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レーゼル最後のコンチェルト演奏は枯れた美しさ 沖澤のどか&読売日本交響楽団@東京芸術劇場 2021.10.10

いやはや、ペーター・レーゼルの日本での最後のコンチェルト演奏を危うく聴き逃がすところでした。
新宿ラインで大崎に近づいたとき、何故か、スローダウンし、ストップ。また、動き出して、大崎駅に到着。ホームでは騒がしいアナウンス・・・何とこの新宿ラインも山手線も埼京線もすべて、運転見合わせ中。大宮あたりで大規模停電だそうです。5分ほど様子を見ますが、状況は変わりません。このままでは池袋まで行けません。ペーター・レーゼルの日本での最後のコンチェルト演奏を何としても聴かないといけません。次はありませんからね。思い切って、席を立ち、駅を出ます。バス停が見えます。渋谷行です。渋谷まで行けば、副都心線で池袋に行けます。とりあえず、バスを待つ長蛇の列の最後尾につきます。すぐにバスがやってきます。空いています。列がどんどん動き、何とかバスに乗れます。1時25分発だそうで、数分後に出発。走り出して分かりますが、なかなか、大崎地区から抜け出せません。うーん、渋谷は遠い! どこか適当なところで降りましょう。おっ、不動前駅です。ここから目黒線で乗り継いで池袋に行けそうです。とりあえず、降りましょう。ただ、地下鉄の乗り継ぎでは到底、コンサートに間に合いそうにありません。やはり、タクシーをつかまえましょう。いくらかかっても、どうしてもレーゼルのコンチェルトを聴くという必死の思いです。ただ、空車のタクシーがなかなか来ません。空車が来たのでそれっと近づくと、予約済とのこと。じりじりしながら、タクシーを探します。結局、15分ほどかかって、何とか空車のタクシーを確保。早いルートで行ってほしいと運転手さんに頼みます。高速でいいかと訊かれて、もちろん、OK。さらに手前に戻って高速入口に行っていいかと訊かれて、もちろんOK。こうなると料金の問題ではありません。抜け道を走って、高速に向かいます。既に1時50分を過ぎています。最初の曲、フィンランディアは聴けなくても、2曲目のレーゼルのコンチェルトだけは聴きたい! できれば、2時10分くらいに着ければ、何とかなるでしょう。やがて、2時前に高速に入れます。ここからはびゅんびゅん走れます。ただ、池袋は遠い! 新宿を過ぎたときには2時を過ぎます。2時10分頃に池袋の高速出口を出て、また、信号につかまりながら、東京芸術劇場に向かいます。2時15分頃に東京芸術劇場の前に到着。ともかく、会場に急ぎましょう。東京芸術劇場に走り込み、エスカレーターに向かうと、まだ、エスカレーターに乗っている人がいます。みなさんも遅れたのね。エスカレーター前の警備の方が10分遅れで開演していますと案内してくれます。じゃあ、まだ、1曲目のフィンランディアを演奏中かな・・・。ホールの入口ではかすかにフィンランディアの旋律が聴こえてきます。ホールのスタッフがフィンランディアが終わったところでホール内にご案内しますと声を掛けてくれます。既にフィンランディアの終結部の音楽が鳴っています。ぎりぎりでしたね。ホール客席の入口前に着くと、音楽が止み、拍手が聴こえます。さっと扉が開けられて、ホール内に入ります。おっ、ほとんどの客席は埋まっています。ほとんどの人は間に合ったのね。急いで、拍手の中を前から2列目の自分の席に行きます。席の近くにはお知り合いの人もいて、声を掛けてくれます。息を整えていると、早くもお目当てのレーゼルが登場します。ううっ、何とか間に合った!! 高額なタクシー料金を払ったのは正解だった。
というドタバタ劇でした。

肝心の演奏ですが、レーゼルの演奏を聴くのは7年ぶり。何故、その間、聴かなかったのか、自分でも分かりません。ベートーヴェンのピアノ協奏曲第1番のオーケストラの前奏が始まります。読響の素晴らしいアンサンブルで最高の演奏です。レーゼルのピアノは実に軽い手の動きで始まります。力が抜けた演奏です。もともと、そういう演奏スタイルですが、ますます枯れたかな。でも、レーゼルらしい美しい響きがするから不思議です。ピアノはダイナミックに弾けばいいわけではないのが分かります。しばらくすると、芯のある音になり、最高に美しい響きになります。ベートーヴェンの高邁な精神に満ちた音楽を一陣の風が吹き抜けるような雰囲気の気品ある演奏で歌い上げます。バックの読響の明るく美しい響きと相俟って、とても美しい音楽が鳴り響きます。とても内面が充実した演奏です。こういうベートーヴェンの真髄に迫るコンチェルトを聴くのは大昔にヴィルヘルム・ケンプの演奏を聴いて以来かもしれません。ドイツの伝統を背負う大家ならでは演奏です。夢中になって聴いていたので、あまり、演奏の細部は覚えていません。あっという間にカデンツァになり、見事な演奏に耳を傾け、さっと第1楽章は終わります。第2楽章はレーゼルの右手で奏でられる高音部の響きの美しいこと。オーケストラとの絡み合いも素晴らしく、うっとりと聴き惚れます。第3楽章はピアノの独奏が先導して始まります。その軽く颯爽としたテンポもよかったのですが、続くオーケストラがあえて、ぐっとテンポを上げます。きっとレーゼルとの約束事だったのでしょう。その早いテンポに応答しながらもピアノは余裕の演奏で対応します。軽い緊張感を持続しながら、音楽は疾走していきます。高邁な精神は次第に高まって、内面的な頂点を形成していきます。短いカデンツァの後、少し、テンポを落として、ピアノの独奏とオーケストラの対話があり、最後にテンポを急速に上げて、気持ちよくフィナーレ。素晴らしい演奏でした。
抜くべき力は抜き、内面の充実した演奏で、ベートーヴェンが作り上げた高邁な精神世界を表現してみせてくれました。あえて、第3番や第4番のピアノ協奏曲を選ばずに第1番を弾いたのかが分かるような気がしました。シンプルな作品を用いて、精神性をより重視した演奏でベートーヴェンの世界を表現して、これを持って、日本の聴衆に別れの言葉としたかったのかな。

