レグルス・クァルテット、若き4人の圧倒的なリゲティとバルトーク@鶴見サルビアホール3F音楽ホール 2022.5.10
前半、ハイドンを豊かなアンサンブルできっちりと演奏。聴き応え十分で満足。古典的な美しさは表現しつつ、攻めるべきところは攻めるという盤石な演奏に破綻はありません。それにこのカルテットは音響的によく鳴ります。クァルテット・インテグラといい勝負です。
続くリゲティは凄まじい演奏で圧倒してきます。バルトーク的な緊張感で高揚し、リゲティらしい混沌の表現も見事です。以前聴いたクァルテット・インテグラのリゲティ(第2番)も素晴らしかったのですが、今日のリゲティも優るとも劣らないレベルの凄い演奏です。アルディッティ四重奏団の音響に迫る勢いです。そう言えば、9月には、このホールでアルディッティ四重奏団のリゲティ(第2番)も聴けるようですね。楽しみです。日本の若手と世界の最高レベル、比較して聴いてみましょう。ともあれ、今日のリゲティ、ある種の感動を覚えました。手に汗を握る力演にすっかり魅了されて、聴くsaraiも疲れ果てました。それにしてもリゲティの弦楽四重奏曲の素晴らしさをレグルス・クァルテット、そして、クァルテット・インテグラは教えてくれました。バルトークの6曲に続く傑作です。
後半はシューマンの弦楽四重奏曲 第3番。シューマンワールドにたっぷりと浸ることができました。これほどまでにシューマンを表現できるのは素晴らしいことです。ブラームスも聴いてみたくなります。あっ、シューベルトもね。濃厚なロマンの香りはどこまで表現できるのでしょうか。たっぷりとシューマンの世界を味わっているうちにジ・エンド。そう言えば、この曲では第1ヴァイオリンが吉江美桜から東條太河にチェンジ。エマーソン・カルテットみたいですね。テクニックと言い、リッチな音響と言い、エマーソン・カルテットを目指してもらいたいですね。
最後はバルトークの弦楽四重奏曲 第3番。リゲティが素晴らしかったので、大いに期待しましたが、期待を上回る演奏に興奮を禁じ得ませんでした。徹頭徹尾、高い緊張感を保った演奏にまたまた、圧倒されました。実演でこういう演奏を聴くのは素晴らしいことです。高潮しつつ、全曲が終わったときは息もできないほどの高揚感に浸っていました。バルトークの全曲演奏をいつか、聴かせてもらいたいものです。
日本の若手は凄いことになってきました。こういうものが聴ける時代になったんですね。
今日のプログラムは以下です。
弦楽四重奏:レグルス・クァルテット
吉江美桜vn 東條太河vn 山本 周va 矢部優典vc
ハイドン:弦楽四重奏曲 第60番 Op.76-1
リゲティ:弦楽四重奏曲 第1番「夜の変容」
《休憩》
シューマン:弦楽四重奏曲 第3番 Op.41-3
バルトーク:弦楽四重奏曲 第3番 Sz.85
《アンコール》
バッハ:コラール前奏曲(詳細な曲名は不明)
最後に予習について触れておきます。
1曲目のハイドンの弦楽四重奏曲 第60番 Op.76-1は以下のCDを聴きました。
リンゼイ四重奏団 1998年9月29-30日、1999年1月11日 ウェントワース、ホーリー・トリニティ教会 セッション録音
リンゼイ四重奏団のハイドン、すべて、いいです。
2曲目のリゲティの弦楽四重奏曲 第1番「夜の変容」は以下のCDを聴きました。
ハーゲン・カルテット 1990年5月 スイス、ラ・ショー=ド=フォン、市民劇場 セッション録音
激しさも幽玄の美しさも秘めた演奏です。
3曲目のシューマンの弦楽四重奏曲 第3番は以下のCDを聴きました。
ロータス・カルテット 2003年1月29-30日 リリスホール、横浜市 セッション録音
素晴らしい演奏です。シューマンを満喫しました。
4曲目のバルトークの弦楽四重奏曲 第3番は以下のCDを聴きました。
ハンガリー弦楽四重奏団 1961年 セッション録音
熟成したバルトークです。お国ものの見事な演奏です。バルトークの弦楽四重奏曲は名演奏が目白押し。どれを聴いても満足できます。
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