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レーゼル最後の来日公演は極美のシューベルトで圧巻のフィナーレ@紀尾井ホール 2021.10.13

ドイツの巨匠、ペーター・レーゼルは余力を残してのフェアウェル・リサイタルでした。ピアニスト自体を引退したわけではなさそうですが、これが最後の来日公演になるそうです。実は昨年の5月15日の予定でしたが、コロナ禍のために今日まで延期になりました。本来ならば、昨年のその時期はsaraiはヨーロッパ遠征の予定でしたから、このペーター・レーゼルのフェアウェル・リサイタルは聴き逃がすところでした。コロナ禍のお陰で聴けたという皮肉な僥倖です。

前半のハイドンのソナタは古典的な構成美に満ちた素晴らしい演奏でしたし、ベートーヴェンの最後にして、最高のソナタは極め付けの美しさ。特に第2楽章のアリエッタの美しいこと、この上なし。高域の響きは天上の天使の囁きのようでした。しかし、後半のシューベルトのピアノ・ソナタ第21番は最高の演奏でした。第1楽章の出だしの憧れに満ちた旋律が音量といい、テンポといい、微妙に素晴らしく、あの謎のようなトリルも納得の演奏です。再度、フォルテで登場するときの感銘はいくばかりか!! ずっと続く憧れのような音楽は一体、何に対する憧れなのか、考え込みながら、素晴らしい演奏に耳を傾けていました。長大な第1楽章は細部までパーフェクトに奏でられました。最高の演奏です。レーゼルの重厚でありながら、透明感に満ちたピアノの響きがドイツ・ロマン派にぴったりです。このシューベルトを始め、シューマン、ブラームスこそ、レーゼルの十八番と言えるでしょう。第2楽章にはいっても、憧れの音楽はますます高まります。永遠の美への憧れであり、現実の人間が生きている世界を愛おしむような感情に満ちていることを感じます。上昇音型は天上への憧れ、下降音型は現実の世界への愛でしょうか。何ともロマンに満ちた音楽が展開されていきます。心がメロメロになって聴き入ります。第3楽章は軽快に駆け抜けて、第4楽章は憧れから抜け出して、決然とした音楽が始まります。これがシューベルトの最後の決意であり、それをレーゼルは日本の聴衆への別れのメッセージにしました。これで終わりであるけれども、まだまだ、その向こうには生き抜いていく世界があることをその演奏から感じ取ります。
このシューベルトの最高傑作にして、saraiが愛して止まないピアノ・ソナタ第21番変ロ長調はこれまでも実演で素晴らしい演奏を聴いてきました。なかでもアンドラーシュ・シフ(今日と同じ3曲とモーツァルトの最後のピアノ・ソナタのリサイタルでした)と田部京子の演奏が最高に心に響きましたが、レーゼルの演奏も同列に置けるような素晴らしい演奏でした。

盛大な拍手の中、レーゼルが弾いたアンコールは何とsaraiの愛する即興曲の2番(D935-2)。冒頭の旋律を聴くだけで、胸が締め付けられるような感動に襲われます。最高の選曲で、最高の演奏です。
残り2曲のアンコール、ベートーヴェンも見事な演奏で最後の来日公演のリサイタルも幕。もっともっと彼の演奏を聴いておけばよかったという後悔の念と最後に素晴らしい演奏を聴けた充足感が心の中で交錯します。さようなら、ペーター・レーゼル!!


今日のプログラムは以下です。

  ペーター・レーゼル フェアウェル・リサイタル

  ハイドン:ピアノ・ソナタ第52番変ホ長調 Hob.XVI:52
  ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第32番ハ短調 Op. 111

   《休憩》

  シューベルト:ピアノ・ソナタ第21番変ロ長調(遺作)D960

   《アンコール》

    シューベルト:4つの即興曲D935 Op.142より 第2曲 変イ長調
    ベートーヴェン:6つのバガテル Op.126より 第1曲 ト長調
    ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第10番 Op.14-2より 第2楽章


最後に予習について、まとめておきます。以下のCDを聴きました。

1曲目のハイドンのピアノ・ソナタ第52番は以下のCDを聴きました。

 アンドラーシュ・シフ 1997年 セッション録音
 
シフのとても美しい演奏。再録音すれば、さらに熟成した演奏になるかもしれませんが、これで十分。


2曲目のベートーヴェンのピアノ・ソナタ第32番は以下のCDを聴きました。

 ペーター・レーゼル 2011年10月11,12日 紀尾井ホール ライヴ+セッション録音
 
前から購入してあったCDを今回、聴いてみました。予想通り、素晴らしい演奏。ともかく、ピアノの音が美しい! もちろん、音楽的にも熟成した演奏です。


3曲目のシューベルトのピアノ・ソナタ第21番は以下のCDを聴きました。

 クララ・ハスキル 1951年録音 スタジオ録音 モノラル
 
クララ・ハスキルは3枚のCDを残していますが、中でも1951年のスタジオ録音はモノラルながら音質もよく、ハスキルならではのピアノの響きに感動してしまいます。第2楽章以降の素晴らしさは言葉では表せないほどです。



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