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凄いとしか形容できないウォルトンのベルシャザールの饗宴 ジョナサン・ノット&東京交響楽団@サントリーホール 2022.5.21

15日連続コンサートの2日目はダブルヘッダー。新国のオペラに続いて、サントリーホールに移動して、ジョナサン・ノット&東京交響楽団の期待のコンサート。疲れますね。なお、今日一つ目のオペラの記事は以下のリンクをクリックして読んでください。ここでは2つ目のコンサートの記事を書きます。

https://sarai2551.blog.fc2.com/blog-entry-4366.html

しかし、これが凄かった!! 大オーケストラ、大合唱団を駆使してのジョナサン・ノット渾身の指揮で日本では滅多に聴けないウォルトンのベルシャザールの饗宴です。今年の目玉公演のひとつですね。演奏時間は30分ほどですが、サントリーホールのステージ後方の客席3面に配置した東響コーラスの大合唱団がコロナのうっぷんを晴らすような壮大な合唱を聴かせてくれます。大編成の東響のオーケストラと2組のバンダ(トランペット3、トロンボーン3、チューバ1)と大合唱団をジョナサン・ノットが八面六臂の活躍で見事にドライブ。その大音響は凄いとしか言えません。ただただ、圧倒されました。音楽的な迫力も凄く、ひれ伏して聴き入るのみでした。CDでの予習も何の役にも立ちません。こんな凄い音響が再現できるオーディオなんてありっこないですからね。バリトンのジェームズ・アトキンソンはその恵まれた体格にものいわせて、強烈な歌唱。日本人歌手には絶対真似できないでしょう。東響コーラスの指揮は冨平恭平。さっき、新国のオペラの合唱指揮で聴いたばかり。大活躍ですね。
音楽はユダヤ人を強制的にバビロニアへ連行したバビロン捕囚、旧約聖書のバビロニア王ベルシャザールの謳歌した享楽と繁栄、そして、神の裁きによるバビロニアの崩壊とユダヤ人の解放が実にダイナミックに表現されています。それをジョナサン・ノットがこれまで積み上げてきたものを一挙に駆使して、究極の音楽に盛り上げました。正直に言うと、saraiはその音圧に負けて、ほとんど、音楽を理解するレベルに達しませんでした。まあ、そんなこともあってもいいでしょう。ただただ、凄かったのですからね。終演後の会場の盛り上がりは凄いものでした。本来なら、ブラボーの嵐だったでしょう。

前半のプログラムも素晴らしかったんです。最初のR.シュトラウスのドン・ファンは冒頭から、ジョナサン・ノットの自在な指揮に東響のメンバーがぴったりと反応して、実に有機的な演奏を繰り広げます。高度なレベルのオーケストラのアンサンブルに高揚していきます。この1曲だけでも、十分に今日のコンサートは満足でした。ところで今日もオーボエの荒木奏美の演奏にうっとりと聴き惚れます。オーボエはオーケストラの肝ですね。
続くショスタコーヴィチのピアノ協奏曲 第1番はペーター・ヤブロンスキーの豪快なピアノに聴き惚れました。そう言えば、彼のピアノは初聴きかもしれません。ノリのよいリズム感の演奏、強烈なタッチのピアノの響きは圧倒的です。東響の弦楽アンサンブルも最高の演奏です。ショスタコーヴィチの若き日の新古典主義的なノリのよい音楽、そして、軽いユーモアを100パーセント、表現した見事な演奏でした。
ところで、ヤブロンスキーのアンコール曲、ポーランドの女流作曲家グラジナ・バツェヴィチの作品です。1週間ほど前にヴァイオリンのバーエワがアンコール曲に弾いたポーランド奇想曲もグラジナ・バツェヴィチの作品でした。最近、流行っているのでしょうか。saraiは初めて、この作曲家の名前を知ったばかりです。

やはり、ジョナサン・ノットと東響のコンビは素晴らしい! 次は7月にマーラーの交響曲第5番です。楽しみです。11月のサロメ(演奏会形式)はもっと楽しみです。


今日のプログラムは以下のとおりでした。

  指揮:ジョナサン・ノット
  ピアノ:ペーター・ヤブロンスキー
  トランペット:澤田真人(東京交響楽団首席奏者)
  バリトン:ジェームズ・アトキンソン
  合唱:東響コーラス(合唱指揮:冨平恭平)
  管弦楽:東京交響楽団 コンサートマスター:水谷晃

  R.シュトラウス:ドン・ファン Op.20
  ショスタコーヴィチ:ピアノ協奏曲 第1番 ハ短調 Op.35
  《アンコール》グラジナ・バツェヴィチ:ピアノ・ソナタ第2番 第3楽章トッカータ

