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バッハは静謐に軽やかに、コダーイは強いインパクトと情熱をこめて ジャン=ギアン・ケラス・無伴奏チェロ・リサイタル@王子ホール 2022.12.15

ケラスは以前、リゲティを聴いただけですが、その時の印象はとても優し気な音楽を醸し出すもので、チェロにありがちなグイグイくるタイプではないことに好感を持ちました。今日もそのときの印象、そのままの演奏でとても魅了されました。

まずはバッハの無伴奏チェロ組曲全曲のうち、半分の1番から3番までです。残り半分は明日ですが、別のコンサートが急遽はいったので、聴けません。残念!
優し気でインティメットな演奏で第1番の有名なプレリュードが始まります。時として、雄弁にもなりますが、基本、軽やかで流暢な調べが続きます。素晴らしいバッハです。
第2番はファンタジックな面も聴かせてくれます。相変わらず、無理のない自然な音楽です。心の内面に問いかけるような風情の音楽です。
第3番は聴かせどころが多く、ケラスのチェロの美しい響きが耳を魅了してくれます。プレリュードも美しいのですが、サラバンド以降はケラスの腕が冴え渡ります。最後のジーグは圧巻です。
聴き応えのあるバッハが聴けました。全曲の半分だけですが、十分にバッハの無伴奏チェロ組曲の奥義を堪能することができました。

次はコダーイの無伴奏チェロ・ソナタ。これはバッハとは印象をがらっと変えて、雄渾な演奏です。ハンガリー風のメロディーを歌い上げながら、音楽をぐんぐん推進していきます。哀愁も感じる豊かな表現のチェロです。第2楽章ではドラマチックな表現も見事です。第3楽章は激しい勢いでばりばり進みますが、あくまでも音楽的。野性的というよりも上品な雰囲気でハンガリー風の舞曲が歌われていきます。やはり、コダーイもバルトークと一緒にハンガリー民謡を収集したことが分かるような音楽ですが、バルトークとの共通点はハンガリー風を基盤とするところだけ。バルトークは負のエネルギーに満ちていますが、コダーイは外に向かってエネルギーを放射します。ケラスはその特徴をうまく表現していました。何かしら、ハンガリー的な風土への共感もあるようです。アンコールもクルターグでしたし、先日のリゲティも見事でした。アンコールの最後はデュポールで爽やかに締めました。

前半のバッハと後半のコダーイはその様式感を見事に弾き分けて、非凡な演奏を聴かせてくれました。久々に素晴らしいバッハの無伴奏が聴けて、満足です。


今日のプログラムは以下のとおりでした。

  チェロ:ジャン=ギアン・ケラス

  J.S.バッハ
   :無伴奏チェロ組曲 第1番 ト長調 BWV1007
   :無伴奏チェロ組曲 第2番 ニ短調 BWV1008
   :無伴奏チェロ組曲 第3番 ハ長調 BWV1009

   《休憩》

  コダーイ:無伴奏チェロ・ソナタ Op.8

   《アンコール》
   クルターグ:「チェロのためのサイン、ゲームとメッセージ」より 信仰
   デュポール:練習曲 第7番 ト短調


最後に予習について、まとめておきます。

1曲目のバッハの無伴奏チェロ組曲を予習したCDは以下です。

  ジャン=ギアン・ケラス 2007年頃 セッション録音

低音が凄く強調された録音。ケラスの静謐な演奏とちょっとイメージが違いますが、なかなか雄渾な演奏に聴こえます。


2曲目のコダーイの無伴奏チェロ・ソナタを予習したCDは以下です。

  ヨーヨー・マ 1999年2月、6月 セッション録音

ヨーヨー・マが満を持して録音したというコダーイの無伴奏チェロ・ソナタはとても見事で美しさも激しさも兼ね備えたものです。



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