東京都響、ボージチ、フレディ・ケンプ@東京文化会館 2011.11.11
今日のキャスト、プログラムは以下です。
指揮:ヴォルフガング・ボージチ
ピアノ:フレディ・ケンプ
管弦楽:東京都交響楽団
モーツァルト:ピアノ協奏曲第23番 イ長調 K.488
《休憩》
R・シュトラウス:家庭交響曲 Op.53
最初はモーツァルトのピアノ協奏曲。ピアノはフレディ・ケンプ、チャイコフスキーコンクールで3位になった人気ピアニストとのことですが、saraiは初聴きです。名前から、ウィルヘルム・ケンプを思い出しますが、事実、彼の父親はドイツ人でウィルヘルム・ケンプと親戚関係とのことです。さて、彼の演奏ですが、音楽性はあり、どんなモーツァルトを弾こうとしているか、意図は分かりますが、モーツァルトの音楽にしては、タッチの均一性や粒立ちの揃い具合が今一つ。テクニックの面からの課題がありそうです。ただ、第2楽章の中間あたりから、演奏の精度はかなり良くなったことは確かで、第3楽章はかなりの好演とも言えます。最初から、この調子だったらと悔やまれます。もちろん、saraiはかなり響きの良くない席で聴いていたし、今週はアヴデーエワ、ペライア、内田光子という素晴らしいピアノを聴いていたので、その分、厳し過ぎる聴き方をしていたかも知れないので、彼のファンの方には悪しからず。
アンコール曲はショパンの練習曲《別れの曲》。これも今週、ペライアのアンコール曲で素晴らしい演奏を聴いたばかりで、今一つに感じたのは致し方のないところかも知れません。
オーケストラは第1ヴァイオリンが文字通り、目を惹きました。コンサートマスターの四方恭子以下、10人ずらっと全員女性が並びます。東京都響が誇る強力な女性奏者たち。彼女らの音が東京都響の響きそのものと言っても差し支えないほど素晴らしい演奏家たちです。弦楽合奏が主体のモーツァルトのこの協奏曲、美しく響かせていました。それにしてもこの曲は弦以外は管が7人だけ。打楽器もなし。何とすっきりした構成でここまでの曲を作り上げたことか、モーツァルトの才能は無限です。
休憩後はR・シュトラウスです。今度はステージいっぱいに大オーケストラが並びます。この《家庭交響曲》は表題音楽ですが、その内容は幸せな家庭の日常ということで、それを如何に音楽で表現したかというのを聴くのも一興です。ただ、saraiはこの手の標題音楽は苦手です。オペラのように言葉を使って表現するのは大好きですが、楽器のみの場合は絶対音楽が好きです。R・シュトラウスの場合、オペラは大好きなのに交響詩とかはなかなか馴染めません。で、今日は聴き方を工夫して、表現している具体的な内容はなるべく無視して、絶対音楽のように聴いてみました。変な聴き方かも知れませんが、結果的にはこれは良さそうです。これからはR・シュトラウスの交響詩はこんな風に聴いてみようかと思っています。
それはそれとして、今日の東京都響の演奏は素晴らしいの一語です。R・シュトラウスの音の響きが多彩に演奏されて、圧倒的です。こんな演奏はもっとステージ近くのよく響く席で堪能してみたかったものです。各ソロパートもよく演奏していました。とりわけ、四方恭子のソロヴァイオリンの素晴らしい響きにはうっとりです。フィナーレでの盛り上がりでの弦・管の合奏の迫力は響きの美しさと相俟って、何もいうことがありません。最近の東京都響の演奏でもトップクラスのものでした。
次のフルシャの指揮するドヴォルザークの《スターバト・マーテル》が楽しみになりました。
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