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オペラ版ラブコメでほっこり《愛の妙薬》@新国立劇場 2022.2.9

先週に続いて、また、新国立劇場オペラを鑑賞。冒頭、デスピノーサ指揮の東響の素晴らしい演奏にうっとり。この手の作品はブンチャカという楽隊のような演奏になりがちですが、東響の弦は格調高い美しい響き、木管も繊細で見事な演奏を聴かせてくれます。幕が開くと、カラフルで明るいステージで実にお洒落です。次々とドニゼッティらしい旋律のアリア、重唱、合唱が続き、楽しいこと、この上なし。とりわけ、ネモリーノ役の中井亮一の明るい歌声に感心しきりです。第1幕の最初の曲「なんと彼女は美しい」Quanto è bella でいきなり、その魅力にはまりました。続くアディーナとの2重唱もとても美しい歌唱です。アディーナ役の砂川涼子もチャーミングな歌唱で魅了してくれますが、予習で聴いたネトレプコの破格の歌唱が耳に残っていて、物足りなさを感じたことも事実です。本当は砂川涼子のような透明でコケティッシュな歌い方がアディーナにはぴったりなんでしょうけど、ある意味、ネトレプコの奔放な毒に耳が侵されてしまいました。それでも、
2人の美しい歌唱でラブコメタッチのオペラを満喫します。
第2幕の終盤、超有名なアリア、「人知れぬ涙」Una furtiva lagrimaはさらっとした歌唱でそれはそれでいいのですが、物足りなさは残ります。まあ、これはパヴァロッティ以外では満足するのは難しいですね。1993年5月に東京文化会館で聴いたパヴァロッティの最高の歌唱が忘れられません。それはさておき、終盤のネモリーノとアディーナの恋の成就のシーンの砂川涼子と中井亮一の愛を語る歌に心を打たれます。素晴らしい歌唱でした。ドゥルカマーラ役の久保田真澄が中心になったフィナーレも見事な盛り上がり。これぞ、ハッピーエンドという大団円にいたく満足しました。

先週の《さまよえるオランダ人》に続いて、ガエタノ・デスピノーサと東京交響楽団のコンビが今日の本当の主役。今日も快調な演奏でした。これなら、東響のコンサートにもデスピノーサがご登場願ってもいいかもしれませんね。


今日のキャストは以下です。

  ガエターノ・ドニゼッティGaetano Donizetti 愛の妙薬L'elisir d'amore

【指 揮】ガエタノ・デスピノーサ
  【演 出】チェーザレ・リエヴィ
  【美 術】ルイジ・ペーレゴ
  【衣 裳】マリーナ・ルクサルド
  【照 明】立田雄士


【アディーナ】砂川涼子
  【ネモリーノ】中井亮一
  【ベルコーレ】大西宇宙
  【ドゥルカマーラ】久保田真澄
  【ジャンネッタ】九嶋香奈枝

  【合唱指揮】三澤洋史
  【合 唱】新国立劇場合唱団
  【管弦楽】東京交響楽団

最後に予習について、まとめておきます。

  マウリツィオ・ベニーニ指揮メトロポリタン歌劇場管弦楽団・合唱団 演出: バートレット・シャー 2012年10月13日、メトロポリタン歌劇場 WOWOW録画
    アディーナ:アンナ・ネトレプコ,ネモリーノ:マシュー・ポレンザー二,ベルコーレ:マリウシュ・クヴィエチェン,ドゥルカマーラ:アンプロー・マエストリ

すべての歌手が素晴らしい歌唱を聴かせてくれましたが、何と言ってもネトレプコが異次元のアディーナを聴かせてくれました。これまでのこぶりのアディーナの印象を打ち破る新たなアディーナ像を確立しましたね。久々に聴いたネトプレコはやっぱり、凄かった。2005年4月のウィーン国立歌劇場でのビリャソンとの共演も聴いてみましょう。



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