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春の祭典 完全版 なのか! クラウス・マケラ&パリ管弦楽団@サントリーホール 2022.10.17

今日は本当は昨日聴いた95歳の超高齢の巨匠、ブロムシュテットのもう2度と聴けないであろうマーラーの交響曲第9番のコンサートの記事を書くつもりでしたが、それは明日書くことにして、今日聴いた弱冠26歳のクラウス・マケラ率いるパリ管弦楽団の恐るべきコンサートについて書きます。明日もサントリーホールで同じコンビのコンサートがありますが、財政的事情であえて、今日のコンサートを選びました。明日はアリス=紗良・オットの注目すべきラヴェルのピアノ協奏曲がありますが、今日のコンサートでマケラの指揮するストラヴィンスキーの春の祭典をどうしても聴きたかったので、今日にしました。その思いは完全に叶えられました。まさにこれこそ、春の祭典の完全版(そんなものはありませんけどね)だという凄い演奏が聴けました。

前半はドビュッシーとラヴェル。まず、ドビュッシーの交響詩《海》。これはsaraiの苦手の曲です。何となく、とりとめがないように思えてしまうんです。今日の演奏は色彩感あふれる演奏でとても聴き映えがします。特に大音響で鳴り響くところは少し心を揺さぶられます。この曲のとっかかりが掴めたような気がします。何と言っても音の響きが斬新であることに気づかされました。何と言うか、一種の現代音楽のように音の響きを楽しめばよいのではないかと思えました。海の風景をイメージしていたら、だめなんですね。それにしても、マケラの表現は実に新鮮さにあふれています。

次はラヴェルのボレロ。これもちょっと期待して聴きます。しかし、最初のほうのソロ楽器が同じ旋律を演奏する部分、これは誰が指揮しても同じですね。事実、最初のフルートの演奏ではマケラは手を下ろして、指揮していません。弦楽器のアンサンブルが登場して、ちょっと様子は変わります。何か、いつもとは違う印象です。そして、トゥッティで全楽器が演奏し始めると、物凄い迫力。これまで聴いたことのないような世界になります。しかも、マケラは指揮台上でもう素晴らしい踊りを舞っています。マケラの引き締まった体躯によるバレエもどきを鑑賞しつつ、とてつもないフィナーレを迎えます。今までは中途半端なミニマル音楽のはしりとしか思っていなかったボレロですが、全然、ミニマル音楽とは無縁であることが分かりました。それにシャルル・ミュンシュのように終盤のテンポを上げることなく、切れと響きの重層構造でここまで音楽を高潮させるとは恐るべき才能としか言えません。きっと2度と聴けないボレロです。凄過ぎる演奏でした。

休憩後、いよいよ、今日のメイン、ストラヴィンスキーの春の祭典です。冒頭はファゴットの非常に高音域の演奏で古い民謡調の有名な旋律が流れます。さすがにパリ管の管の響きは魅了されます。管のソロを中心に組み立てたパートの素晴らしい演奏が続き、いよいよ、弦のガッガッガッ・・・という蒸気機関車の推進音のような響きが始まります。えっ、意外に抑えた演奏で物凄い響きではありません。少し、肩すかし。しかし、これも計算の上みたい。第1部は時折、凄い音響で高潮しますが、最後の大地の踊りのフィナーレでがーっと盛り上がって、いったん、終了。第2部もおとなしめに展開していきます。すべては最後の生贄の踊り(選ばれし生贄の乙女)に向かって収斂していきます。ここが凄かった! 音響の凄まじさにも圧倒されますが、変拍子の連続で頭がおかしくなるようなリズムの狂乱。一体、どんな構造になっているのか、驚嘆せずにはいられない音楽です。今まで、この曲の何を聴いてきたのか・・・これが春の祭典の完全版なんですね。驚嘆とショックではらわたが煮えくり返るような衝撃を受けます。作曲したストラヴィンスキーが凄いのか、それを完璧に演奏するマケラが凄いのか。これ以上聴いていたら、こちらのほうが生贄になりそうなところで圧巻のフィナーレ。まさに題名通り、生贄の踊りで踊り狂った乙女は死に至るでしょう。音楽表現の究極を聴きました。

クラウス・マケラ凄し! クルレンツィスも凄いですが、これからの音楽界はクラウス・マケラの世界になるという確信を持ちました。生きているうちにこういうものを聴けて、よかった・・・。


今日のプログラムは以下です。

  指揮:クラウス・マケラ
  管弦楽:パリ管弦楽団  コンサートマスター:千々岩英一

  ドビュッシー:交響詩《海》管弦楽のための3つの交響的素描 La Mer, trois esquisses symphoniques pour orchestre
   第1楽章「海上の夜明けから真昼まで」De l'aube à midi sur la mer
   第2楽章「波の戯れ」Jeux de vagues
   第3楽章「風と海との対話」Dialogue du vent et de la mer
  ラヴェル:ボレロ Boléro

   《休憩》

  ストラヴィンスキー:春の祭典 Le Sacre du printemps
   第1部 大地の礼賛
    序奏
    春のきざし(乙女達の踊り)
    誘拐
    春の輪舞
    敵の部族の遊戯
    長老の行進
    長老の大地への口づけ
    大地の踊り
   第2部 生贄の儀式
    序奏
    乙女の神秘的な踊り
    選ばれし生贄への賛美
    祖先の召還
    祖先の儀式
    生贄の踊り(選ばれし生贄の乙女)

   《アンコール》
  ムソルグスキー:『ホヴァーンシチナ』より  前奏曲『モスクワ川の夜明け(Рассвет на Москве-реке)』



最後に予習について、まとめておきます。

1曲目のドビュッシーの交響詩《海》は以下のCDを聴きました。

 ジャン・マルティノン指揮フランス国立放送管弦楽団 1973年 セッション録音

なかなかよい演奏です。スタンダードにしてもよいでしょう。


2曲目のラヴェルのボレロは以下のCDを聴きました。

 シャルル・ミュンシュ指揮パリ管弦楽団 1968年9月 パリ、サル・ワグラム セッション録音
 
終盤の盛り上がりは凄まじいものです。決定盤と言えるでしょう。


3曲目のストラヴィンスキーの春の祭典は以下のCDを聴きました。

 テオドール・クルレンツィス指揮ムジカエテルナ 2013年10月7日~9日 ケルン、シュトルベルガー・シュトラーセ 7 セッション録音

天才指揮者、マケラの予習ですから、やはり、天才指揮者の演奏を聴かないといけないでしょう。クルレンツィスはやはり、とんでもない凄い演奏を聴かせてくれます。



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       マケラ,

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