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クァルテット・インテグラの充実したアンサンブルのベートーヴェン、バルトーク、ブラームスの弦楽四重奏曲第1番セット@第一生命ホール 2023.1.28

この第一生命ホールは勝どき駅近くの晴海トリトンスクエアの中にあり、建物の4階から上のフロアに作られた新しいホールです。座席767席という中規模のホールですが、オーバル型という結構、横長の形をしていて、室内楽としては大きめのホールです。残響の少ないデッドな響きで、音響的にあまり響くとは言えませんが、その変わり、響きが明瞭に聴き取れます。そのせいかもしれませんが、若手クァルテットのクァルテット・インテグラのいつもの生硬とも言える瑞々しさがそれほど感じられずに、代わりにベテランのクァルテットのような熟成さが感じられます。ホールの特性なのか、それとも現在、活動拠点をアメリカに移しているためなのか、判然としません。5月にいつもの鶴見サルビアホールで聴くので、はっきりと分かるでしょう。

今回は3大Bのシリーズの1回目ということで、ベートーヴェン、バルトーク、ブラームスの弦楽四重奏曲の第1番をずらっと並べたプログラムです。来年の第2回は第2番、再来年の第3回は第3番ということだそうです。ブラームスはそれで結構ですが、バルトークが6曲のうち、半分だけというのは中途半端ですね。いっそのこと、バルトークの第4番~第6番を並べたコンサートを企画してほしいですね。

最初はベートーヴェンの第1番。これは安定した響きのたいそう素晴らしい演奏でした。ベートーヴェンの後期よりもよい演奏です。やはり、彼らはベートーヴェンの後期四重奏曲はしばらく後に演奏したほうがいいのではと余計な心配をしてしまいます。それにベートーヴェンの作品18の6曲は後期ほどでないとしても、音楽的に大変充実していて、saraiは大好きです。そういう意味でも、この3大Bのシリーズはクァルテット・インテグラのベートーヴェンの第1番~第3番が聴けるといういい機会になります。しかし、そうなると、残りの第4番~第6番も聴きたくなりますね。

次はバルトークの第1番。これは最高に素晴らしい演奏でした。落ち着きと緊張感が融合して、素晴らしいアンサンブルが展開されました。とりわけ、各楽章でチェロが主導するところで、築地杏里が深い響きで魅了してくれました。全体的に緊密なアンサンブルが見事に機能し、後期ロマン派の輝きをみせるバルトークの名曲に酔いしれました。終楽章である第3楽章の後半はさらにアンサンブルの精度が高まり、ありえないような演奏を聴かせてくれました。

休憩後、ブラームスの第1番。実はこれがとてもよかったんです。バルトークよりもよかったかもしれません。ブラームスとしては最初の弦楽四重奏曲として、交響曲第1番と同様に、練りに練った作品です。saraiはこういう力の入り過ぎた作品は苦手ですが、クァルテット・インテグラはほどよいバランスで素晴らしいブラームスを聴かせてくれました。第2楽章のそこはかとない抒情など、素晴らしい演奏です。ところが第4楽章に入ったところで、saraiの集中力はぷっつりと切れてしまいます。ここまで結構、重たい曲が続きましたからね。第4楽章をちゃんと聴けていれば、このブラームスが今日一番の演奏だったかもしれません。まあ、第3楽章までは素晴らしい演奏が聴けたので、いいでしょう。

アンコール曲は最近も聴かせてもらったハイドンの弦楽四重奏曲第74番「騎手」Op.74-3。第2楽章のラルゴは美しい抒情の漂う世界を丁寧かつ緊張感高く歌っていきました。ハイドンの真骨頂を若い彼らが見事に演奏してくれました。

