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とびっきり極上のシューベルト、ピアノ・ソナタ第21番 田部京子ピアノ・リサイタル《シューベルト・プラス第8回》@浜離宮朝日ホール 2021.12.19

コロナ禍でシューベルト・プラス・シリーズは昨年はちょっと中断してしまいましたが、今年は無事、年2回のペースに戻りました。そして、このシリーズの目玉であるシューベルトのピアノ・ソナタ 第21番が再登場です。シューベルト・プラス・シリーズで同じ曲が2回弾かれるのは異例のことですが、この作品はこのシリーズの柱ですし、saraiの最愛のピアノ曲なので、大歓迎です。

今日の田部京子は最初から絶好調の演奏を聴かせてくれます。モーツァルトのピアノ・ソナタ 第17番は第2楽章が絶品。こんなに美しい演奏は聴いたことがありません。しかし、それは序章。

次のブラームスの6つの小品 Op.118は圧倒的な演奏です。第2曲は当然、絶美の演奏ですが、最後の第6曲のパトスと抒情の交錯する演奏の凄かったこと。曲の弾き始めの幻想的な味わいを実に深く、緊張感を持って、演奏してくれました。この幻想的なパートを詩情に満ちて演奏できるのは田部京子だけです。ここが素晴らしいので、パトスの迸る中間部が激しく高揚するんです。昨年聴いたシフの演奏も凄かったのですが、今日の田部京子の演奏は圧倒的でした。

でも、後半のシューベルトのピアノ・ソナタ 第21番を聴いて、前半の素晴らしい演奏は頭から吹っ飛びます。心技体、すべてが完璧な演奏です。3年前に聴いたときはこんなレベルではありませんでした。テクニックが不調なところを精神面で補った感がありましたが、今日はすべてが最高です。うーん、saraiも前のめりになって聴き惚れます。第1楽章の冒頭はそっと入ります。この時点ではどうなるか分かりませんでしたが、すぐに見事な演奏にsaraiが翻弄されます。美しい音と切れのあるタッチ。旋律を繰り返すたびに演奏の精度が高まっていきます。シューベルトが書いた奇跡のような音楽・・・田部京子の演奏も奇跡のようなものです。ミューズが舞い降りてきたとしか言えません。郷愁に満ちて、そして、永遠への憧れ。シューベルトの遺作ソナタの高みを最高の形で表現してくれます。そして、第2楽章。これは田部京子の独壇場であるロマンと抒情に満ち溢れた極上の演奏に酔い痴れます。音楽とはかくも美しいものなのか。ピアノ演奏の究極を聴いた思いです。鍵盤を走る田部京子の白い指の美しい動きにも見とれます。第2楽章までで30分以上も過ぎますが、演奏と一体になった緊張感、集中力は高まるばかりです。第3楽章は軽い疾走ですが、ピアノの響きの美しさはますます冴え渡ります。第4楽章は緊張感のあるパトスの高揚が続き、そして、圧巻のコーダに突入します。凄い高まりの中、シューベルトの最高の音楽が完結します。凄い音楽を聴いてしまいました。このシューベルト・プラス・シリーズで最高の演奏ではなかったでしょうか。まあ、天才ピアニスト、田部京子ならば、これくらい弾いて当然だったのかもしれません。それにしても、一音一音、実に丁寧にピアノを弾く姿勢には驚愕するだけです。

アンコールはシューベルトの即興曲。これまた名曲です。憧憬に満ちた素晴らしい演奏でした。そして、締めは田部京子スペシャルのアヴェ・マリア。最後の2音はアーメン・・・。

次回、来年の6月はいよいよ、シューベルトの後期作品で残っていた最晩年の名曲、D.946の3つの即興曲(3つの小品)が弾かれます。そして、ブラームスの晩年の3つの間奏曲 Op,117。すべてが完結に向かっています。来年の12月に予想される第10回が完結になるのでしょうか。もう、弾いていない曲はないと思いますが、2度目に弾く曲もありでしょう。いっそのことシューベルトの遺作ソナタ3曲をまとめて弾いたら、それは素晴らしいことになりますね。もっとも、次回はシューマンのピアノ・ソナタ第1番を弾くようですが、そうなると、残りのピアノ・ソナタ2曲も弾いてもらわないといけませんね。そうすると、このまま、シューマン・プラスに移行するしかありませんね。シューマンのピアノ曲はまだまだ、たくさんあります。


