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北村朋幹、磨き抜かれた感性のラヴェル デュトワの老練で完成度の高いフランス音楽 新日本フィルハーモニー交響楽団@東京芸術劇場 2022.6.9

シャルル・デュトワの久々の来日公演。実はsaraiは彼の実演はあまり聴いていなくて、調べてみると、第10回宮崎音楽祭(2005年)にチョン・キョンファが登場するというので、わざわざ聴きに行った際、共演がシャルル・デュトワ指揮NHK交響楽団でした。もしかしたら、その時だけしか実演は聴いていないかもしれません。いずれにせよ、17年ぶりに聴くことになります。
一方、ピアノの北村朋幹は昨年聴いて、ずっと注目しています。昨年は4回聴きましたが、今年は初めてです。大変、期待して聴きます。

前半、最初の曲目、フォーレの組曲「ペレアスとメリザンド」は実に素晴らしい演奏です。肌触りが繊細でとても優しい演奏。フランス音楽の粋を聴く思いです。デュトワの意を組んだ新日フィルのアンサンブルもソット・ヴォーチェのようなタッチの味わい深い音楽を奏でます。第1曲の前奏曲がとりわけ見事でうっとりと聴き入ります。第3曲のシシリエンヌは有名なフルート独奏のメロディーが優しく流れます。そして、第4曲の“メリザンドの死”は劇的でありながら、繊細な音楽の範疇からはみでることはありません。フランスの気品ある精神性の高い音楽に深く感銘を覚えました。さすがにデュトワはフランス音楽の何たるかを語ってくれます。

次はラヴェルのピアノ協奏曲。冒頭はもうひとつに思えた北村朋幹のピアノも第1楽章の途中からは繊細で切れのあるタッチで魅了してくれます。まるでガーシュウィンの音楽のようにジャズっぽい音楽が流れます。そして、第2楽章。北村朋幹のピアノ独奏が切々と抒情的な旋律を歌い上げていきます。素晴らしい演奏に惹き込まれます。どこまでも続いて欲しいピアノ独奏。中間あたりからオーケストラが加わってきます。しかし、主役はピアノのまま。オーケストラが主要旋律を奏でますが、その上で動き回るピアノの響きのピュアーで美しいこと。最後はコールアングレが旋律を奏でる上をピアノが細かい動きで修飾していきますが、そのピアノの響きの美しさはあり得ないような素晴らしさ。北村朋幹の才能がきらきらと輝きます。第3楽章は北村朋幹のピアノが切れのあるタッチで音楽を高揚させます。勢いのある演奏が盛り上がったところでいきなりのフィナーレ。素晴らしい演奏でした。
でも、それ以上に秀逸だったのは北村朋幹のアンコールの演奏。武満徹のピアノ曲を極限まで美しく奏でます。いやはや、凄い才能です。

後半はドビュッシーの交響詩「海」。これもデュトワの手腕が冴えますが、どうもsaraiはこの曲が苦手。曲に入り込めないまま、終わります。なかなかの演奏ではありました。
最後はラヴェルの「ラ・ヴァルス」。高齢ながらデュトワの剛腕が光ります。ウィンナーワルツのような、フランス音楽のような、その境界線上の音楽を素晴らしい響きで奏でます。うーん、なんとも素晴らしい! 聴き惚れているうちに短い曲が終わります。最後はデュトワの音楽に魅せられました。


今日のプログラムは以下です。

  指揮:シャルル・デュトワ
  ピアノ:北村朋幹
  管弦楽:新日本フィルハーモニー交響楽団  コンサートマスター:崔文洙

  フォーレ:組曲「ペレアスとメリザンド」 Op. 80
  ラヴェル:ピアノ協奏曲 ト長調
   《アンコール》武満徹:《雨の樹 素描II―オリヴィエ・メシアンの追憶に―》

   《休憩》

  ドビュッシー:交響詩「海」
  ラヴェル:管弦楽のための舞踏詩「ラ・ヴァルス」


最後に予習について、まとめておきます。

1曲目のフォーレの組曲「ペレアスとメリザンド」は以下のCDを聴きました。

 シャルル・デュトワ指揮モントリオール交響楽団 1987年10月、モントリオール、聖ユスターシュ教会 セッション録音
 
実に繊細で優しい響きの演奏です。


2曲目のラヴェルのピアノ協奏曲は以下のCDを聴きました。

 パスカル・ロジェ、シャルル・デュトワ指揮モントリオール交響楽団 1982年6月、モントリオール、聖ユスターシュ教会 セッション録音
 
パスカル・ロジェのピアノは素晴らしい響きです。


3曲目のドビュッシーの交響詩「海」は以下のCDを聴きました。

 シャルル・デュトワ指揮モントリオール交響楽団 1989年5月、モントリオール、聖ユスターシュ教会 セッション録音
 
1980年代、デュトワとモントリオール交響楽団のコンビはフランス音楽の膨大な録音を残しました。いずれも素晴らしい演奏ばかりです。


4曲目のラヴェルの「ラ・ヴァルス」は以下のCDを聴きました。

 シャルル・デュトワ指揮モントリオール交響楽団 1981年7月、モントリオール、聖ユスターシュ教会 セッション録音
 
これも素晴らしいエスプリに満ちた演奏です。



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テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

       北村朋幹,

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aokazuyaさん

コメントありがとうございます。デジタルコンサートホールは当面、これきりですが、毎週末、聴かれているんですね。ファゴットのシュテファン・シュヴァイゲ

03/03 23:32 sarai

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・スーパースターには、ファゴットのシュテファン・シュヴァイゲルトの名も挙げたいところです。
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03/01 19:22 aokazuya

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08/04 21:31 G線上のアリア

じじいさん、コメントありがとうございます。saraiです。
思えば、もう10年前のコンサートです。
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その後、ザル

07/08 18:59 sarai

CDでしか聴いてはいません。
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クルト。ザンデルリング、ヴァント、ハイティンク
、チェリブ

07/08 15:53 じじい@

saraiです。
久々のコメント、ありがとうございます。
哀愁のヨーロッパ、懐かしく思い出してもらえたようで、記事の書き甲斐がありました。マイセンはやはりカップは高く

06/18 12:46 sarai
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