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期待の若手、金川真弓のヴァイオリン・リサイタル@東京文化会館小ホール 2022.10.20

若手の新鋭ヴァイオリニスト、金川真弓の演奏に期待して、足を運びました。今日も超美麗なヴァイオリンの響きに酔い痴れましたが、課題もありました。

今日の演奏ですが、最初のJ.S.バッハの無伴奏ヴァイオリン・ソナタ 第3番はさすがに素晴らしい響きの演奏です。音楽性も豊かですが、何か、もうひとつ、気魄というか、厳しさというか、これが金川真弓のバッハの無伴奏だという主張がほしいところです。何と言っても、ヴァイオリン音楽の聖典とも言えるものですから、聴き方も注文が厳しくなります。素晴らしい演奏ではあったんです。だけど、彼女ならもっと精進してほしいと願いたいところです。

次の武満徹の妖精の距離は圧巻の素晴らしい演奏。短い曲ですが、彼女の美点がすべて出ていました。冒頭の伸びやかなヴァイオリンの響きを聴いただけで、ぐっと魅了されました。武満徹の音楽がこんなに素敵に演奏されるなんて・・・もう、うっとりして聴き入りました。

次のドビュッシーのヴァイオリン・ソナタは武満徹の妖精の距離と引き続いて演奏されます。それはsaraiも納得です。常々、この両者は音楽性に親近さがあると思っていたので、セットで演奏するのもいいでしょう。で、ドビュッシーも武満と同様に素晴らしい演奏で始まりますが、さすがに武満のように高いレベルの演奏というわけにはいきませんでした。フランス音楽のエスプリという得体のしれないものがもう一つ表現しきれていなかったようです。もっと思い切り踏み込んだ演奏をしてほしかったところです。

後半のベートーヴェンのクロイツェルは一番課題の残った演奏になりました。超有名曲の宿命として、よほどの演奏、それも個性的な演奏をしないとなかなか満足できません。ベートーヴェンのピアノ・ソナタでも、悲愴とか熱情とかの有名曲でもよくあるケースですが、聴衆はずい分、聴き込んでいますから、こういう曲を取り上げることはかなりの準備をしておく必要がありますし、そもそもプログラムにのせること自体、危険です。今日の演奏ももちろん、テクニック的には完璧な演奏でしたが、もっとベートーヴェンらしい颯爽として風格のある演奏が望まれたところです。辛口な言い方になり過ぎたかもしれません。よい演奏ではあり、高い精度でもありました。しかし、もう一歩の努力を期待しています。

プログラム的には、プロコフィエフとかバルトークなどを組み入れたおいたほうが均整がとれたような気がします。期待の新鋭ですから、これからも注目して聴きたいと思っています。


今日のプログラムは以下です。

  金川真弓 ヴァイオリン・リサイタル

  ヴァイオリン:金川真弓
  ピアノ:ジュゼッペ・グァレーラ
 
  J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ 第3番ハ長調 BWV1005
  武満徹:妖精の距離
  ドビュッシー:ヴァイオリン・ソナタ ト短調

  《休憩》

  ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ 第9番イ長調 Op.47 「クロイツェル」

  《アンコール》

  バッジーニ:妖精の踊り?
  ガーシュウィン/ハイフェッツ編:『ポーギーとベス』より


最後に予習について、まとめておきます。

1曲目のJ.S.バッハの無伴奏ヴァイオリン・ソナタ 第3番を予習したCDは以下です。

 チョン・キョンファ 2016年2月24-26日、4月3-5日、5月30-6月1日、セント・ジョージ教会(ブランドン・ヒル、ブリストル)、英国 セッション録音

復活したチョン・キョンファの演奏です。何とも素晴らしいバッハの無伴奏ソナタ・パルティータ全曲です。


2曲目の武満徹の妖精の距離を予習したCDは以下です。

 デュオ・ガッツァーナ 2011年3月、 スイス・イタリア語放送オーディトリオ、ルガーノ、スイス セッション録音

姉妹デュオ、ナターシャとラファエラ・ガッツァーナによる見事な演奏。


3曲目のドビュッシーのヴァイオリン・ソナタを予習したCDは以下です。

 オーギュスタン・デュメイ、マリア・ジョアン・ピリス 1993年9、10月、 ミュンヘン セッション録音

デュメイの名演。


4曲目のベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ 第9番「クロイツェル」を予習したCDは以下です。

 ヴォルフガング・シュナイダーハン、カール・ゼーマン 1959年5月11-28日、ウィーン、ウィーン楽友協会、ブラームス・ホール  セッション録音

決定盤です。



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テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

       金川真弓,

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首都圏の様々なジャンルのクラシックコンサート、オペラの感動をレポートします。在京オケ・海外オケ、室内楽、ピアノ、古楽、声楽、オペラ。バロックから現代まで、幅広く、深く、クラシック音楽の真髄を堪能します。
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aokazuyaさん

コメントありがとうございます。デジタルコンサートホールは当面、これきりですが、毎週末、聴かれているんですね。ファゴットのシュテファン・シュヴァイゲ

03/03 23:32 sarai

DCHは私も毎週末、楽しみに聞いています。
・スーパースターには、ファゴットのシュテファン・シュヴァイゲルトの名も挙げたいところです。
・清水直子さん後半のみ登場、D

03/01 19:22 aokazuya

金婚式、おめでとうございます!!!
大学入学直後からの長いお付き合い、素晴らしい伴侶に巡り逢われて、幸せな人生ですね!
京都には年に2回もお越しでも、青春を過ごし

10/07 08:57 堀内えり

 ≪…長調のいきいきとした溌剌さ、短調の抒情性、バッハの音楽の奥深さ…≫を、長調と短調の振り子時計の割り振り」による十進法と音楽の1オクターブの12等分の割り付けに

08/04 21:31 G線上のアリア

じじいさん、コメントありがとうございます。saraiです。
思えば、もう10年前のコンサートです。
これがsaraiの聴いたハイティンク最高のコンサートでした。
その後、ザル

07/08 18:59 sarai

CDでしか聴いてはいません。
公演では小沢、ショルティだけ

ベーム、ケルテス、ショルティ、クーベリック、
クルト。ザンデルリング、ヴァント、ハイティンク
、チェリブ

07/08 15:53 じじい@

saraiです。
久々のコメント、ありがとうございます。
哀愁のヨーロッパ、懐かしく思い出してもらえたようで、記事の書き甲斐がありました。マイセンはやはりカップは高く

06/18 12:46 sarai
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