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レイフ・オヴェ・アンスネス・ピアノ・リサイタル@東京オペラシティ 2011.9.22

実に久しぶりのコンサートです。ほぼ、2か月ぶりです。夏になると、クラシック音楽は夏枯れになるようで、クラシック音楽ファンにとって、夏は鬼門です。演奏家の方々は長い夏休みでもとっているんでしょうか。

ともあれ、生で聴く音楽は素晴らしい。ピアノの音が耳を通して、頭の中まで沁みとおりました。

今夜聴いたピアニストのアンスネスは生では初聴きです。CDでは、彼の弾くグリークは誰よりも素晴らしいですが、他のものはあまり聴いていません。今日のプログラムではそのグリークがないのが少し残念です。
今夜のプログラムは以下です。

 ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第21番ハ長調「ワルトシュタイン」Op.53
 ブラームス:バラードOp.10全4曲

  《休憩》

 ショパン:バラード第3番変イ長調Op.47
      ワルツ第13番変ニ長調Op.70-3
      ワルツ第7番嬰ハ短調Op.64-2
      ワルツ第11番変ト長調Op.70-1
      夜想曲第17番ロ長調Op.60-1
      バラード第1番ト短調Op.23

まず、ベートーヴェンのワルトシュタインです。落ち着いた様子でステージに登場したアンスネスはピアノの前で短く息を整え、曲のイメージにはいっていきます。
ワルトシュタインの軽やかに疾駆する主題が響き豊かに演奏されます。まったく、自然な演奏です。衒いもなく、自然な流れですが、ベートーヴェンの本質はしっかり把握して、ゆるぎのない演奏です。あまりに自然で、欲を言えば、少し破綻も欲しくなりますが、それは望み過ぎでしょう。彼のタッチは硬質過ぎす、ちょうどよいという中庸な感じです。またまた、欲を言えば、タッチの強弱の幅をさらに広くして、弱音の表現を磨いてほしいなと、これも望み過ぎです。まあ、何の不満もない演奏で、久しぶりにいいピアノの演奏を聴いたというのが本音ではあります。
第2楽章にはいると、ベートーヴェンの後期のソナタにみられる精神性の高い世界が予感されるパートですが、彼の演奏はしっかりと弾けてはいますが、さらに精神の高みに達する演奏を今後期待したいという感じ。
そのまま、第3楽章になだれこみますが、これは素晴らしい。ダイナミックでありながら、はめを外さずという納得の演奏。

続いて、ブラームスのバラードです。
アンスネスのピアノの響きは暗めで沈んだ音色です。もちろん、タッチはクリアーでピュアーな音色ですが、その上で暗めの音色です。
そして、こういう響きがぴったりなのがブラームス。この日、最高の演奏でした。
まず、第1番から、劇的な迫力でありながら、暗く渋めで満足の演奏。
第2番は優しい響きが何とも言えず、よい。
第3番はもともと、とても好きな曲で、気持ちよく聴けました。
そして、第4番がとても素晴しい。シューマン風の旋律がロマンチックに響きます。ピアノの音色もこのあたりで最高に純度が高くなり、陶然とします。
こんな素晴しいブラームスは初めて聴きました。

休憩の後は、ショパンのリサイタルです。
彼の暗めの音色はショパンには合わないような気もしますが、なかなか聴かせてくれるのも事実です。それだけ、ショパンのピアノ曲は魅力に満ちているということでしょうか。
まずはバラードの3番ですが、これは当初のプログラムが変更になったもので、もともとはバラードの2番でした。saraiとしては当初の選曲のほうがよかったと感じています。休憩前がブラームスのシューマン風でロマンチックなバラード第4番だったので、曲想的に静かに叙情的に始まるバラード第2番のほうが構成として、よりよいと思うからです。ただ、一般受けするのは変更になった3番のほうでしょう。ショパンらしい魅力に満ちた演奏でした。
この後、ワルツを3曲。まあ、難しいことは言わずに単純に名曲の聴き慣れた響きに身を委ねましょう。いわゆるショパン弾きなら、もっと華やかに弾いたでしょうが、これもアンスネスの個性ですから、問題ありません。
ショパンの演奏では次の夜想曲17番が1番、アンスネスにぴったりで楽しめました。非常に瞑想的な演奏で暗めの響きが合っていました。よく、こんな選曲をできたものだと感心しました。
最後はバラード第1番。名曲中の名曲ですが、それを納得できる演奏で聴かせられたのはアンスネスの実力でしょう。この曲を聴いていると、ジョン・ノイマイヤー振付のバレエ《椿姫》の情熱的なシーンを思い出します。パリ・オペラ座の華、アニエス・ルテステュが狂おしくバラード第1番の旋律にのって踊っている姿が脳裏に浮かびます。それもあいまって、とても感動的に演奏を聴けました。

アンコールですが、まずはショパン。妥当なところです。

 ショパン:プレリュード第17番 変イ長調Op.28-17

ただ、先程の強烈なバラード第1番に比べると、盛り上がりがもうひとつ。
次は待ってました!グリーグです。それも名曲を2曲も・・・

 グリーグ:抒情小曲集 第5集 Op.54 II ノルウェー農民の行進曲
 グリーグ:抒情小曲集 第3集 Op.43 VI 春に寄す

これはもう素晴しい。多彩な響きでパーフェクトな演奏。まさに手の内にはいっているという演奏です。1昨日の王子ホールのリサイタルでは、プログラムに抒情小曲集がはいっていたそうですが、それは聴きものだったでしょうね。残念。

久々のコンサートはやはり、楽しかったです。禁断症状でした。また、来週もコンサート。音楽シーズンが到来しました。



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テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

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オペラ・美術が大好きでヨーロッパの旅にはまっています。音楽の聖地ウィーンが中心で、イタリア、フランス、ドイツも巡っています。国内外のオペラ・コンサートの体験もレポートします。

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11/09 22:13 sarai

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あの弦の響きにもうハマるのですよ!
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