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アミハイ・グロスがバルトークのヴィオラ協奏曲を瑞々しく演奏 トゥガン・ソヒエフ&NHK交響楽団@サントリーホール 2023.1.25

バルトークの絶筆で未完に終わったヴィオラ協奏曲は50年前にバルトークの熱烈なファンになって以来、ずっと聴きたかった曲でしたが、今日、初めて実演で聴くことができました。ベルリン・フィルの首席ヴィオラ奏者のアミハイ・グロスの実力をまざまざと実感させられる瑞々しい演奏で、このバルトークの作品の素晴らしさに今更ながら驚嘆しました。バルトークの絶筆とはいえ、決して晩年を思わせる作品などではなく、新たな挑戦に満ちた作品で、それまでのバルトークにはなかった響きや音楽性にあふれていました。バルトークはその人生の最後まで、独自の音楽領域を開拓し続けたんですね。ハンガリーの民俗音楽的な要素をいい意味で切り捨てて、次なる世界に乗り出そうとしていたんだと思います。バルトークの見果てぬ夢の一端を聴かせてもらいました。ほとんど手つかずに終わったオーケストラパートは同じハンガリー出身の作曲家ティボル・シェルイが補筆完成したとのことで、どこまでバルトークの音楽になっているかは想像するしかありませんが、少なくともトゥガン・ソヒエフの指揮したN響の響きは素晴らしいものでした。第3楽章のパシュート的な音楽は紛れもなく、バルトークそのものに思えました。全編、ヴィオラの独奏パートが多く、アミハイ・グロスの美しい響きの演奏と音楽表現に魅了されたヴィオラ協奏曲でした。今日はこれが聴けただけで、大満足です。
アンコールのバルトークのデュオも秀逸な演奏でした。

後半は、ラヴェルとドビュッシーの作品。これまでソヒエフはウィーン・フィルとトゥールーズ・キャピトル管弦楽団で聴きましたが、オーケストラから鮮やかな色彩の響きの音楽を引き出す能力には舌を巻きました。日本のオーケストラで聴くのは初めてですが、やはり、彼の色彩感あふれる演奏はそのまま、あてはまります。何とも素晴らしい響きでフランスの2人の作曲家の作品を演奏してくれました。N響がこんな響きを出せるのですね。特にラヴェルの「ダフニスとクロエ」組曲 第2番は圧巻の演奏でした。ドビュッシーの交響詩「海」も第3曲の盛り上がりは最高の響きが冴え渡りました。

ところで、音楽には直接関係ありませんが、ロシアのウクライナ侵攻でロシア人音楽家は苦悩し、様々な対応を迫られていますが、その中でトゥガン・ソヒエフの潔さは賞賛されて、然るべしでしょう。長年指揮してきたフランスのトゥールーズとロシアのボリショイの音楽監督の職をいずれも辞して、個人としての責任をとった形です。なかなかできないことです。リスペクトできる音楽家だと思いました。


今日のプログラムは以下のとおりでした。


  指揮:トゥガン・ソヒエフ
  ヴィオラ : アミハイ・グロス
  管弦楽:NHK交響楽団 コンサートマスター:白井圭

  バルトーク:ヴィオラ協奏曲(シェルイ版)
   《アンコール》バルトーク(ペーテル・バルトーク編):44のヴァイオリン二重奏曲(ヴィオラ版)第37曲「プレリュードとカノン」

   《休憩》

  ラヴェル:「ダフニスとクロエ」組曲 第1番、第2番
  ドビュッシー:交響詩「海」


最後に予習について、まとめておきます。

1曲目のバルトークのヴィオラ協奏曲を予習したCDは以下です。

  キム・カシュカシアン、ペーター・エトヴェシュ指揮オランダ放送室内管弦楽団 1999年 セッション録音

キム・カシュカシアンの現代的なヴィオラの切り込みの演奏が素晴らしい。文句ない演奏です。


2曲目のラヴェルの「ダフニスとクロエ」組曲 第1番、第2番を予習したCDは以下です。

  ロリン・マゼール指揮ウィーン・フィル 1996年1月、ムジークフェライン セッション録音

「ダフニスとクロエ」組曲 第1番の録音は決して多くはない中、ウィーン・フィルの素晴らしい響きに陶然となります。第2番も予想外に素晴らしい演奏です。


3曲目のドビュッシーの交響詩「海」を予習したCDは以下です。

  フランソワ=グザヴィエ・ロト指揮レ・シエクル 2012年4月13日 ローマ、聖チェチーリア音楽院 セッション録音

ロトと手兵のピリオド楽器オーケストラ、レ・シエクルの演奏で、初演時の響きを再現してくれた貴重な録音。でも、それほどの違いは分かりません。むしろ、演奏そのものの質が高く、聴き映えします。



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首都圏の様々なジャンルのクラシックコンサート、オペラの感動をレポートします。在京オケ・海外オケ、室内楽、ピアノ、古楽、声楽、オペラ。バロックから現代まで、幅広く、深く、クラシック音楽の真髄を堪能します。
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aokazuyaさん

コメントありがとうございます。デジタルコンサートホールは当面、これきりですが、毎週末、聴かれているんですね。ファゴットのシュテファン・シュヴァイゲ

03/03 23:32 sarai

DCHは私も毎週末、楽しみに聞いています。
・スーパースターには、ファゴットのシュテファン・シュヴァイゲルトの名も挙げたいところです。
・清水直子さん後半のみ登場、D

03/01 19:22 aokazuya

金婚式、おめでとうございます!!!
大学入学直後からの長いお付き合い、素晴らしい伴侶に巡り逢われて、幸せな人生ですね!
京都には年に2回もお越しでも、青春を過ごし

10/07 08:57 堀内えり

 ≪…長調のいきいきとした溌剌さ、短調の抒情性、バッハの音楽の奥深さ…≫を、長調と短調の振り子時計の割り振り」による十進法と音楽の1オクターブの12等分の割り付けに

08/04 21:31 G線上のアリア

じじいさん、コメントありがとうございます。saraiです。
思えば、もう10年前のコンサートです。
これがsaraiの聴いたハイティンク最高のコンサートでした。
その後、ザル

07/08 18:59 sarai

CDでしか聴いてはいません。
公演では小沢、ショルティだけ

ベーム、ケルテス、ショルティ、クーベリック、
クルト。ザンデルリング、ヴァント、ハイティンク
、チェリブ

07/08 15:53 じじい@

saraiです。
久々のコメント、ありがとうございます。
哀愁のヨーロッパ、懐かしく思い出してもらえたようで、記事の書き甲斐がありました。マイセンはやはりカップは高く

06/18 12:46 sarai
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