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上原彩子ピアノ・リサイタル@サントリーホール 2010/01/23

今年前半で一番楽しみにしていた上原彩子のピアノ・リサイタル。
今日、サントリーホールで聴きました。
結論を先にいえば、まったく素晴らしいリサイタルで大満足でした。

14時からの開演なので、途中、汐留のスペイン料理店でランチを食べ、開場の10分以上前にサントリーホールに到着。なんとホール前の広場では、朝市が開かれていました。少し、お店をひやかして、配偶者は花鉢をゲット。そうこうするうちに開場。

席は1階の9列目のど真ん中。席も良し。期待でいっぱいです。
今日のプログラムは以下。

 J.S.バッハ:『平均律クラヴィア曲集 第1巻』から第1番 ハ長調、
                         第7番 変ホ長調、
                         第8番 変ホ短調
 タネーエフ:プレリュードとフーガ
 ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第30番 ホ長調 op.109
    ***休憩***
 リスト: J.S.バッハのカンタータ「泣き、悲しみ、悩み、おののき」の通奏低音と
       ロ短調ミサの「クルチフィクス」による変奏曲
 西村朗:『神秘の鐘』から 1.薄明光
 リスト:ラ・カンパネラ
    :『巡礼の年 第2年 イタリア』から「ペトラルカのソネット第47番」、
                      「ペトラルカのソネット第104番」
    :ハンガリー狂詩曲第2番 嬰ハ短調

前半はバッハとベートーヴェン、後半はリストが中心のピアノの王道を行くようなプログラムですね。なかなか、魅力的なプログラムだと思います。
なんといっても、saraiがまったく知らない曲が3曲もあるのが凄い(タネーエフ、西村朗、リストの最初の曲)。しかも結構マイナーな曲なので、予習も断念。本番でじっくりと鑑賞します。

いよいよ、上原彩子がステージに登場です。黒のロングドレスに身をつつみ、すっきりした様子。そうです。前回までのコンサートは妊娠中でしたからね。
ピアノはもちろん、YAMAHA。一度でいいから、スタインウェイを弾く上原彩子を聴いてみたいものですね。一回り、スケールが大きくなるのではと期待しますが、見果てぬ夢でしょうね。

さて、まずはバッハです。ホール内が異常にシーンと静まり返り、上原彩子もsaraiも集中力がぐーっと高まります。上原彩子がまさに鍵盤に手を置こうとしたその瞬間、動作が凍りつきます。何やら、ほんの小さな音ですが、かすかにメロディーが聞こえます。携帯か何かでしょうか。しばらくするとその音は消えましたが、一気に上原彩子もsaraiも集中力が低下。ホール内がシーンと静まるなか、再び、集中力を高めますが、困ったものです。
出鼻をくじかれた形ですが、非常に抑えた音量で実に静謐なバッハが始まりました。新しいスタイルのチャレンジですね。いつものダイナミックな演奏ではなく、抑えに抑えた演奏です。ただ、まだ、このスタイルがしっくりとくる感じではなく、第1番は正直、物足りない。第7番のフーガあたりはsaraiもかなり満足できるレベル。第8番はますます静謐な演奏ですが、胸に沁みる演奏です。プレリュードもフーガも気持ちよく響いてきます。
ただし、saraiの勝手な感想では、彼女は同じバッハを弾くのだったら、パルティータのほうが気持ちよく、聴けただろう。フランス組曲かイギリス組曲でもよかったかも知れない。平均律からの3曲はまだ将来でよかったかなと感じてしまった。平均律クラヴィーア曲集に真っ向から取り組む意図は分かるのだが・・・

次のタネーエフは曲の形式がバッハの平均律と同じプレリュードもフーガということでプログラムに組み込まれたようだが、まったく響きは異なる。いつもの上原彩子が戻ってきた。ダイナミックな美しい響きがホールに満ち、なんだか、ほっとして、saraiも聴き入りました。

前半の最後はベートーヴェンの30番のソナタ。第3楽章の変奏曲にフーガが出てくるので、フーガつながりの選曲でしょうか。
後期の3ソナタの一つでベートーヴェンの芸術の一つの到達点ともいえる作品。素晴らしいタッチで、しかも高い音楽性の表現で、心が洗われます。特に長大な第3楽章はなんと美しい! saraiも納得のベートーヴェンです。何もいうことなしです。きっと、今後のリサイタルで演奏されるであろう31番、32番が楽しみです。気が早いですけどね。

休憩後、バッハの主題に基づいたリストの変奏曲。まったく聴いたことのない曲です。最初、大きな音量で曲が始まり、あれっ、これってバッハと関係あるのと思っていたら、静かな音でバッハの旋律が流れ始めました。なかなか雰囲気がよい。フィナーレではぐっと盛り上がり、再び、バッハの世界で終わります。作曲家のリストも演奏の上原彩子も、そして、saraiもバッハが大好きで、大好きな仲間が集まって、バッハを中心にコミュニティを作ったという感じで、なぜか、胸が熱くなります。リストの曲ではありますが、バッハって本当にいいなあと思わせる曲と演奏でした。1昨年、ライプツィヒの聖トーマス教会の日曜ミサでのバッハ体験が懐かしく思い出されます。

次は西村朗の作品です。これは楽譜を見ての演奏でした。曲そのものの評価はこれだけでは判断がつかないので保留ですが、演奏はクリアーな響きで鍵盤全体を駆け巡り、耳に心地よく聴けました(これって、曲が良かったっていうことかな?)

