アンスネス、ネルソンズ、ウィーン交響楽団@ウィーン楽友協会 2011.10.28
今日聴いてみて、どうだったかと言えば、やりたい放題やられて、感動というのとはちょっと違いますが、すっかり興奮しまくったという次第。それについては後述します。また、ピアノ独奏のアンスネスはと言えば、出だし、しっくりとこないところもありましたが、途中からは詩情あふれるリリシズムと小気味よい軽快なタッチでベートーヴェンを楽しませてくれました。
今日のプログラムは以下です。
指揮:アンドリス・ネルソンズ
ピアノ独奏:レイフ・オヴェ・アンスネス
管弦楽:ウィーン交響楽団
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第1番ハ長調Op.15
《アンコール》
ショパン:プレリュード第17番 変イ長調Op.28-17
《休憩》
マーラー:交響曲第1番ニ長調《巨人》
ロジェの最前列の席で見通しも音響もよく、快適に演奏を楽しむことができました。
まずはアンスネスのピアノ独奏でベートーヴェンのピアノ協奏曲第1番です。ネルソンズ指揮のウィーン交響楽団はのっけからベートーヴェンらしく堂々として、凛とした演奏で気持ち良くかっちりした響きを展開します。楽友協会のホールにも小編成ながら響きが満ちていることが分かります。座席にも低音の響きが体に直接伝わってきて、心地よい感じです。アインザッツがびしびし決まり、これぞベートーヴェンって感じです。独奏ピアノがはいってきます。アンスネスは北欧の響き、暗く沈んだ響きで明快なオーケストラの響きとは乖離があります。ピアノだけ、孤独に沈んだ感じ。ベートーヴェンとは異質の世界。もどかしい感じです。このまま、第1楽章は終了。
第2楽章は抒情的な独奏ピアノから開始します。ん、これはロマンチックな感じです。ピアノが詩情豊かにメロディーを歌い上げ、オーケストラも綺麗にからんでいきます。うっとりと聞き惚れます。ベートーヴェンの少し武骨な抒情とは異なるような気もしますが、こういう美しい演奏も新鮮ですがすがしく感じます。第2楽章はとても素晴らしい演奏でした。第3楽章はまた第1楽章のようにピアノが暗く沈むのかと思いきや、軽快で颯爽とした演奏です。ネルソンズの好サポートもあり、メリハリの利いた楽想が流れていきます。フィナーレはオーケストラとピアノが融合して雄渾なコーダ。終わりよければすべてよしってことで、素晴らしいベートーヴェンでした。
アンスネスのアンコール曲はショパン。なんだか場にそぐわない感じもありましたが、美しい演奏ではありました。因みにこのアンコール曲は先月の東京でのリサイタルでもアンコール曲でした。
休憩後、マーラーです。大編成のオーケストラがステージに並びます。
ここからはネルソンズの独壇場。完全にオーケストラをコントロールして自在な演奏。よっぽどリハーサルをやったか、それとも、ウィーン交響楽団の指揮者の指示への即応能力がよっぽど高いか、きっと、両方なんでしょう。
ネルソンズがやりたい放題の実に彫りの深い演奏が続きます。やり過ぎと言ったら、やり過ぎですが、聴いているものも面白くて演奏に引き込まれます。ネルソンズは初めて聴きますが、とても音楽性の高い音楽を展開します。相当に譜面を読み込まなければ、こういう指揮は不可能でしょう。才能に恵まれ、努力も怠らないタイプと見ました。ただ、この曲の性格もありますが、暑い血潮のたぎりは感じますが、深い精神性とは程遠い演奏ではあります。これはこの曲だけでは評価は難しいですね。それでも、フィナーレの盛り上がりはホール全体を揺るがすほどの響きで、1点の曇りもない完璧な演奏で思わずsaraiも興奮状態。感動ではありませんよ。マーラーの第2番以降も聴いてみたくなるような演奏でした。
こんなに面白く、聴けそして熱く聴けた《巨人》は初めて。なかなか、面白い指揮者がでてきました。師匠のヤンソンスよりも今後は要注意かもしれません。
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