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ジョナサン・ノットのショスタコーヴィチの交響曲第4番を聴く喜び! 東京交響楽団@サントリーホール 2022.10.15

これは昨日聴いたコンサートです。この日、2回目のコンサート。トリフォニーホールから、地下鉄を乗り継いで、サントリーホールに移動しました。

今月は毎週、ジョナサン・ノット指揮の東響が聴けて、とても喜ばしいことです。それに今日は期待のショスタコーヴィチの交響曲第4番が聴けます。そして、その演奏はsaraiの期待を大きく上回り、一期一会とも思える凄まじいものでした。この曲は秘かにショスタコーヴィチの交響曲の中で最高傑作だと思っていましたが、今日の演奏でそれが確信できました。

休憩をはさんで、後半がショスタコーヴィチの交響曲第4番です。有名な第5番のひとつ前の交響曲ですが、そのあまりに先鋭さのため、ソ連の体制が雪解けに向かうまで、何と25年も発表されなかった、いわくつきの交響曲です。大編成のオーケストラが対向配置でステージにあふれるほど並んでいます。
曲の構成は長大な第1楽章、第3楽章と短めの第2楽章から成ります。第1楽章はいきなり金属的な大音響で開始されます。明確な強いリズムを刻みながらぐいぐいと音楽が進んでいきます。大編成のオーケストラの音響の洪水です。やはり、ジョナサン・ノットがコントロールする東響のサウンドは今日は実に快調に鳴り、大音響にもかかわらず、よく揃った素晴らしい響きです。そして、抑えるべきところはぐっと抑え、それでもしっかりと引き締まった音響です。東響の響きはまさに絶好調。ジョナサン・ノットが振ると東響の響きは一段も二段も上のレベルに駆け上がります。ところで、音響の素晴らしさはもちろんのこと、ノットの音楽表現は実に真摯なもので、この音楽の真髄を示すような素晴らしさです。第1楽章はソナタ形式なんだそうですが、曲の構成が複雑で明快なものではありません。しかし、今日のような説得力のある演奏では、そんなことは問題ではなく、saraiの音楽受容力のすべてを集中して、音楽に浸り込みます。第1楽章の後半はプレストになり、弦楽合奏のものすごいスピードの演奏でスリリングです。東響の素晴らしいヴァイオリン奏者たちの技量が存分に発揮されます。ヴィオラもチェロも凄まじい勢いの演奏です。それでいて、きっちりとアンサンブルが整っているというまさに入神の演奏に圧倒されます。音楽的本質はどこにあるのか、難しいところですが、音響とリズムを融合した音楽表現はともかく究極のものです。あまりの凄さに興奮状態にいると、第2ヴァイオリン奏者の女性が倒れて、意識を失ったようです。スタッフのかたが急遽、彼女を舞台から運び出しましたが、ご無事なことをお祈りするばかりです。ノットはそんな状況下でも演奏を続行して、凄まじい演奏を繰り広げます。saraiは心中、動揺しますが、どうすれば、この場合、正解なのかは分かりません。ただ、ノットとて、色んな考えが錯綜した筈で、ただただ、音楽にかける厳しい情熱はきっと命がけのものだろうと想像して、saraiも気持ちを入れ換えて、音楽に集中することにします。saraiも単なるエンターテインメントとしての音楽を聴いているわけではなく、人生のすべてをこの音楽芸術に捧げているつもりです。それは東響のメンバーの方も同じ思いの筈で、だからこそ、気持ちの動揺を抑えて、演奏に集中しているんでしょう。saraiは気合いを入れ直して、第1楽章の残り、4分の1ほどを聴き終えます。

第2楽章はそれまでに比べると、優美とも言っていいメロディアスな音楽です。途中、音響の炸裂はありますが、構成もシンプルで、東響の演奏も美しい響きを奏でます。

第3楽章はラルゴのゆったりした旋律で長閑な開始です。葬送的とも言えますが、そんなに深刻ではありません。途中からアレグロのトッカータ風スケルツォに変わり、また、第1楽章のように推進力の強い音楽が展開されます。魔笛やカルメンの断片も織り交ぜ、実に複雑な音楽です。次いで緩やかな舞曲が展開されます。最終部にはいると、ティンパニの連打に続き、金管のコラールあるいはファンファーレが炸裂、ものすごい音響の嵐です。そして、突然、嵐がすっと引き、穏やかで瞑想的な部分が始まります。ある意味、この交響曲のクライマックスとも言えます。ジョナサン・ノットの素晴らしい音楽表現が冴えて、静謐に音楽を閉じます。

いやはや、参りました。ジョナサン・ノットと東響の演奏をずっと聴いてきましたが、今日はその総決算とも言っていい最高にして究極の演奏でした。そうそう、コンサートマスターの小林壱成のヴァイオリンのソロはとても素晴らしかった。さすがです。

前半のラヴェルの道化師の朝の歌(管弦楽版)も高い精度の演奏で東響のアンサンブルに聴き惚れました。ラヴェルの歌曲集「シェエラザード」はソプラノの安川みくの緊張感高い歌唱でしたが、もう少し、伸びやかさがほしいところでした。今後の成長を待ちたいものです。


今日のプログラムは以下のとおりでした。

  指揮:ジョナサン・ノット
  ソプラノ:安川みく
  管弦楽:東京交響楽団 コンサートマスター:小林壱成

  ラヴェル:道化師の朝の歌(管弦楽版)-鏡より
  ラヴェル:歌曲集「シェエラザード」

  《休憩》

  ショスタコーヴィチ:交響曲 第4番 ハ短調 Op.43


最後に予習について、まとめておきます。

1曲目のラヴェルの道化師の朝の歌(管弦楽版)を予習したCDは以下です。

  アンドレ・クリュイタンス指揮パリ音楽院管弦楽団 1961~62年 セッション録音

素晴らしい演奏です。


2曲目のラヴェルの歌曲集「シェエラザード」を予習したCDは以下です。

  マグダレナ・コジェナー、サイモン・ラトル指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 2012年1月 ベルリン、フィルハーモニー ライヴ録音
 
コジェナーはもともと独特の音楽的表現力に長けていましたが、こんなに美声だったでしょうか。夫君のラトル指揮ベルリン・フィルの伴奏も万全です。思わず、聴き入りました。素晴らしい!


3曲目のショスタコーヴィチの交響曲 第4番を予習したCDは以下です。

  コンドラシン指揮モスクワ・フィルハーモニー管弦楽団 1962年 セッション録音

コンドラシン指揮モスクワ・フィルハーモニー管弦楽団はその前年に25年間、お蔵入り(実際はショスタコーヴィチの抽斗の中?)していたこの作品を初演したコンビ。当時、スターリンが死に、いくら雪融けって言っても、いわくつきの作品の演奏はソヴィエト体制下ではリスクがあった筈です。あっぱれ!コンドラシン。その気概が乗り移ったような迫力と抒情に満ちた名演です。この演奏は一度は聴かないといけないでしょうね。



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ジャンル : 音楽

       ジョナサン・ノット,

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