次は超有名な「ラ・カンパネッラ」。先ほどの西村朗の作品とは「鐘」つながりとのこと。まあ、上原彩子としては、これくらいの演奏は当然って感じでした。気持ちよく、楽しませてもらいました。

で、次は「巡礼の年」の2曲。「ペトラルカのソネット」です。これはまさに感動の演奏でした。ロマンチックで歌っています。リスト演奏の大御所ボレットのCDも素晴らしい演奏でしたが、もっともっと素晴らしい演奏。ここまでのリストが聴けるとは思っていませんでした。特に2曲目の104番は終始、うっとりとして夢の世界。もう1回アンコール演奏してほしかったくらい、素晴らしかった!

最後はこれも定番のハンガリー狂詩曲第2番。まあ、これも何もいうことなしの演奏。ただ、なぜ、この曲でリサイタルをしめくくったのか、よく分からない。「ペトラルカのソネット」で終わって欲しかった感じです。

本当に期待通りのリサイタルで心から満足できました。上原彩子は素晴らしいピアニストですね。本物です。

アンコールはショパンの「別れの曲」とカプースチンの「8つの演奏会用エチュード」からプレリュード の2曲。
ショパンは繊細な表現というより、少し重厚な安定した演奏。これはこれでいいでしょう。カプースチンって、まったく知りませんが、プロコフィエフっぽい感じの曲で上原彩子だったらお手の物って演奏でした。

既に5月のチャイコフスキーのピアノ協奏曲と来年2月のラヴェルのピアノ協奏曲のチケットを入手済で、上原彩子が素晴らしい演奏を聴かせてくれることを信じています。



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この記事へのコメント

1, まいくまさん 2010/01/24 00:40
始めまして

上原彩子さん、初めて聴いたものです。
いつもヤマハなのですか。
きっとヤマハの音の路線でいきたいのでしょうね。

チャイコン優勝者なんで、もっとガツガツのテクニシャンを想像していたのですが、エレガント系だったのでびっくりしています。
リストのペトラルカのソネットは最近やっと聴きだしたのですが、良い曲ですね。

私も感想書いたのでよろしかったらどうぞ

2, saraiさん 2010/01/24 01:27
まいくまさん、初めまして、saraiです。
早速のコメント、ありがとうございます。

かなり、上原彩子さんにはまっています。
ラフマニノフのピアノ協奏曲第3番を最初に聴きましたが、正直なところ、日本人でこんなにラフマニノフを弾けるのか、驚嘆し、それから、プロコフィエフとか、いつも期待を裏切らない演奏ばかりです。

ヤマハは彼女の経歴でお分かりでしょうが、ヤマハ音楽スクールの出身なのでヤマハしか弾かないようです。是非、スタインウェイにも挑戦してもらいたいと願っています。

いえいえ、彼女はとてもテクニックが優れていますよ。その上、音楽性にも恵まれ、素晴らしい逸材だと評価しています。今日はかなり意識的に抑えた演奏でした。プロコフィエフなどはバリバリです。

ブログ読ませていただきました。内田光子は単身ヨーロッパで名声を確立した人。確かにあのレベルを是非目指してもらいたいものですね。

3, wolverinesさん 2010/01/29 12:25
初めまして。
上原さんのピアノ単純に大好きです。
今回も大阪のリサイタルにいきましたが前回と同じくピアノはスタンウェイでした。
会場のいずみホールの横はヤマハピアノのショウルームなのですがね(笑)

4, saraiさん 2010/01/29 16:28
wolverinesさん、初めまして、saraiです。

コメントありがとうございます。
上原さん大好き仲間ですね。

スタインウェイ弾いているとは知りませんでした。
少なくとも、saraiはまだ未経験です。
音の響きのスケールが大きいのではと想像します。
タッチの美しさは同じでしょうが。
一度、聴いてみたい!

5, wolverinesさん 2010/02/01 11:58
>タッチの美しさは同じでしょうが。
美しい音色でした。
僕のように楽器ができない聴くだけの音楽好きにとってはここが重要なんです。
先日、NHKのBSで昨年の国際ピアノコンクールで優勝して話題になった日本人の方の演奏を見たのですが
僕敵には全然駄目で途中で見るのをやめましたから。

6, saraiさん 2010/02/01 13:09
またまた、コメントありがとうございます。

その通りですね。
特にピアノの場合、美しいタッチ・音色は何物にも代えがたいものです。
上原さんはその上、ダイナミックさと高い音楽性を兼ね備えている逸材だと思っています。

みんなで彼女の成長を見守っていきましょう!
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テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

       上原彩子,

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