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課題はあるものの高揚させられたモーツァルトの交響曲 第41番 「ジュピター」 鈴木優人&NHK交響楽団@サントリーホール 2022.6.22

今日はモーツァルトの交響曲 第41番 「ジュピター」に注目しました。鈴木優人のモーツァルトにはいつも感心させられているからです。
さて、今日も第1楽章から、張りのある演奏です。きびきびした表現はオリジナル派に特有な表現に思えます。N響のそれなりに規模の大きな編成でこの引き締まった演奏は素晴らしいです。古典派の交響曲の集大成のような音楽に魅了されます。そもそも、saraiがクラシック音楽を本格的に聴きだしたのは中学1年生のとき。親に無理を言って買ってもらったコンソール型のステレオで初めて聴いたレコードがこのジュピターと運命でした。とりわけ、このジュピターにいたく感銘を受けました。ワルター指揮コロンビア交響楽団の演奏でした。ステレオにかじりついて聴いていました。それから、ほぼ60年、クラシック音楽を聴き続けていますが、saraiの原点とも言うべき音楽がこのモーツァルトです。実に素晴らしい第1楽章が終わり、第2楽章にはいります。うーん、これは何か捉えどころのない演奏です。もっと深い表現がほしいですね。第3楽章は持ち直しますが、まあ、普通の演奏です。ところが第4楽章にはいると一変します。バッハに造詣の深い鈴木優人、フーガの奥義を極めつくしています。ジュピター音型「C-D-F-E」が出現し、フーガが波のように押し寄せてきます。そのフーガがソナタ形式と見事に融合し、得も言われぬ音楽になっています。天才モーツァルトが到達した素晴らしい音楽を鈴木優人はN響のアンサンブルを自在にドライブして、疾走していきます。これは凄い。ただただ、圧倒されるのみです。そして、音楽は緊迫度を高めていき、圧倒的な頂点で幕を閉じます。ブラボー!! なんとも素晴らしい演奏、音楽でした。何故、指揮者コールしなかったのか、不明です。

前半、冒頭はバッハのパッサカリアとフーガ ハ短調 BWV582のオーケストラ編曲版です。鈴木優人がその才人らしいところを見せて、彼自身が編曲したバージョンの世界初演です。ストコフスキーの編曲が有名ですが、あれはエンターテイメント性の高いもので、今日の鈴木版のほうがバッハらしい峻厳さを感じさせる出来です。それでいて、多彩な楽器の使い分けで変化の多い見事な編曲になっています。オルガン奏者としても一流の鈴木優人ならではの編曲ですね。とても素晴らしい演奏でした。N響のアンサンブルも見事に機能していました。

前半、最後のブリテンのヴァイオリン協奏曲はヴァイオリンの郷古 廉の真摯な姿勢の音楽が感銘を呼びます。ヴァイオリンの響きも素晴らしく、彼の成長を感じられる演奏でした。彼は今年からこのN響のゲスト・アシスタント・コンサートマスターになり、コンサートマスターの隣で演奏する姿を見るようになりました。ソロ活動はどうなるのか、心配になりましたが、それは杞憂だったようです。ソリストとしても日本を代表するヴァイオリニストへの道を順調に歩んでいるようです。応援したいヴァイオリニストの一人です。

お昼の田原綾子らによるモーツァルト尽くしのコンサートに続いて、これは今日、2回目のコンサートでしたが、ここでも素晴らしいモーツァルトが聴けました。


今日のプログラムは以下のとおりでした。

  指揮:鈴木優人
  ヴァイオリン:郷古 廉
  管弦楽:NHK交響楽団 コンサートマスター:篠崎史紀

  バッハ(鈴木優人編):パッサカリアとフーガ ハ短調 BWV582
  ブリテン:ヴァイオリン協奏曲 Op.15
   《アンコール》イザイ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ 第4番 ホ短調 Op.27-4 第2楽章「サラバンド」

   《休憩》

  モーツァルト:交響曲 第41番 ハ長調 K. 551 「ジュピター」


最後に予習について、まとめておきます。

1曲目のバッハのパッサカリアとフーガ ハ短調 BWV582を予習したCDは以下です。

  ヤニック・ネゼ=セガン指揮フィラデルフィア管弦楽団 2013年3月 フィラデルフィア、ヴェリゾン・ホール セッション録音

有名なストコフスキー編曲のバッハ作品をまとめたアルバムです。ストコフスキーを彷彿とさせる豊饒なサウンドです。


2曲目のブリテンのヴァイオリン協奏曲を予習したCDは以下です。

  ジャニーヌ・ヤンセン、パーヴォ・ヤルヴィ指揮ロンドン交響楽団 2009年7月18-19日 セッション録音

ジャニーヌ・ヤンセンのヴァイオリンの美しい響きが光ります。


3曲目のモーツァルトの交響曲 第41番 「ジュピター」を予習したCDは以下です。

  ジョージ・セル指揮クリーヴランド管弦楽団 1963年10月11日&25日 クリーヴランド、セヴェランス・ホール セッション録音

何とも、これほど完成度の高い演奏に出会うことはまず、ありません。これを完璧と言わずしてという思いに駆られます。だからと言って、決して、人間的な温もりが欠けているわけではありません。第2楽章の深い抒情には参ります。もちろん、第4楽章の目くるめき演奏には感動あるのみです。



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