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初期、中期、後期弦楽四重奏曲・・・いずれも見事なアンサンブルと気魄に納得の演奏 ベートーヴェン・チクルス第3回 カルテット・アマービレ@王子ホール 2023.1.31

王子ホールで進行中のカルテット・アマービレのベートーヴェン弦楽四重奏曲チクルスの第3回です。今回も素晴らしい充実度の演奏。初期、中期、後期、それぞれの弦楽四重奏曲はたっぷりとした中身のある音楽で、カルテット・アマービレはますます熟成し、けれども瑞々しさを湛えた渾身の演奏を聴かせてくれました。今回で中期の作品はすべて弾き終えて、残りは初期の3曲と後期の4曲を来年以降の3年3回のコンサートで弾くことになりました。来年は1月21日。ますます、名曲に挑戦することになります。楽しみですね。

さて、今日のコンサート。まずはみなさん、黒いお洒落なドレスで登場。ヴィジュアルさは音楽には関係ありませんが、音楽だけでなく、姿の美しさにも磨きがかかってきました。クラシック音楽界のアイドルみたいです。
冒頭はベートーヴェンの弦楽四重奏曲 第2番。作品18の2です。今回のチクルスでは、作品18の6曲を作曲順に弾いています。これまで第3番、第1番と弾いてきました。次回は多分、第5番、作品18の5を弾くのでしょう。
第1楽章を弾き始めると、挨拶の主題が爽やかに響きます。美しいアンサンブルにぐっと惹き込まれます。ベートーヴェン初期の作品とは言え、とてもそうは思えない完成度の高さでsaraiもとっても好きな曲です。素晴らしいアンサンブルの中、第1ヴァイオリンの篠原悠那の美しい響きが光ります。第2楽章は抒情的な音楽がカルテット・アマービレの美しい響きで精緻に演奏されます。第3楽章、第4楽章は軽快に気持ちよく音楽が流れます。最上級の演奏でした。

次はベートーヴェンの弦楽四重奏曲 第9番。「ラズモフスキー第3番」で知られているベートーヴェン中期の傑作です。明るく、勢いに満ちた作風の傑作です。カルテット・アマービレの演奏は最高に素晴らしいものでした。とりわけ、第4楽章のフーガは圧倒的な迫力でどこまでも突き進むという風情で魅力たっぷりの演奏でした。古典派の弦楽四重奏曲の総決算として、どこまでも音楽の高みに上り詰めるという音楽を若い4人は瑞々しい感性で歌い上げてくれました。

休憩後、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲 第13番 Op.130。終楽章はオリジナルの大フーガ Op.133を演奏します。実に長大な作品です。ベートーヴェンの弦楽四重奏曲の中でもっとも演奏時間の長い作品です。カルテット・アマービレの4人の充実した演奏が最高の形で結実しています。ただただ、魅了されるのみです。第4楽章までの熟達した演奏はその後の第5楽章と終楽章の前座だったのかと思わせるほど、第5楽章のカヴァティーナが何とも思い入れたっぷりに奏でられます。作曲したベートーヴェンが凄いのですが、カルテット・アマービレのメンバーたちは思いつめたような深い感情を込めて、切々と音を紡いでいきます。彼らを突き動かしていたのは、愛の思い出か、単に音楽への深い傾倒なのか。老年のsaraiとて、平静な気持ちでは聴いていられません。曲が終わり、うーん、何も弾けませんね。彼らもちょっとチューニングで時間をとります。無論、普通の終楽章ならば、きっと、そのまま弾き進めたでしょうが、今日はここから長大かつ壮大な大フーガです。美しいカヴァティーナと対極をいくような音楽です。そして、彼らは意を決したように大フーガを弾き始めます。静かに始まった音楽も凄い迫力で盛り上がっていきます。カルテット・アマービレ、渾身の演奏です。そして、また、静謐な音楽が始まります。今日、最高の演奏です。精緻なフーガが見事に演奏されていきます。その果てで音楽は高潮し、再び、静まった後に圧倒的なフィナーレ。うーん、今日、最高の演奏でした。

カルテット・アマービレは聴くたびに彼らの音楽に魅了され、彼らの成長が楽しみで、そして、それ以上に若々しい音楽の精華に共感します。ソロ活動が増えた彼らですが、今後もこのカルテット・アマービレとしての室内楽の活動に軸を置いてもらいたいと老年ファンの一人として願うばかりです。


今日のプログラムは以下のとおりでした。

  弦楽四重奏:カルテット・アマービレ
         篠原悠那(第1ヴァイオリン)
         北田千尋(第2ヴァイオリン)
         中 恵菜(ヴィオラ)
         笹沼 樹(チェロ)


