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フルシャがブラームスを振るとN響の響きが変わって繊細さと精妙さの極致、アンデルジェフスキのピアノが冴え渡るシマノフスキ NHK交響楽団@サントリーホール 2023.2.15

ヤクブ・フルシャを久々に(5年ぶり)聴きましたが、その精緻さの極まる指揮はますます磨きがかかり、オーケストラへの要求水準の高さも並々ならぬものでした。驚いたことにN響はフルシャの高い要求をほぼ満たしていました。コンサートマスターの白井圭の力量もなかなかのものとみました。いい意味でN響が別のオーケストラに思えるほどの変身を遂げていました。

冒頭はドヴォルザークの序曲「フス教徒」。最初のコラールは管楽器だけで奏でられますが、フルシャの節回しとテンポ感がたまらなく素晴らしいです。多分、フルシャは心の中で歌っており、それをオーケストラで演奏させていたのでしょう。タクトの振り方も絶妙でした。そして、このコラールは弦楽器に移りますが、爽やかな味わいの響きが最高です。その後、いくつもコラールが演奏されて、音楽も高潮していきますが、フルシャの指揮の見事さに心を奪われます。N響がまるでチェコ・フィルになったかのごとくの演奏に舌を巻きます。チェコ国民の熱狂の嵐の中にいつしかsaraiも巻き込まれ、陶酔の中に曲は終わります。1曲目から大変な演奏です。これだけでもよほどリハーサルを重ねたんでしょう。

次はシマノフスキの交響曲 第4番 Op.60「協奏交響曲」。交響曲とは名ばかりで、まさにピアノ協奏曲で協奏交響曲のテーストもはいっています。まるで昨日、都響で聴いたフローラン・シュミットの管弦楽とピアノのための協奏交響曲みたいですね。ピアノの超絶技巧といった点も同じです。第3楽章ではバルトーク風の民俗舞曲も登場します。無論、シマノフスキの作風はバルトークとは異なりますが、時代背景などで底面でつながるものはあるようです。久々に聴くピョートル・アンデルシェフスキの軽やかでノリのよいピアノのタッチは健在で難曲のシマノフスキを見事に弾きこなします。彼が先導する形で先鋭的な曲を弾き進めていきます。シマノフスキらしい幻想的な雰囲気のパートもあり、複雑さはあるもののストレートな音楽表現で聴きやすく、耳ざわりもよい作品です。ピアノとオーケストラが交錯して高潮する圧倒的な響きでは、昨日のフローラン・シュミットの作品を思い出してしまいます。全体的にアンデルシェフスキ独特の切れのよいピアノの響きに終始、魅了されました。
アンデルジェフスキのアンコール曲は明らかにシマノフスキ。民俗的な要素もあったので、マズルカ風に感じました。実際、シマノフスキのマズルカでした。ショパンのマズルカと違って、とてもモダンな仕立ての音楽でした。


後半はブラームスの交響曲 第4番。フルシャのブラームスはドイツ流のがっちりした堅固な演奏とは異なり、高弦でメロディーラインを爽やかに奏でる演奏です。しかも精緻な指揮で絶妙な味わいの音楽を醸し出します。パステル画で精妙に描き出すような雰囲気で、油絵のようなこってりしたものではありません。よく見ると、先ほどまでと違って、スコアを置かずに暗譜で指揮しています。フルシャはブラームスに思い入れが深いようです。そう言えば、都響の首席客員指揮者の最終公演でもブラームスの交響曲第1番の素晴らしい演奏を聴かせてくれました。ともかく、フルシャ独自の解釈のブラームスは説得力もあり、素晴らしい演奏です。ぐっと引き入れられるようにsaraiも集中します。あの有名な第1主題がともかく美しいです。何度も出てくるたびに聴き惚れます。第2楽章にはいり、ますます、桃源郷のようなロマンの世界が広がります。底堅さはありませんが、高弦や木管が絶妙なメロディーを聴かせてくれて、枯れたというよりも爽やかなブラームスです。新たなブラームス像が出現したような感じです。ぽわーんとして聴き惚れていたら、第3楽章はいきなり、力強い音楽で切り込んできます。ぐんぐん推進力の強い音楽で雰囲気は一変。そして、第4楽章は力強い主題で開始。バッハのカンタータ150番の終結合唱の低音主題によるパッサカリアです。力強さと繊細さが織り交ぜられたような絶妙な演奏で最高の味わいです。フルシャの素晴らしいタクトに見事に反応したN響の渾身の演奏でまことに結構なブラームスを聴かせてくれました。N響がこんなに精妙なブラームスを演奏するとは驚きです。


