追っかけを始めたsarai:フォーレ四重奏団@東京文化会館小ホール 2014.12.15
本当は1昨日のお昼と夜のダブルのコンサートで今年のコンサート通いは打ち止めの予定でした。しかし、1昨日聴いたフォーレ・カルテットの演奏があまりに衝撃的に素晴らしかったので、もっと聴きたくなってしまいました。上大岡・ひまわりの郷コンサートシリーズのプロデューサーをしている横浜楽友会の平井さんにコンサート後、フォーレ・カルテットの演奏が素晴らしかったこと、そして、翌日以降、もし、フォーレ・カルテットの公演があるのなら、もっと聴きたいとお話ししました。すると、貴重な情報をいただきました。翌日、モーツァルト協会の主催で東京文化会館で来日最後のコンサートがあり、当日券もあるとのことです。それなら、何としても聴きたいものです。
そして、昨日、公演の1時間半も前に当日券を求めて、上野の文化会館を訪れました。当日券を求める列の2番目に並ぶことができました。先頭にいた若い女性もトッパンホールでのコンサートを聴いて、急遽、この日のコンサートを聴くことにしたそうです。お互い、好きですね。無事、当日券をゲットして、入場の列に並びました。この日のコンサートは指定席ではなく、全席、自由席だそうで、既に20人以上の人が並んでいます。でも、これくらいなら、きっと良い席に座ることができそうです。実際、2列目の中央左寄りという思い通りの席に座ることができました。ピアノを聴くときはピアニストの手の動きが見える左寄りの席が人気です。
この日はモーツァルト協会の例会ということで、オール・モーツァルト・プログラムです。
典雅でふくよかなモーツァルト。前日の後期ロマン派とはうってかわって古典的な響きが体の上を流れていきます。あまりの心地のよさに前半のプログラムはあまり集中して聴くことができず、ただただ、美しい響き、アンサンブルを受け止めていただけです。それにしても、女性ヴァイオリニストのエリカ・ゲルトゼッツァーの演奏は見事です。音楽的表現力が豊かで、その上、曲の表情に合わせた顔の表情の変化が見事で、姿と音楽が一致していることが驚異的でさえあります。前半のプログラムでは、2番目の《ピアノと管楽のための五重奏曲》のピアノ四重奏曲バージョンの典雅さに心を奪われました。管楽で演奏されるものとはまったく、別物に聴こえましたが、協奏交響曲のような味わいは同様です。
圧巻だったのは後半のピアノ四重奏曲第2番K.493。なにも言葉はありません。室内楽の楽しみ極めたりという心境にしてくれる素晴らしい演奏です。第1楽章のどこまでもかけあがっていくような飛翔感、第2楽章の明るさのなかのそこはかとない憂愁、第3楽章の弾むような躍動感、言葉で表現するともどかしくなってしまうような絶妙なアンサンブルと最高の音楽表現がそこにはありました。このK.493の音楽は今後、saraiの終生の友になってくれそうです。モーツァルトの室内楽では、クラリネット五重奏曲と弦楽五重奏曲と並ぶ存在になります。まったく、素晴らしいモーツァルトの演奏で、心が浮き立つようなコンサートになりました。急遽、出かけてきて、本当に良かったと思いました。
さらにsaraiをとめどなく泣かせてくれたのは、驚きのアンコール。なんと昨日の本編で演奏されたR・シュトラウスのピアノ四重奏曲のアンダンテ。R・シュトラウスの記念の年の演奏を聴くのは昨日でおしまいと思っていたので、望外の喜びです。そして、この演奏が楽趣極めたりという究極のロマンに満ちた最高の音楽です。今年をしめくくるのにこれ以上のものはありません。今年最高の感動に浸り、涙で視界が滲みました。今年どころか、こんなに感動したのは何年ぶりでしょう。ヴァイオリンのエリカ・ゲルトゼッツァーがミューズに見えました。最高の音楽と感動をありがとう!!
今日のプログラムは以下です。
ピアノ四重奏:フォーレ四重奏団
ピアノ四重奏曲 ト短調 K.478
ピアノと管楽のための五重奏曲 変ホ長調 K.452
(フランツ・ヤーコプ・フライシュテットラー編曲によるピアノ四重奏版)
《休憩》
ピアノ四重奏曲 変ホ長調 K.493
《アンコール》
リヒャルト・シュトラウス:ピアノ四重奏曲 ハ短調 Op.13 より 第3楽章 アンダンテ
今年はあとは大晦日のジルヴェスターコンサートを残すのみ。それにしても、今年は素晴らしいR・シュトラウスの音楽を聴けた年でした。それに彼の晩年の盟友であったシュテファン・ツヴァイクにも出会えた収穫の多かった年でした。今年の最後の楽しみは、ツヴァイクが台本を書き、R・シュトラウスが音楽を書いたオペラ《無口な女》を聴くことです。もちろん、ヴィデオとCDですけどね。
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