  ベートーヴェン:弦楽四重奏曲 第2番 ト長調 Op.18-2
  ベートーヴェン:弦楽四重奏曲 第9番 ハ長調 Op.59-3 「ラズモフスキー第3番」

   《休憩》

  ベートーヴェン:弦楽四重奏曲 第13番 変ロ長調 Op.130/大フーガ 変ロ長調 Op.133


   《アンコール》
     ベートーヴェン:弦楽四重奏曲 第13番 変ロ長調 Op.130 から 第6楽章 Allegro 変ロ長調 Op.130-6


最後に予習について、まとめておきます。

1曲目のベートーヴェンの弦楽四重奏曲 第2番を予習したCDは以下です。

  リンゼイ弦楽四重奏団 1979年 ウェントワース、ホーリー・トリニティ教会 セッション録音

リンゼイ弦楽四重奏団のベートーヴェン弦楽四重奏曲全集の旧盤です。新盤よりもしっくりくる演奏です。


2曲目のベートーヴェンの弦楽四重奏曲 第9番「ラズモフスキー第3番」を予習したCDは以下です。

  リンゼイ弦楽四重奏団 1984年 ウェントワース、ホーリー・トリニティ教会 セッション録音

リンゼイ弦楽四重奏団のベートーヴェン弦楽四重奏曲全集の旧盤です。これも新盤よりもしっくりくる演奏です。


3曲目のベートーヴェンの弦楽四重奏曲 第13番 Op.130/大フーガ Op.133を予習したCDは以下です。

  リンゼイ弦楽四重奏団 1983年 ウェントワース、ホーリー・トリニティ教会 セッション録音
  リンゼイ弦楽四重奏団 2000年7月25-27日 ウェントワース、ホーリー・トリニティ教会 セッション録音

リンゼイ弦楽四重奏団のベートーヴェン弦楽四重奏曲全集の旧盤と新盤です。これは新盤のほうがしっくりきました。


アンコールのベートーヴェンの弦楽四重奏曲 第13番 変ロ長調 Op.130 から 第6楽章 Allegro 変ロ長調 Op.130-6を予習したCDは以下です。そうです。当然、アンコールはこれしかないと予想して、予習しました(笑い)。

  リンゼイ弦楽四重奏団 1983年 ウェントワース、ホーリー・トリニティ教会 セッション録音

リンゼイ弦楽四重奏団のベートーヴェン弦楽四重奏曲全集の旧盤です。



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ジャンル : 音楽

       カルテット・アマービレ,

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首都圏の様々なジャンルのクラシックコンサート、オペラの感動をレポートします。在京オケ・海外オケ、室内楽、ピアノ、古楽、声楽、オペラ。バロックから現代まで、幅広く、深く、クラシック音楽の真髄を堪能します。
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aokazuyaさん

コメントありがとうございます。デジタルコンサートホールは当面、これきりですが、毎週末、聴かれているんですね。ファゴットのシュテファン・シュヴァイゲ

03/03 23:32 sarai

DCHは私も毎週末、楽しみに聞いています。
・スーパースターには、ファゴットのシュテファン・シュヴァイゲルトの名も挙げたいところです。
・清水直子さん後半のみ登場、D

03/01 19:22 aokazuya

金婚式、おめでとうございます!!!
大学入学直後からの長いお付き合い、素晴らしい伴侶に巡り逢われて、幸せな人生ですね!
京都には年に2回もお越しでも、青春を過ごし

10/07 08:57 堀内えり

 ≪…長調のいきいきとした溌剌さ、短調の抒情性、バッハの音楽の奥深さ…≫を、長調と短調の振り子時計の割り振り」による十進法と音楽の1オクターブの12等分の割り付けに

08/04 21:31 G線上のアリア

じじいさん、コメントありがとうございます。saraiです。
思えば、もう10年前のコンサートです。
これがsaraiの聴いたハイティンク最高のコンサートでした。
その後、ザル

07/08 18:59 sarai

CDでしか聴いてはいません。
公演では小沢、ショルティだけ

ベーム、ケルテス、ショルティ、クーベリック、
クルト。ザンデルリング、ヴァント、ハイティンク
、チェリブ

07/08 15:53 じじい@

saraiです。
久々のコメント、ありがとうございます。
哀愁のヨーロッパ、懐かしく思い出してもらえたようで、記事の書き甲斐がありました。マイセンはやはりカップは高く

06/18 12:46 sarai
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