  《休憩》

  ウォルトン:ベルシャザールの饗宴


最後に予習について、まとめておきます。

1曲目のR.シュトラウスのドン・ファンを予習したCDは以下です。

  ヴィルヘルム・フルトヴェングラー指揮ウィーン・フィル 1954年3月2日 ウィーン、ムジークフェラインザール セッション録音

このドン・ファンが大変な名作であることをまざまざと実感させてくれる凄い演奏です。音質も素晴らしいです。


2曲目のショスタコーヴィチのピアノ協奏曲 第1番を予習したCDは以下です。

  アンナ・ヴィニツカヤ(ピアノと指揮)、トビアス・ヴィルナー(トランペット)、クレメラータ・バルティカ 2014年 ドイツ、ドレスデン・カール・マリア・フォン・ウェーバー音楽大学ホール ライヴ録音

ヴィニツカヤの豪快で繊細さも兼ね備えた素晴らしい演奏です。


3曲目のウォルトンのベルシャザールの饗宴を予習したCDは以下です。

  サー・コリン・デイヴィス指揮ロンドン交響楽団、ピーター・コールマン=ライト(Br)、ロンドン交響合唱団 2008年9月28&30日 ロンドン、バービカンホール ライヴ録音

初演したロンドン交響楽団の演奏。指揮はイギリス音楽のスペシャリストのサー・コリン・デイヴィス。悪かろう筈がありません。合唱がとりわけ、素晴らしいです。



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テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

       ジョナサン・ノット,

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こんにちは

こんにちは。

ジョナサン・ノット氏の公演鑑賞を拝読したく参りました。毎回とても沢山の公演記録を私達に届けて下さり、ありがとうございます。

マエストロは数年前のインタビューにて「実は私は大音量恐怖症なのですよ」と語られましたが、貴重なプログラムの連続です。あの笑顔が見たくて、チケットを買いたくなることがあります。

ショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲は難しく断念しましたけれど、先日『ピアノ協奏曲第1番』を初めて鑑賞しました。キャンセルせざるを得なくなったマツーエフ氏に代わり、チョ・ソンジン氏が出演しました。

7月のマーラー第5番、共演者を見ましたところユリア・クライターの名前が。彼女のリート録音は気に入りましたが、果たしてツェムリンスキー『抒情交響曲』は良かったのか発音が不明瞭だったのか分からず終いです。ご病気のリート王ゲルハーヘル氏の後を継いだエレート氏には冒頭(1番)から末尾(7番)まで『トリスタンとイゾルデ』な魅力(第3番)までリートらしくない歌唱で紡がれ、私の中ではワーストです。改めて、音楽は1人で作られない総合芸術だと感じ学びました。

No title

ミケランジェロさん、saraiです。

遅レスで申し訳けありません。敬愛するジョナサン・ノットをご評価いただき、ありがとうございます。

相変わらず、独自の音楽探求を続けられているようですね。お互い、音楽を楽しみたいものです。

ユリア・クライターはモーツァルトのオペラ、コジとフィガロで素晴らしい歌唱を聴かせてもらいました。今回はベルクの声楽曲ですから、どうなるでしょうね。
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Author:sarai
首都圏の様々なジャンルのクラシックコンサート、オペラの感動をレポートします。在京オケ・海外オケ、室内楽、ピアノ、古楽、声楽、オペラ。バロックから現代まで、幅広く、深く、クラシック音楽の真髄を堪能します。
たまには、旅ブログも書きます。

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 ≪…長調のいきいきとした溌剌さ、短調の抒情性、バッハの音楽の奥深さ…≫を、長調と短調の振り子時計の割り振り」による十進法と音楽の1オクターブの12等分の割り付けに

08/04 21:31 G線上のアリア

じじいさん、コメントありがとうございます。saraiです。
思えば、もう10年前のコンサートです。
これがsaraiの聴いたハイティンク最高のコンサートでした。
その後、ザル

07/08 18:59 sarai

CDでしか聴いてはいません。
公演では小沢、ショルティだけ

ベーム、ケルテス、ショルティ、クーベリック、
クルト。ザンデルリング、ヴァント、ハイティンク
、チェリブ

07/08 15:53 じじい@

saraiです。
久々のコメント、ありがとうございます。
哀愁のヨーロッパ、懐かしく思い出してもらえたようで、記事の書き甲斐がありました。マイセンはやはりカップは高く

06/18 12:46 sarai

私も18年前にドレスデンでバームクーヘン食べました。マイセンではB級品でもコーヒー茶碗1客日本円で5万円程して庶民には高くて買えなかったですよ。奥様はもしかして◯良女

06/18 08:33 五十棲郁子

 ≪…明恵上人…≫の、仏眼仏母(ぶつげんぶつも)から、百人一首の本歌取りで数の言葉ヒフミヨ(1234)に、華厳の精神を・・・

もろともにあはれとおもへ山ざくら 花よりほか

通りすがりさん

コメント、ありがとうございます。正直、もう2年ほど前のコンサートなので、詳細は覚えておらず、自分の文章を信じるしかないのですが、生演奏とテレビで

05/13 23:47 sarai
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