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ニコラ・アライモの演技とヴォリューム感のある歌唱、そして、素晴らしいアンサンブル 《ファルスタッフ》@新国立劇場 2023.2.12

演出家ジョナサン・ミラーの作り出したステージはシンプルでオーソドックスなもの。特筆すべきは17世紀オランダをもとにした舞台の古色蒼然とした美しさ。舞台転換のスピーディーさもドラマ展開の連続性を損なわない見事なもの。2019年に亡くなったジョナサン・ミラーの残してくれた遺産です。

音楽自体はセリフ回しのようなコメディーで、これがヴェルディの総決算とはね。それでも、オーケストラの分厚い響きでの聴かせどころもあり、東響が存在感を出していました。
そして、歌手では、タイトルロールのファルスタッフを歌ったニコラ・アライモの演技力と朗々たる歌唱の見事さが一番でした。場をしめくくるシーンで再三、張り上げた歌唱の圧倒的な響きに感銘を覚えました。「行け、老練なジョン」"Va, vecchio John" は聴かせどころですが、見事に決まっていました。彼の歌唱を聴くのは、2014年のザルツブルグ精霊降臨音楽祭での《チェネレントラ》のダンディーニ役以来です。そのときは、その巨体から出るボリュームのある声の響きとテクニックに加え、演技力も抜群でパスタを食べるシーンでは死ぬほど笑わせてくれました。バルトリとカマレーナの圧倒的な歌唱にもかかわらず、アライモの素晴らしさが目立ちました。今日も流石の歌唱と演技に納得しました。
アリーチェを歌ったロベルタ・マンテーニャは初聴きですが、その美声に魅了されました。この役は聴かせどころはほとんどありませんが、アンサンブルのソプラノの要となります。彼女の張りのある美声、そして、潤いを感じさせる美しいヴィブラートは輝きを放っていました。透明感のある歌唱はナンネッタ役の三宅理恵の歌唱と共通していて、この2人の歌唱はこのオペラを盛り上げてくれました。
さて、そのナンネッタ役を歌った三宅理恵ですが、今日も美しい高音の歌唱で期待に応えてくれました。もっとも最初、saraiはナンネッタ役を三宅理恵が歌うことを知らなかったので、あれっ、この綺麗で透明な高音は誰だろうとびっくりしてたんです。第3幕のアリア「夏の風に乗って」はまさに妖精の女王にふさわしい素晴らしい歌唱でうっとりと聴き入りました。今日、最高の聴きどころでした。
クイックリー夫人のマリアンナ・ピッツォラートは安定した歌唱もさることながら、演技で魅せてくれました。
フォード役のホルヘ・エスピーノは渋い歌唱が見事。アンサンブルの軸の一人としての役目を果たしました。

ヴェルディが生涯の最後で作り上げた野心的なオペラを新国立劇場が素晴らしい音楽、そして、演出で公演してくれました。アリアが主体でない劇と音楽の総合作品の真髄をしっかりと受け止めることができました。やはり、ファルスタッフは奥深いオペラです。


今日のキャストは以下です。

  ジュゼッペ・ヴェルディ
   ファルスタッフ 全3幕

【指 揮】コッラード・ロヴァーリス
  【演 出】ジョナサン・ミラー
  【美術・衣裳】イザベラ・バイウォーター
  【照 明】ペーター・ペッチニック
  【再演演出】三浦安浩
  【舞台監督】髙橋尚史
  【合唱指揮】三澤洋史
  【合 唱】新国立劇場合唱団
  【管弦楽】東京交響楽団 コンサートマスター:小林壱成

【ファルスタッフ】ニコラ・アライモ
  【フォード】ホルヘ・エスピーノ
  【フェントン】村上公太
  【医師カイウス】青地英幸
  【バルドルフォ】糸賀修平
  【ピストーラ】久保田真澄
  【フォード夫人アリーチェ】ロベルタ・マンテーニャ
  【ナンネッタ】三宅理恵
  【クイックリー夫人】マリアンナ・ピッツォラート
  【ページ夫人メグ】脇園 彩


最後に予習について、まとめておきます。

以下のヴィデオを見ました。

ヴェルディ:歌劇『ファルスタッフ』全曲

 アンブロージョ・マエストリ(ファルスタッフ)
 ステファニー・ブライズ(クイックリー夫人)
 アンジェラ・ミード(アリーチェ)
 リゼット・オロペーサ(ナンネッタ)
 ジェニファー・ジョンソン・カーノ(メグ・ペイジ)
 パオロ・ファナーレ(フェントン)
 フランコ・ヴァッサッロ(フォード)
 メトロポリタン歌劇場管弦楽団&合唱団,
 ジェイムズ・レヴァイン(指揮)

 ロバート・カーセン(演出)
 ポール・スタインバーグ(美術)
 ブリギッテ・ライフェンシュトゥール(衣装)

 収録時期:2013年12月14日
 収録場所:メトロポリタン歌劇場(ライヴ)

うーん、やっぱり、オペラだから、もう少し、キャストの見栄えも大事かなと頭を捻りました。特にアリーチェの容姿がね。音楽的にはレヴァインがしっかりと仕切っていました。



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首都圏の様々なジャンルのクラシックコンサート、オペラの感動をレポートします。在京オケ・海外オケ、室内楽、ピアノ、古楽、声楽、オペラ。バロックから現代まで、幅広く、深く、クラシック音楽の真髄を堪能します。
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aokazuyaさん

コメントありがとうございます。デジタルコンサートホールは当面、これきりですが、毎週末、聴かれているんですね。ファゴットのシュテファン・シュヴァイゲ

03/03 23:32 sarai

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03/01 19:22 aokazuya

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08/04 21:31 G線上のアリア

じじいさん、コメントありがとうございます。saraiです。
思えば、もう10年前のコンサートです。
これがsaraiの聴いたハイティンク最高のコンサートでした。
その後、ザル

07/08 18:59 sarai

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クルト。ザンデルリング、ヴァント、ハイティンク
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07/08 15:53 じじい@

saraiです。
久々のコメント、ありがとうございます。
哀愁のヨーロッパ、懐かしく思い出してもらえたようで、記事の書き甲斐がありました。マイセンはやはりカップは高く

06/18 12:46 sarai
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