クァルテット・インテグラの着実な前進が感じられたコンサートでした。次、どれほどの演奏を聴かせてくれるか、楽しみです。


今日のプログラムは以下です。

  弦楽四重奏:クァルテット・インテグラ
   三澤響果 vn  菊野凜太郎 vn 
   山本一輝 va  築地杏里 vc

  ベートーヴェン:弦楽四重奏曲 第1番 ヘ長調 Op.18-1
  バルトーク:弦楽四重奏曲 第1番 Sz.40 BB52

   《休憩》

  ブラームス:弦楽四重奏曲 第1番 ハ短調 Op.51-1
 
   《アンコール》
     ハイドン:弦楽四重奏曲第74番 ト短調 Op.74-3 Hob. III: 74「騎手」から 第2楽章

最後に予習について、まとめておきます。

1曲目のベートーヴェン:弦楽四重奏曲 第1番は以下のCDを聴きました。

 ベルチャ四重奏団 2011年 オールドバラ、スネイプ・モルティングス、ブリテン・スタジオ セッション録音
 
これがベルチャ四重奏団のベートーヴェンu弦楽四重奏曲全集の聴き始めでしたが、過大な期待ほどの演奏ではなく、少々、残念です。もっと、抒情に満ちた演奏を期待していました。


2曲目のバルトークの弦楽四重奏曲 第1番は以下のCDを聴きました。

 ベルチャ四重奏団 2007年 セッション録音

ベルチャ四重奏団はこちらのバルトークは大変、素晴らしい演奏ですっかり魅了されました。響きの美しさと幽玄な音楽表現は新たなバルトーク像を表出したものです。


3曲目のブラームス:弦楽四重奏曲 第1番は以下のCDを聴きました。

 ベルチャ四重奏団 2003年 セッション録音
 
ベルチャ四重奏団はブラームスの弦楽四重奏曲第2番が大変素晴らしい演奏だったので、期待して聴きましたが、この曲は相性が悪かったようで、もう一つの演奏。聴く側のsaraiの趣味の問題もありますが、どうもベルチャ四重奏団は曲によって、出来、不出来が極端にぶれます。どうやら、抒情的な作品への大胆な踏み込みがよいようです。かっちりした作品は今一つに思えます。しばらく、ほかの曲も聴いてみましょう。



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       クァルテット・インテグラ,

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首都圏の様々なジャンルのクラシックコンサート、オペラの感動をレポートします。在京オケ・海外オケ、室内楽、ピアノ、古楽、声楽、オペラ。バロックから現代まで、幅広く、深く、クラシック音楽の真髄を堪能します。
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aokazuyaさん

コメントありがとうございます。デジタルコンサートホールは当面、これきりですが、毎週末、聴かれているんですね。ファゴットのシュテファン・シュヴァイゲ

03/03 23:32 sarai

DCHは私も毎週末、楽しみに聞いています。
・スーパースターには、ファゴットのシュテファン・シュヴァイゲルトの名も挙げたいところです。
・清水直子さん後半のみ登場、D

03/01 19:22 aokazuya

金婚式、おめでとうございます!!!
大学入学直後からの長いお付き合い、素晴らしい伴侶に巡り逢われて、幸せな人生ですね!
京都には年に2回もお越しでも、青春を過ごし

10/07 08:57 堀内えり

 ≪…長調のいきいきとした溌剌さ、短調の抒情性、バッハの音楽の奥深さ…≫を、長調と短調の振り子時計の割り振り」による十進法と音楽の1オクターブの12等分の割り付けに

08/04 21:31 G線上のアリア

じじいさん、コメントありがとうございます。saraiです。
思えば、もう10年前のコンサートです。
これがsaraiの聴いたハイティンク最高のコンサートでした。
その後、ザル

07/08 18:59 sarai

CDでしか聴いてはいません。
公演では小沢、ショルティだけ

ベーム、ケルテス、ショルティ、クーベリック、
クルト。ザンデルリング、ヴァント、ハイティンク
、チェリブ

07/08 15:53 じじい@

saraiです。
久々のコメント、ありがとうございます。
哀愁のヨーロッパ、懐かしく思い出してもらえたようで、記事の書き甲斐がありました。マイセンはやはりカップは高く

06/18 12:46 sarai
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