ヴァイグレ&読売日本交響楽団の至高のブルックナー:交響曲第7番@サントリーホール 2022.6.21
冒頭、低弦の深々とした響きでまず魅了されます。テンポはゆっくりめ。ヴァイグレのドイツ人指揮者らしい重心の低い指揮で読響の低弦がよく鳴ります。あえて対向配置にしないわけが分かるような演奏です。オーケストラの右側の低弦に意識が集中します。木管も見事な演奏。オーボエとフルートの鳴らせ方が素晴らしいです。ブルックナーの交響曲でこんなに木管のパートに意識が向かったのは初めてです。金管もまず無難な演奏です。ともかく、長大な第1楽章は終始、深い感銘を覚えながら、集中して聴き入りました。日本のオーケストラでこれほどのレベルのブルックナーを聴いたのは初めてです。ともかく低弦が素晴らしかったんです。細部まで磨き抜かれた演奏に魅了されました。ヴァイグレが振ると、読響がこんなに鳴るのかと驚愕しました。もう、第1楽章だけで十分にブルックナーを聴いた感じです。第2楽章はワーグナーの死を哀悼する音楽です。期待して聴きますが、第1楽章でsaraiは集中力を使い果たしたせいか、もうひとつ演奏に乗り切れません。心なしか、読響の響きももうひとつ。ノヴァーク版ですから、頂点で激しく打楽器が鳴りますが、それ以外は静謐な響きに感じます。あえて、そういう演奏をしたのでしょうか。saraiとしてはもっとうねるような響きを期待したので、ちょっと肩透かし。第3楽章は定番の勇壮な音楽が鳴り響きます。第4楽章にはいり、saraiも気持ちを入れ直し、集中力を高めます。今度は高弦も低弦も素晴らしい響きを奏でます。まるでパルジファルのごとく、心の痛みを感じさせるような素晴らしい演奏が繰り広げられます。ブルックナーの音楽の本質に切り込んだ凄まじい演奏で頂点に駆け上がります。圧倒的なフィナーレに深く感動しました。今日は両端楽章がとても素晴らしい演奏でした。そして、ブルックナーの交響曲第7番は第8番、第9番にも並び立つ素晴らしい作品であることを再認識しました。よい演奏を聴かせてもらいました。
前半のルディ・シュテファンの管弦楽のための音楽(1912年)は初めて聴きます。ルディ・シュテファンの名前も初めて知りました。範疇としては後期ロマン派に分類されるのでしょうが、彼独自の音楽になっています。これもヴァイグレの素晴らしい指揮、読響の美しいアンサンブルに魅了されました。
今日のプログラムは以下です。
指揮:セバスティアン・ヴァイグレ
管弦楽:読売日本交響楽団 コンサートマスター:小森谷 巧
ルディ・シュテファン:管弦楽のための音楽(1912年)
《休憩》
ブルックナー:交響曲第7番 ホ長調 WAB 107(ノヴァーク版)
最後に予習について、まとめておきます。
1曲目のルディ・シュテファンの管弦楽のための音楽(1912年)は以下のCDを聴きました。
オレグ・カエターニ指揮メルボルン交響楽団 2005年3月8~11日、メルボルン、ロバート・ブラックウッド・ホール セッション録音
初めて聴く曲ですが、特にテンポの速いパートの勇壮な演奏に心惹かれました。
2曲目のブルックナーの交響曲第7番は以下のCDを聴きました。
カール・シューリヒト指揮ハーグ・フィル 1964年9月 セッション録音
非力と思われるハーグ・フィルですが、シューリヒトの指揮のもと、美しいブルックナーを聴かせてくれます。
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