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中村恵理、ますます冴え渡る感動の歌唱 《蝶々夫人》@新国立劇場 2021.12.10

中村恵理の《蝶々夫人》の2回目を鑑賞しました。前回は中村恵理の蝶々夫人は初歌唱だったせいもあり、1幕目は少々、歌唱が固かった印象もありましたが、今日は完全にこなれて、冒頭から完璧な歌唱でした。
声の響きも美しく、瑞々しい表現が細部まで磨き上げられています。前のめりでその素晴らしい歌唱に惹き込まれます。1幕目では蝶々さんは若干15歳ですが、そのあどけなさと愛への一途さを見事に表現した中村恵理の歌唱に舌を巻きます。まあ、それ以上に彼女の美声に聴き惚れているんですけどね。最後は歌の内容はどうでもよくなって、その美声だけを聴いています。第1幕の終盤のピンカートンと蝶々さんの愛の2重唱に心が高まります。ピンカートン役の村上公太は前回よりは調子が落ちているように感じますが、それでも十分に声が出ています。中村恵理の蝶々さんは声量も十分で声質も透明で突き抜けるような雰囲気。完璧です。

《蝶々夫人》は日本が舞台ということで、かえって抵抗を覚える人も多いようです。実はかつてのsaraiもその一人でした。ヨーロッパの舞台で変な着物の着方を見ると、それだけで気持ちが落ちてしまいます。さらに日本人の女の子がアメリカ人の男性に翻弄されて捨てられるというストーリーは耐え難いものがあります。さらに日本の少女、蝶々さんを外国人のグラマーな歌手が演じることにも無理があります。そういうネガティブな感覚のすべてをひっくりかえしてくれたのが、我らがソプラノ、中村恵理の蝶々さんです。宮崎音楽祭の演奏会形式での歌唱で従来からの概念を見事に一掃してくれました。もちろん、今回の新国立劇場でも、何の抵抗感もなく、聴けます。蝶々さんの純粋無垢で一途な愛、そして、死の物語がプッチーニの甘美なメロディーで歌い上げられます。中村恵理の表現した蝶々さんは悲劇のヒロインではなく、純粋な愛を貫き通して、名誉ある愛の死を遂げる、愛の勝利者であると思えます。そのドラマの頂点がフィナーレの自死であり、短くも最高のアリア《かわいい坊や》です。ここにおいて、蝶々さんの純粋な愛はその死をもって完成します。それを見事に演じ歌い上げた中村恵理の素晴らしさに感涙するのみでした。

期待通りの中村恵理の《蝶々夫人》の公演に感動した2時間半になりました。中村恵理の周りを固めるキャストも皆、好演。ピンカートン役の村上公太、シャープレス役のアンドレア・ボルギーニ、スズキ役の但馬由香、ゴロー役の糸賀修平、みな見事に歌い切りました。素晴らしいオペラ公演でした。新国立劇場、素晴らしきかな!!


今日のキャストは以下です。

【指 揮】下野竜也
  【演 出】栗山民也
  【美 術】島 次郎
  【衣 裳】前田文子
  【照 明】勝柴次朗
  【再演演出】澤田康子
  【舞台監督】斉藤美穂


【蝶々夫人】中村恵理
  【ピンカートン】村上公太
  【シャープレス】アンドレア・ボルギーニ
  【スズキ】但馬由香
  【ゴロー】糸賀修平
  【ボンゾ】島村武男
  【神官】上野裕之
  【ヤマドリ】吉川健一
  【ケート】佐藤路子

  【合唱指揮】冨平恭平
  【合 唱】新国立劇場合唱団
  【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団

最後に予習について、まとめておきます。これは前回と同じです。

  ジョン・バルビローリ指揮ローマ歌劇場管弦楽団&合唱団 演出: ヴォルフガング・ヴァーグナー 1966年 ローマ歌劇場
    レナータ・スコット、カルロ・ベルゴンツィ、ローランド・パネライ、アンナ・ディ・スタジオ

うーん、凄いCDですね。涙と感動なしには聴けませんでした。バルビローリの指揮するローマ歌劇場管弦楽団がプッチーニの抒情的な旋律を余すところなく表現。そして、レナータ・スコットって、こんなに素晴らしいソプラノだったのですね。ミレッラ・フレーニとはまた違いますが、リリックなソプラノの双璧と言っても過言でありません。いつもはフレーニの蝶々さんを聴いていますが、世界は広い。



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テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

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オペラ・美術が大好きでヨーロッパの旅にはまっています。音楽の聖地ウィーンが中心で、イタリア、フランス、ドイツも巡っています。国内外のオペラ・コンサートの体験もレポートします。

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11/09 22:13 sarai

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