今日のプログラムは以下です。

  田部京子ピアノ・リサイタル
   《シューベルト・プラス第8回》

  ピアノ:田部京子
 
  モーツァルト:ピアノ・ソナタ 第17番 変ロ長調 K.570
  ブラームス:6つの小品 Op.118

  《休憩》

  シューベルト:ピアノ・ソナタ 第21番 変ロ長調 D960

  《アンコール》
   シューベルト:即興曲 D899、Op.90から 第3曲 Andante 変ト長調
   シューベルト(吉松隆・田部京子 共同編曲):アヴェ・マリア

最後に予習について、まとめておきます。

モーツァルトのピアノ・ソナタ 第17番を予習したCDは以下です。

 マリア・ジョアン・ピリス 1974年1月~2月、東京、イイノホール セッション録音

ピリスが29歳の若さで録音したモーツァルトのピアノ・ソナタ全集。何とも純真な乙女の清新で瑞々しい演奏です。saraiはこれ以上の演奏は知りません。若いっていいですね。藤田真央がソニーからモーツァルトのピアノ・ソナタ全集をインターナショナルにリリースするそうですが、それも楽しみです。そう言えば、アンドラーシュ・シフのモーツァルトのピアノ・ソナタ全集も26歳頃の録音で素晴らしい演奏でした。


ブラームスの6つの小品 Op.118を予習したCDは以下です。

 田部京子 2011年8月22日、23日、25日 上野学園 石橋メモリアルホール セッション録音

田部京子のブラームスの後期ピアノ作品集。これは名盤です。どれも素晴らしい。Op.116が収録されていないのが残念。


シューベルトのピアノ・ソナタ 第21番を予習したCDは以下です。

 田部京子 1993年10月20~22日 秋川キララ・ホール セッション録音

これ田部京子のシューベルト作品集の最初の録音です。もう、30年近く前の録音ですが、今回、改めて聴き直してみましたが、やはり、素晴らしい演奏です。聴き惚れてしまいました。今度はライヴで再録音してもらいたいものですが、たとえ、再録音されなくても満足の1枚です。



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テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

       田部京子,

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オペラ・美術が大好きでヨーロッパの旅にはまっています。音楽の聖地ウィーンが中心で、イタリア、フランス、ドイツも巡っています。国内外のオペラ・コンサートの体験もレポートします。

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たかぼんさん、初めまして。saraiです。

嬉しいコメント、ありがとうございます。ブッシュ四重奏団は素晴らしいですよ。とりわけ、第14番は最高です。
もっとも、ブッシュ

09/17 02:04 sarai

とても素晴らしいお話をお聞かせ頂き感謝いたします。
私は今まで、後期の4曲はブダペスト四重奏団できまり!と思っておりました。
ブッシュ四重奏団は別なレコード(死

09/16 13:52 たかぼん

ミケランジェロさん、saraiです。

遅レスで申し訳けありません。敬愛するジョナサン・ノットをご評価いただき、ありがとうございます。

相変わらず、独自の音楽探求を続

06/23 23:50 sarai

こんにちは。

ジョナサン・ノット氏の公演鑑賞を拝読したく参りました。毎回とても沢山の公演記録を私達に届けて下さり、ありがとうございます。

マエストロは数年前のイ

06/14 08:27 michelangelo

えりちゃさん、コメントありがとうございます。
最終公演に行きますが、ムーティ&ウィーン・フィルは渾身の力で凄い演奏を聴かせてくれますよ。特にシューベルトは有終の

11/09 22:13 sarai

尻上がりに素晴らしくなりました!
あの弦の響きにもうハマるのですよ!
あと2公演ありますが、もう既に同じプログラムを2回演奏しているので、ますます良くなるか、ち

11/09 10:56 えりちゃ

えりちゃさん、お久しぶりです。saraiです。

なかなか、海外渡航の見通し、立ちませんね。来年あたりはどうでしょうね。長期戦覚悟で我慢するしかありませんね。

こちら

04/10 02:37 sarai
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