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ベルチャ・クァルテット、さすがのベートーヴェンとシューベルト@トッパンホール 2022.10.10

今年は海外からの現代を代表する弦楽四重奏団の来日が相次いでいます。これまでコロナ禍で聴けなかった残念な思いが一掃されます。エベーヌ・クァルテット、タカーチ・クァルテットなど、さすがの素晴らしい演奏に唸らされました。今日はいよいよベルチャ・クァルテット。期待が高鳴ります。

ベルチャ・クァルテットはルーマニア出身のヴァイオリニスト、コリーナ・ベルチャ率いるイギリスのクァルテットですが、現在のメンバーにはイギリス人は一人もいないというインターナショナルな団体になっています。まあ、イギリスのクァルテットの血を引き継いでいるとも言えるのかもしれません。

前半はベートーヴェンの弦楽四重奏曲第7番《ラズモフスキー第1番》。第1楽章はチェロの弾く英雄的なテーマで始まりますが、今ひとつ、響きが弱い感じです。ベルチャのヴァイオリンが加わり、徐々に響きがよくなりますが、もうひとつです。テンポはやや早めで颯爽とした演奏ではあります。第2楽章に入り、エンジン全開で響きがよくなり、演奏も熱を帯びてきます。さすがの演奏です。ただ、演奏自体は申し分ありませんが、心の琴線にふれてくるところがもう一つ。予習で聴いた彼らの凄い演奏に比べると、期待通りではありません。第3楽章の美しい演奏も素晴らしいのですが、ベートーヴェンの後期を思わせるような深さには至っていません。
結局、彼らのCDの出来に比べて、70~80%の出来でしょうか。絶好調の演奏には感じられません。もちろん、一般のレベルから言えば、十分以上の出来ですが、彼らの実力はこんなものではないでしょう。

後半はシューベルトの弦楽四重奏曲第14番《死と乙女》。これは第1楽章から素晴らしい響きで激しい演奏を聴かせてくれます。激しさだけでなく、実に繊細で完璧な演奏です。第2楽章の有名な《死と乙女》の伴奏旋律をもとにした抒情的な音楽も見事です。激しく燃え上がったり、狂おしく悶えるような圧巻の演奏です。第3楽章も第4楽章も完璧で熱い演奏に感動します。シューベルトの孤高の魂を具現化するような素晴らしい演奏でした。ただし、彼らのレベルでは当然の演奏かもしれません。最近聴いたばかりのタカーチ・クァルテットのような衝撃は受けませんでした。

むしろ、アンコールで弾いたベートーヴェンのカヴァティーナ、ショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲第3番、ドビュッシーの弦楽四重奏曲のほうがあっけにとられるほど、素晴らしい演奏でした。特にショスタコーヴィチ、ドビュッシーの素晴らしさは彼らの実力をまざまざと示すものでした。トッパンホールで3日間シリーズでもやってくれれば、彼らの本当の実力が発揮されたかもしれません。また、再度の来日を期待しましょう。


今日のプログラムは以下です。

  ベルチャ・クァルテット
   コリーナ・ベルチャ(ヴァイオリン)
   アクセル・シャハー(ヴァイオリン)
   クシシュトフ・ホジェルスキー(ヴィオラ)
   アントワーヌ・レデルラン(チェロ)

  ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第7番 ヘ長調 Op.59-1《ラズモフスキー第1番》

   《休憩》

  シューベルト:弦楽四重奏曲第14番 ニ短調 D810《死と乙女》

   《アンコール》

  ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第13番 変ロ長調 Op.130より 第5楽章 Cavatina
  ショスタコーヴィチ:弦楽四重奏曲第3番 ヘ長調 Op.73より 第3楽章 Allegro non troppo
  ドビュッシー:弦楽四重奏曲 ト短調 Op.10より 第3楽章 Andantino, doucement expressif

最後に予習について、まとめておきます。

ベートーヴェンの弦楽四重奏曲第7番《ラズモフスキー第1番》を予習したCDは以下です。

  ベルチャ・クァルテット 2011-2012 年、オールドバラ、スネイプ・モルティングス、ブリテン・スタジオ セッション録音

現代のベートーヴェンの弦楽四重奏曲のスタンダードとも思える完璧で切れ込みのある演奏です。全集盤からの1枚です。


シューベルトの弦楽四重奏曲第14番《死と乙女》をはタカーチ・クァルテットで聴いたばかりなので、予習していません。



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