凄いとしか形容できないウォルトンのベルシャザールの饗宴 ジョナサン・ノット&東京交響楽団@サントリーホール 2022.5.21
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しかし、これが凄かった!! 大オーケストラ、大合唱団を駆使してのジョナサン・ノット渾身の指揮で日本では滅多に聴けないウォルトンのベルシャザールの饗宴です。今年の目玉公演のひとつですね。演奏時間は30分ほどですが、サントリーホールのステージ後方の客席3面に配置した東響コーラスの大合唱団がコロナのうっぷんを晴らすような壮大な合唱を聴かせてくれます。大編成の東響のオーケストラと2組のバンダ(トランペット3、トロンボーン3、チューバ1)と大合唱団をジョナサン・ノットが八面六臂の活躍で見事にドライブ。その大音響は凄いとしか言えません。ただただ、圧倒されました。音楽的な迫力も凄く、ひれ伏して聴き入るのみでした。CDでの予習も何の役にも立ちません。こんな凄い音響が再現できるオーディオなんてありっこないですからね。バリトンのジェームズ・アトキンソンはその恵まれた体格にものいわせて、強烈な歌唱。日本人歌手には絶対真似できないでしょう。東響コーラスの指揮は冨平恭平。さっき、新国のオペラの合唱指揮で聴いたばかり。大活躍ですね。
音楽はユダヤ人を強制的にバビロニアへ連行したバビロン捕囚、旧約聖書のバビロニア王ベルシャザールの謳歌した享楽と繁栄、そして、神の裁きによるバビロニアの崩壊とユダヤ人の解放が実にダイナミックに表現されています。それをジョナサン・ノットがこれまで積み上げてきたものを一挙に駆使して、究極の音楽に盛り上げました。正直に言うと、saraiはその音圧に負けて、ほとんど、音楽を理解するレベルに達しませんでした。まあ、そんなこともあってもいいでしょう。ただただ、凄かったのですからね。終演後の会場の盛り上がりは凄いものでした。本来なら、ブラボーの嵐だったでしょう。
前半のプログラムも素晴らしかったんです。最初のR.シュトラウスのドン・ファンは冒頭から、ジョナサン・ノットの自在な指揮に東響のメンバーがぴったりと反応して、実に有機的な演奏を繰り広げます。高度なレベルのオーケストラのアンサンブルに高揚していきます。この1曲だけでも、十分に今日のコンサートは満足でした。ところで今日もオーボエの荒木奏美の演奏にうっとりと聴き惚れます。オーボエはオーケストラの肝ですね。
続くショスタコーヴィチのピアノ協奏曲 第1番はペーター・ヤブロンスキーの豪快なピアノに聴き惚れました。そう言えば、彼のピアノは初聴きかもしれません。ノリのよいリズム感の演奏、強烈なタッチのピアノの響きは圧倒的です。東響の弦楽アンサンブルも最高の演奏です。ショスタコーヴィチの若き日の新古典主義的なノリのよい音楽、そして、軽いユーモアを100パーセント、表現した見事な演奏でした。
ところで、ヤブロンスキーのアンコール曲、ポーランドの女流作曲家グラジナ・バツェヴィチの作品です。1週間ほど前にヴァイオリンのバーエワがアンコール曲に弾いたポーランド奇想曲もグラジナ・バツェヴィチの作品でした。最近、流行っているのでしょうか。saraiは初めて、この作曲家の名前を知ったばかりです。
やはり、ジョナサン・ノットと東響のコンビは素晴らしい! 次は7月にマーラーの交響曲第5番です。楽しみです。11月のサロメ(演奏会形式)はもっと楽しみです。
今日のプログラムは以下のとおりでした。
指揮:ジョナサン・ノット
ピアノ:ペーター・ヤブロンスキー
トランペット:澤田真人(東京交響楽団首席奏者)
バリトン:ジェームズ・アトキンソン
合唱:東響コーラス(合唱指揮:冨平恭平)
管弦楽:東京交響楽団 コンサートマスター:水谷晃
R.シュトラウス:ドン・ファン Op.20
ショスタコーヴィチ:ピアノ協奏曲 第1番 ハ短調 Op.35
《アンコール》グラジナ・バツェヴィチ:ピアノ・ソナタ第2番 第3楽章トッカータ
《休憩》
ウォルトン:ベルシャザールの饗宴
最後に予習について、まとめておきます。
1曲目のR.シュトラウスのドン・ファンを予習したCDは以下です。
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー指揮ウィーン・フィル 1954年3月2日 ウィーン、ムジークフェラインザール セッション録音
このドン・ファンが大変な名作であることをまざまざと実感させてくれる凄い演奏です。音質も素晴らしいです。
2曲目のショスタコーヴィチのピアノ協奏曲 第1番を予習したCDは以下です。
アンナ・ヴィニツカヤ(ピアノと指揮)、トビアス・ヴィルナー(トランペット)、クレメラータ・バルティカ 2014年 ドイツ、ドレスデン・カール・マリア・フォン・ウェーバー音楽大学ホール ライヴ録音
ヴィニツカヤの豪快で繊細さも兼ね備えた素晴らしい演奏です。
3曲目のウォルトンのベルシャザールの饗宴を予習したCDは以下です。
サー・コリン・デイヴィス指揮ロンドン交響楽団、ピーター・コールマン=ライト(Br)、ロンドン交響合唱団 2008年9月28&30日 ロンドン、バービカンホール ライヴ録音
初演したロンドン交響楽団の演奏。指揮はイギリス音楽のスペシャリストのサー・コリン・デイヴィス。悪かろう筈がありません。合唱がとりわけ、素晴らしいです。
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