3日後の紀尾井ホールでのフェアウェルリサイタルが楽しみです。ちょっと寂しいですけどね。

休憩後、新鋭指揮者、沖澤のどかによるシベリウスの交響曲第2番です。読響の素晴らしい響きを使って、彼女は楽しそうに音楽を作り上げていました。妙にこねまわさずに素直な感性で美しい演奏でした。音楽を楽しむことを原点としているのはいいですね。今後の成長を楽しみにしていましょう。


今日のプログラムは以下です。

  指揮:沖澤のどか
  ピアノ:ペーター・レーゼル
  管弦楽:読売日本交響楽団  コンサートマスター:小森谷巧

  シベリウス:交響詩「フィンランディア」Op.26
  ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第1番 ハ長調 Op.15
   《アンコール》ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第10番Op.14-2より、第2楽章

   《休憩》

  シベリウス:交響曲第2番 ニ長調 Op.43


最後に予習について、まとめておきます。

1曲目のシベリウスの交響詩「フィンランディア」は以下のCDを聴きました。結局、予習のみになっていまいましたけどね(笑)

 オッコー・カム指揮ヘルシンキ・フィルハーモニー管弦楽団 1982年2月4日 大阪フェスティバル・ホール ライブ録音

ずい分、昔の来日公演のライブ録音です。素晴らしい演奏です。


2曲目のベートーヴェンのピアノ協奏曲第1番は以下のCDを聴きました。

 ペーター・レーゼル、クラウス・ペーター・フロール指揮ベルリン交響楽団 1991年 ベルリン、キリスト教会 セッション録音
 
ペーター・レーゼルのベートーヴェンのピアノ協奏曲全集の旧盤です。今と変わらぬ美しい響きを聴かせてくれています。


3曲目のシベリウスの交響曲第2番は以下のCDを聴きました。

 ジョージ・セル指揮クリーヴランド管弦楽団 1970年5月22日 東京文化会館大ホール ライヴ録音
 
ジョージ・セル指揮クリーヴランド管弦楽団の恐るべき合奏力がこの日本で聴けたんですね。1970年の大阪万博のときでした。あー、聴いておけばよかった!



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首都圏の様々なジャンルのクラシックコンサート、オペラの感動をレポートします。在京オケ・海外オケ、室内楽、ピアノ、古楽、声楽、オペラ。バロックから現代まで、幅広く、深く、クラシック音楽の真髄を堪能します。
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aokazuyaさん

コメントありがとうございます。デジタルコンサートホールは当面、これきりですが、毎週末、聴かれているんですね。ファゴットのシュテファン・シュヴァイゲ

03/03 23:32 sarai

DCHは私も毎週末、楽しみに聞いています。
・スーパースターには、ファゴットのシュテファン・シュヴァイゲルトの名も挙げたいところです。
・清水直子さん後半のみ登場、D

03/01 19:22 aokazuya

金婚式、おめでとうございます!!!
大学入学直後からの長いお付き合い、素晴らしい伴侶に巡り逢われて、幸せな人生ですね!
京都には年に2回もお越しでも、青春を過ごし

10/07 08:57 堀内えり

 ≪…長調のいきいきとした溌剌さ、短調の抒情性、バッハの音楽の奥深さ…≫を、長調と短調の振り子時計の割り振り」による十進法と音楽の1オクターブの12等分の割り付けに

08/04 21:31 G線上のアリア

じじいさん、コメントありがとうございます。saraiです。
思えば、もう10年前のコンサートです。
これがsaraiの聴いたハイティンク最高のコンサートでした。
その後、ザル

07/08 18:59 sarai

CDでしか聴いてはいません。
公演では小沢、ショルティだけ

ベーム、ケルテス、ショルティ、クーベリック、
クルト。ザンデルリング、ヴァント、ハイティンク
、チェリブ

07/08 15:53 じじい@

saraiです。
久々のコメント、ありがとうございます。
哀愁のヨーロッパ、懐かしく思い出してもらえたようで、記事の書き甲斐がありました。マイセンはやはりカップは高く

06/18 12:46 sarai
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