今日のプログラムは以下のとおりでした。


  指揮 : ヤクブ・フルシャ
  ピアノ : ピョートル・アンデルシェフスキ
  管弦楽:NHK交響楽団 コンサートマスター:白井圭

  ドヴォルザーク:序曲「フス教徒」Op.67
  シマノフスキ:交響曲 第4番 Op.60「協奏交響曲」
   《アンコール》シマノフスキ:20のマズルカ Op.50 第3曲

   《休憩》

  ブラームス:交響曲 第4番 ホ短調 Op.98


最後に予習について、まとめておきます。

1曲目のドヴォルザークの序曲「フス教徒」を予習したCDは以下です。

  イシュトヴァン・ケルテス指揮ロンドン交響楽団 1966年10月11,12日 ロンドン、キングズウェイホール セッション録音

ドヴォルザークのスペシャリストだったケルテスのドヴォルザーク交響曲全集に含まれる録音ですが、もうひとつ精緻さに欠けます。


2曲目のシマノフスキの交響曲 第4番を予習したCDは以下です。

  レイフ・オヴェ・アンスネス、サイモン・ラトル指揮バーミンガム市交響楽団 1996年10月 セッション録音

シマノフスキの音楽の普及に努めたラトルのシマノフスキ全集の中の1曲です。アンスネスのピアノが素晴らしいです。


3曲目のブラームスの交響曲 第4番を予習したCDは以下です。

  ヴィルヘルム・フルトヴェングラー指揮ベルリン・フィル 1949年6月10日 ドイツ、ヴィースバーデン ライヴ録音(グランド・スラム(平林直哉復刻))

この曲はフルトヴェングラーに限ります。1948年のベルリン・フィルとの演奏は最高の名演ですが、今回は別の演奏を聴きました。これも凄いロマンティックな演奏。



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首都圏の様々なジャンルのクラシックコンサート、オペラの感動をレポートします。在京オケ・海外オケ、室内楽、ピアノ、古楽、声楽、オペラ。バロックから現代まで、幅広く、深く、クラシック音楽の真髄を堪能します。
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aokazuyaさん

コメントありがとうございます。デジタルコンサートホールは当面、これきりですが、毎週末、聴かれているんですね。ファゴットのシュテファン・シュヴァイゲ

03/03 23:32 sarai

DCHは私も毎週末、楽しみに聞いています。
・スーパースターには、ファゴットのシュテファン・シュヴァイゲルトの名も挙げたいところです。
・清水直子さん後半のみ登場、D

03/01 19:22 aokazuya

金婚式、おめでとうございます!!!
大学入学直後からの長いお付き合い、素晴らしい伴侶に巡り逢われて、幸せな人生ですね!
京都には年に2回もお越しでも、青春を過ごし

10/07 08:57 堀内えり

 ≪…長調のいきいきとした溌剌さ、短調の抒情性、バッハの音楽の奥深さ…≫を、長調と短調の振り子時計の割り振り」による十進法と音楽の1オクターブの12等分の割り付けに

08/04 21:31 G線上のアリア

じじいさん、コメントありがとうございます。saraiです。
思えば、もう10年前のコンサートです。
これがsaraiの聴いたハイティンク最高のコンサートでした。
その後、ザル

07/08 18:59 sarai

CDでしか聴いてはいません。
公演では小沢、ショルティだけ

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クルト。ザンデルリング、ヴァント、ハイティンク
、チェリブ

07/08 15:53 じじい@

saraiです。
久々のコメント、ありがとうございます。
哀愁のヨーロッパ、懐かしく思い出してもらえたようで、記事の書き甲斐がありました。マイセンはやはりカップは高く

06/18 12:46 sarai
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