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究極美に陶酔!サロメ@ウィーン国立歌劇場 2011.10.22

今夜のウィーン国立歌劇場のR・シュトラウスの楽劇《サロメ》は今年聴いたオペラで最高でした。6月のメトロポリタン・オペラの来日公演も素晴らしかったし、ましてや、4月に同じウィーン国立歌劇場で聴いたネトレプコとガランチャの夢の共演のプラチナオペラ《アンナ・ボレーナ》はとりわけ素晴らしく、今年のオペラの第1位に輝くことが決定したかに思っていました、今日までは。

ところが、今日の《サロメ》はあまりに凄かった。まず、開演前にオーケストラの顔ぶれを見て、びっくり。コンサートマスター席にシュトイデが座ったのは当たり前だとしても、その後、隣にダナイローヴァが座りました。いわゆるダブルコンマスです。20年ほど前に同じウィーン国立歌劇場でR・シュトラウスの《エレクトラ》を聴いたときに故ヘッツェルとキュッヒルがダブルコンマスで座ったことを思い出します。あのときも凄く気合の入った演奏でした。今日は若手のコンマス2人とは言え、期待できそうです。

今日のプログラムとキャストは以下です。

  R・シュトラウス:楽劇《サロメ》
   指揮:ペーター・シュナイダー
   演出:ボレスラヴ・バルロック
   ヘロデス:ミシェル・ロイダー⇒ヴォルフガング・シュミット
   ヘロディアス:ジャニーナ・ビークル
   サロメ:カミラ・ニュルンド
   ヨカナーン:ユナ・ウーシタロ⇒マルクス・マルカルト
   ナラボ-ト:ヘルベルト・リッペルト⇒イエルク・シュナイダー

矢印のあるのは当初のキャストが変更になったところです。とりわけ、ヨカナーン役のウーシタロは楽しみにしていたので残念です。

指揮者のシュナイダーが棒を振り下ろすと同時に幕が開きます。オーケストラはあまりアンサンブルが揃っていません。ばらつきのある演奏です。舞台はクリムト風の文様のデザインで舞台装置も衣装も統一されています。美しい舞台です。
何かばたついていた演奏もサロメ役のニュルンドが登場すると、美しい響きに変わっていきます。そして、ヨカナーンが井戸から出されてきた瞬間、劇的に響きは究極美に大変身。これはオペラなのか、何なのか、よく分からなくなります。オーケストラの艶やかな美しい響きのなかにヨカナーンやサロメの歌声が交じり合い、何という贅沢な音響でしょう。純粋に音楽、音響に身も心も包み込まれ、思わず、涙が滲みます。R・シュトラウスの作り出した素晴らしい音の響きにずっと感動していました。サロメとヨカナーンの絡みの素晴らしいこと、また、ヘロデ王のサロメへの求愛の場面の音の響き、山場の7つのヴェールの踊りの素晴らしさ、ヨカナーンの首を断固要求するサロメとヘロデ王の絡みの素晴らしさ、そして、身震いするほどショッキングなサロメの凄惨で狂乱した歌唱とオーケストラの美の極致、そして、究極美の高みに達したフィナーレ、最後まで感涙し続けたオペラを超えたオペラでした。
第1に素晴らしかったのはオーケストラ。若きコンサートマスター2人で今後ともウィーンサウンドは将来も不変の美しさを保つこと、間違いなし。シュトイデの独奏もとても美しい響きでした。
第2にカミラ・ニュルンドがここまでサロメを歌いきるとは想像もしていませんでした。透き通った高音の響きは自然でオーケストラと美しく響きあいます。絶叫さえも美しく響きます。そして、おまけに容姿も素晴らしく、サロメの美を十分に表出させています。7つのヴェールの踊りも力演でなかなか魅せました。
第3にヘロデ王役のシュミットの声の響きの豊かさ、後半部分を支えたのは彼の力に負うところが大きかったです。
第4にヨカナーン役のマルカルトもなかなかの好演でした。ワーグナーものを思わせる力のある歌唱。聖人の高貴さを十分に表現していました。ウーシタロともいい勝負だったでしょう。

やはり、ウィーンのR・シュトラウスの凄さをちょっとなめていました。恐ろしいほどの美しさ、美し過ぎて、官能美を通り越して、終末の滅びを予感して身震いするような響きでした。こんな演奏が聴きたくて、わざわざウィーンまで来ちゃうんです。一緒に付き合って、感動を共有してくれる配偶者に心の底から感謝です。



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