に巡り逢われて、幸せな人生ですね!
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08/04 21:31 G線上のアリア

じじいさん、コメントありがとうございます。saraiです。
思えば、もう10年前のコンサートです。
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その後、ザル

07/08 18:59 sarai

CDでしか聴いてはいません。
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クルト。ザンデルリング、ヴァント、ハイティンク
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07/08 15:53 じじい@

saraiです。
久々のコメント、ありがとうございます。
哀愁のヨーロッパ、懐かしく思い出してもらえたようで、記事の書き甲斐がありました。マイセンはやはりカップは高く

06/18 12:46 sarai
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