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田部京子と上岡敏之の最高のベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番 新日本フィルハーモニー交響楽団@すみだトリフォニーホール 2022.10.15

1昨年はコロナ禍での代役とは言え、田部京子が弾くベートーヴェンのピアノ協奏曲を聴く機会が多くて、その素晴らしい演奏に魅了されました。今回も代役ですが、コロナ禍は関係なく、ラルス・フォークトの突然の死によってのものです。彼のご冥福をお祈りします。ともあれ、田部京子の名作が聴けるとのことで、急遽、このコンサートに駆けつけることにしました。田部京子が代役で演奏することを教えてくれて、チケット購入の便宜を図ってくれたお友達のSteppkeさんに感謝します。期待通りの素晴らしい演奏でした。

その演奏について、早速、感想を書いてみます。
ベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番の第1楽章はピアノ独奏から始まります。田部京子はいつも通りの丁寧で繊細なピアノ演奏です。続いて、オーケストラの演奏が始まります。抑えた演奏から徐々に熱を帯びてきます。上岡敏之の音楽の持っていきかたの素晴らしさに感銘します。失礼ながら、こんなに素晴らしい指揮をするとは思っていなかったので、驚きました。この後も上岡敏之の素晴らしい指揮でベートーヴェンを堪能しました。田部京子のピアノは絶好調。テクニックも音楽性も文句ないレベルですっかり魅了されます。第1楽章のカデンツァは実に素晴らしい演奏。最高の演奏で魅了してくれます。トリルの見事さには脱帽です。それに音楽だけでなく、彼女の鍵盤の上を走る手の動きの美しさにも感銘を覚えます。

第2楽章は田部京子の独壇場のピアノ演奏です。オーケストラの強奏とナイーブなピアノ独奏が交互に続くベートーヴェンの独創的な音楽で、田部京子の抒情味豊かなピアノの響きが心を打ちます。オーケストラの激しい荒波に耐える一輪のか弱い花が美しい歌を歌い上げます。究極の弱音(ピアノ)の美しさが見事過ぎます。そして、その果てに田部京子だけが表現できる美しい詩情が高潮します。さらに素晴らしいトリルで音楽は絶頂を迎えます。感動の第2楽章でした。思わず、脳裏に少女時代のマルタ・アルゲリッチがクラウディオ・アラウの演奏を聴いて、この同じ部分で音楽とは何かということを初めて悟ったという逸話が浮かび上がります。アルゲリッチはその後、この曲の演奏を封印したそうです。多分、今でも弾いていないのではないでしょうか。確かに録音で聴くアラウの演奏の素晴らしさは極め付きと言えますが、今日の田部京子の美しい詩情はそれ以上にも思えます。

第2楽章から第3楽章への移行も素晴らしいです。田部京子と上岡敏之の息もぴったり合って、第3楽章が始まります。第3楽章は一転して、切れのよいピアニズムで進行します。そして、圧巻のフィナーレ。終わってみれば、これ以上はない最高のベートーヴェンでした。田部京子のピアノも最高でしたが、上岡敏之のサポートの素晴らしかったこと! 彼はこんなに素晴らしい指揮者だったのですね。新日フィルの音楽監督を去ったことが今更ながら、残念に思えます。

さて、前半の冒頭のモーツァルトのフルートとハープのための協奏曲ですが、フルートの上野星矢は低域から高域まで素晴らしい響きで、レガートの美しさはもとより、タンギングの歯切れのよさまで、完璧な演奏でした。ハープの山宮るり子も素晴らしい演奏で、お二人の演奏は見事としか言えません。以前聴いたエマニュエル・パユとマリー=ピエール・ラングラメの素晴らしかった演奏にもひけをとらないレベルの演奏でした。

後半はブラームスの交響曲第2番。これが何とも素晴らしい演奏。ここでも上岡敏之の指揮に感銘を覚えます。ぴたっとはまったブラームスの音楽表現。少し金管の音色が明る過ぎるきらいはありますが、弦の美しい表現には絶句します。音楽が高潮するときの上岡敏之の熱く燃え上がる指揮にオーケストラだけでなく、saraiの心も鼓舞されます。ヴェルター湖のほとりの町、ペルチャッハの美しい自然を彷彿とさせる演奏です。ドイツでの生活が長い上岡敏之の心に沁みついたブラームスの音楽表現なのかなと思いつつ、ロマン派の音楽を堪能しました。ブラームスの交響曲の全曲を聴いてみたい気持ちになっています。

今日のコンサート、どの演奏も大変、満足しました。いつもこんなレベルのコンサートを聴かせてくれるのならば、新日フィルの定期会員になりたいくらいです。でも、上岡敏之は既に音楽監督の座を退いたのですね。残念です。

さて、今日はこの後、サントリーホールに移動して、この日2度目のコンサートです。ジョナサン・ノット指揮の東響の演奏で期待のショスタコーヴィチの交響曲第4番を聴きます。実は一期一会のもの凄い演奏を聴くことになりますが、その記事は別稿でご報告します。


今日のプログラムは以下です。

  指揮:上岡敏之(新日本フィル 第4代音楽監督)
  フルート:上野星矢
  ハープ:山宮るり子
  ピアノ:田部京子
  管弦楽:新日本フィルハーモニー交響楽団  コンサートマスター:崔文洙

  モーツァルト:フルートとハープのための協奏曲 ハ長調 K.299
  ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第4番 ト長調 Op.58

   《休憩》

  ブラームス:交響曲第2番 ニ長調 Op.73


最後に予習について、まとめておきます。

1曲目のモーツァルトのフルートとハープのための協奏曲は以下のCDを聴きました。

 ジャン=ピエール・ランパル、リリー・ラスキーヌ、ジャン=フランソワ・パイヤール指揮パイヤール室内管弦楽団 1963年 セッション録音
 
定番中の定番。saraiが子供の頃から慣れ親しんでいる演奏を久しぶりに聴きました。懐かしい演奏を聴き、満足しました。


2曲目のベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番は以下のCDを聴きました。

 クラウディオ・アラウ、ベルナルト・ハイティンク指揮アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団 1964年4月 アムステルダム、コンセルトヘボウ セッション録音
 
アラウの旧盤です。この20年後にデイヴィスとドレスデン・シュターツカペレと共演した録音もあります。あえて、若い頃、と言っても60代ですが、十分なテクニックがあったころの演奏を聴きました。美しいピアノの響き、そして、溜めの効いた演奏が見事です。


3曲目のブラームスの交響曲第2番は以下のCDを聴きました。

 オットー・クレンペラー指揮フィルハーモニア管弦楽団 1956年10月 セッション録音
 
クレンペラーと言うと、無骨なイメージがありますが、とても美しいロマンに満ちた演奏です。最近、クレンペラーを再評価して、よく聴くようになってきました。



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テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

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aokazuyaさん

コメントありがとうございます。デジタルコンサートホールは当面、これきりですが、毎週末、聴かれているんですね。ファゴットのシュテファン・シュヴァイゲ

03/03 23:32 sarai

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03/01 19:22 aokazuya

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10/07 08:57 堀内えり

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08/04 21:31 G線上のアリア

じじいさん、コメントありがとうございます。saraiです。
思えば、もう10年前のコンサートです。
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07/08 18:59 sarai

CDでしか聴いてはいません。
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クルト。ザンデルリング、ヴァント、ハイティンク
、チェリブ

07/08 15:53 じじい@

saraiです。
久々のコメント、ありがとうございます。
哀愁のヨーロッパ、懐かしく思い出してもらえたようで、記事の書き甲斐がありました。マイセンはやはりカップは高く

06/18 12:46 sarai
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