ドゥ・ビリー+ウィーン交響楽団《ウィーンの春》@ウィーン楽友協会 2012.4.7
そういうわけでますます気軽に聴けるコンサートになりました。
1時間ほど前に楽友協会に着き、予約していたチケットを受け取ります。今日はもちろんsaraiは楽友協会のネクタイ着用です。係のかたが目ざとく見つけて、「ベリー・ナイス!」と声を掛けてくれました。だんだん、楽友協会にも馴染んできました。しばらくすると開場です。今日はORF(オーストリア放送協会)のテレビ中継があるようで、両サイドのパルテッレ・ロジェの前方はテレビカメラがずらっと並んでいます。日本のコンサート会場でこんなに派手にテレビカメラが並んでいるのは見たことがありません。これがウィーン流なんですね。
sarai達の席はステージから少し遠くて、パルテッレの16列目。それは端っこです。でも、楽友協会のグローサーザールはそんなに大きなホールではないので、まあまあの位置です。楽団員の顔もしっかりと見えます。
今日のキャスト、プログラムは以下です。
指揮:ベルトラン・ドゥ・ビリー
ヴァイオリン:アントン・ソコロフ(ウィーン交響楽団のコンサートマスター)
司会:バーバラ・レット(ORFのアナウンサー)
管弦楽:ウィーン交響楽団
スッペ:オペレッタ《軽騎兵》序曲
ポンキエッリ:オペラ《ラ・ジョコンダ》より《時の踊り》
ガーシュイン:《パリのアメリカ人》
《休憩》
トマ:オペラ《ミニヨン》序曲
サン・サーンス:オペラ《サムソンとダリラ》よりバッカナール
サラサーテ:ツィゴイネルワイゼン
ビゼー:《アルルの女》第1組曲より第1曲《プレリュード》
ビゼー:《アルルの女》第2組曲より第4曲《ファランドール》
《アンコール》
オッフェンバック:オペレッタ《天国と地獄》序曲
ヨハン・シュトラウス2世:ポルカ・シュネル《雷鳴と電光》
開演前に購入したプログラムに付属していた来シーズンの予定を見ていたら、目が点に・・・。何と来年5月にウィーン交響楽団と我が庄司紗矢香が共演するではないですか。ウィーンのコンツェルトハウスです。指揮者は大野和士です。ブラームスのヴァイオリン協奏曲を演奏するとのこと。どうもウィーン交響楽団の日本ツアーの一環のようです。
さて、ドゥ・ビリーが颯爽と登場し、演奏開始です。まずはスッペの軽騎兵序曲、実に有名な曲ですが、生で聴くのは多分初めてです。ウィーン交響楽団の素晴らしい響きで聴くのはもったいないくらい。ビリーはオペラ指揮者として研鑽を積んできた実力を遺憾なく発揮して軽快な指揮ぶりです。特に中間部の抒情的な部分でのメロディーの歌わせ方は実に美しいです。
次はポンキエッリの時の踊りです。序奏に続く主題はかって《レモンのキッス》でしたっけ、歌謡曲にも取り入れられた有名なメロディーです。この演奏も先ほどの軽騎兵と同様で非の打ちどころのない美しい演奏です。弦の厚みのある響きが印象的で、やはり、抒情的なメロディーの歌わせ方が見事なのはビリーの老獪さでしょう。
前半最後はガーシュインです。ガーシュインのシンフォニックジャズを聴いていると、この流れがバーンスタインのウェストサイドストーリーに繋がってくるのがよく分かります。この曲は音の響きは素晴らしいのですが、ちょっと音楽のノリがもうひとつに感じます。やはり、アメリカ人の演奏家にやらせたほうがうまそうな感じです。
曲の切れ目ごとに司会のバーバラ・レットのアナウンスがはいります。ドイツ語なのでよく分かりません。分からなくても支障ありません。基本的には、演奏曲の説明をしているようです。指揮者のビリーへのインタビューもはいり、ビリーの生声が聴けたのが面白かったくらいです。
休憩後、まず、トマのミニヨン序曲です。この曲は初めて聴きますが、平明で分かりやすい曲で名曲コンサートにうってつけの曲です。ウィーン交響楽団の実力で美しい響きを聴かせてくれます。
次はサン・サーンスのオペラ《サムソンとダリラ》からバッカナールです。管楽器で中東風のメロディーを歌わせ、テンポのよい曲想が流れます。オペラの場面を彷彿とさせます。ビリーは的確な指揮ぶりです。
次は何とツィゴイネルワイゼン、あまり、コンサートでは聴きませんね。独奏ヴァイオリンはウィーン交響楽団の第1コンサートマスターのアントン・ソコロフです。音程もしっかりし、音色も美しいのですが、上品過ぎるといった感じです。もっと、ばりばりと名人芸を披露してもらいたい感じです。気持ち良く聴けたことは間違いないのですが・・・。
最後はビゼーのアルルの女です。やはり、こういうフランスものはビリーの得意とするところで、色彩感豊かな演奏で、煌めいた響きです。ファランドールのフィナーレは圧倒的でした。
期待通り、アンコールは2曲もありました。オッフェンバックの《天国と地獄》は運動会の定番でカステラのCM曲、さらにはフレンチカンカンでもありますね。楽友協会のホールに賑やかな響きが轟き渡りました。結構!結構!
そして、最後はやはり、ウィンナーワルツ。それも定番の《雷鳴と電光》です。ビリーの2年前のウィーン放送交響楽団との来日コンサートでもアンコール曲でした。満足!満足!です。
まあ、通俗名曲のコンサートで感動するようなものではありませんが、楽友協会でウィーン交響楽団の名手たちの贅沢な響きを聴かせてもらい、音楽旅の序章としてはとてもよかったと思います。
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