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ヴァイグレの真骨頂、ベートーヴェンとワーグナーの真髄を抉り出す会心の演奏 読売日本交響楽団@ミューザ川崎シンフォニーホール 2023.8.1

ヴァイグレが振ると、読響は素晴らしい演奏を聴かせてくれます。ましてや、コンサートマスター席に日下紗矢子が座れば、一段と演奏の質が上がるのはいつものことです。チェロの遠藤 真理、ヴィオラの鈴木 康浩、第2ヴァイオリンの瀧村 依里がいないのだけが残念でした。

今日のメインはワーグナーですが、それに先立って演奏したのはベートーヴェンの交響曲第8番。何故かドイツ系の指揮者が好んで取り上げます。第1楽章の冒頭のトゥッティからピタッとアンサンブルが決まります。何とも演奏の質の高いことに仰天します。ヴァイグレの重心の低い指揮で律動的な音楽が次第に高潮していきます。第1楽章の終盤はレオノーレ序曲のような雰囲気でヒロイックな音楽に気持ちが高揚します。ヴァイグレが振ると、先週のモーツァルトの交響曲のようにオペラティックな音楽になります。
第2楽章は木管がリズムを刻んでいく中、読響の素晴らしい弦楽アンサンブルが美しい歌を奏でていきます。プレトークではヴァイグレがこの楽章はロッシーニをからかうような音楽ということを言っていましたが、saraiはベートーヴェンがウィーンで人気沸騰のロッシーニに影響を受けたのではないかと思っています。鮮やかなリズムに乗った音楽が展開されます。
第3楽章は優美な音楽。素晴らしい古典的な音楽が読響の見事の演奏で歌われて、うっとりします。トリオで、管楽器のメロディーに独奏チェロが伴奏したのにはびっくり。独奏チェロがまるで通奏低音のように響きます。このトリオはこんな風に演奏するんだっけ?
第4楽章はヴァイグレの強烈なまくりもあり、非常に高揚する圧巻の演奏。素晴らしい演奏に聴き入りました。

古典派の粋を聴いた思いになりました。まことにパーフェクトな演奏に恐れ入りました。素晴らしいベートーヴェンでした。


休憩後はワーグナーの序夜と3夜からなる超大規模な楽劇『ニーベルングの指環』の管弦楽音楽だけをつなぎ合わせたヘンク・デ・フリーヘル(Henk de Vlieger)による管弦楽編曲版「オーケストラル・アドヴェンチャー」です。これでも約60分の大作ですが、リング全曲は15時間くらいかかりますから、超圧縮版ですね。ちなみにsaraiは楽劇『ニーベルングの指環』全曲をまとめて聴いたのはたった1回だけです。一度はバイロイトで聴いてみようと思っていましたが、楽劇《トリスタンとイゾルデ》と楽劇《パルジファル》を聴いて、すっかり満足し、楽劇『ニーベルングの指環』全曲をバイロイトで聴く夢はあきらめました。
さて、今日の演奏ですが、ドイツのオペラ指揮者であるヴァイグレの名に恥じぬ見事な演奏でした。
まず、序夜《ラインの黄金》は低音から静かに盛り上がり、ライン川の雄大な流れを形成し、ニーベルハイムの地下世界を激しく描き出して、金床の響きが印象的です。そして、ヴァルハラ城の深遠な雰囲気が素晴らしいです。
そして、第1夜《ワルキューレ》は有名なワルキューレの騎行で日下紗矢子率いるヴァイオリンの素晴らしい響きに魅了されます。ブリュンヒルデが炎に包まれて眠るシーンが鮮やかに描き出されます。
第2夜《ジークフリート》は深い森のシーンに始まり、ジークフリートがホルン独奏で素晴らしく演奏されます。そして、ジークフリートがブリュンヒルデを炎の中から覚醒させる美しい音楽が奏でられます。このあたりから、ヴァイグレの腕が冴え渡り、読響の素晴らしい音響を引き出していきます。
第3夜《神々の黄昏》が圧巻の演奏、圧巻の音楽でした。美しくもあり、悲劇的でもあり、清澄でもある音楽がヴァイグレと読響の渾身の演奏で表現されます。今日の音楽の素晴らしさはすべて、ここに詰め込まれていました。壮絶な音楽の最後はまるでハリウッドの映画音楽のような美しいメロディーが日下紗矢子率いるヴァイオリン群が最高の響きで演奏されて幕。
とてもたった60分とは思えない長大かつ深遠な音楽に圧倒されました。ヴァイグレの本領を聴いた思いです。素晴らしいとしか言えないワーグナーでした。

こうなると、コンサート形式でよいので、是非、楽劇《トリスタンとイゾルデ》を聴かせてほしいものです。来シーズンあたり、いかがでしょう⇒読響関係者殿。


今日のプログラムは以下です。

  フェスタ サマーミューザ KAWASAKI 2023
  読売日本交響楽団

  指揮:セバスティアン・ヴァイグレ(読売日本交響楽団 常任指揮者)
  管弦楽:読売日本交響楽団  コンサートマスター:日下紗矢子(ダブルコンマス 林悠介)

  ベートーヴェン:交響曲第8番 ヘ長調 Op. 93
  
   《休憩》

  ワーグナー(デ・フリーヘル編曲):楽劇『ニーベルングの指環』 ~オーケストラル・アドヴェンチャー


最後に予習について、まとめておきます。

1曲目のベートーヴェンの交響曲第8番は以下の録音を聴きました。

 カール・シューリヒト指揮パリ音楽院管弦楽団 1957年5月7,10日 サル・ワグラム、パリ セッション録音

ドイツ人のシューリヒトがフランスのオーケストラでベートーヴェンの交響曲全集を録音した名盤。今回、聴き直しましたが、素晴らしい組み合わせに思えます。モノラルながら、非常に良好な音質です。今回、ドイツ人指揮者のヴァイグレが明るい響きの読響でベートーヴェンを演奏するので、あえて聴くことにしました。


2曲目のワーグナー(デ・フリーヘル編曲)の楽劇『ニーベルングの指環』 ~オーケストラル・アドヴェンチャーは以下の録音を聴きました。

 ネーメ・ヤルヴィ指揮ロイヤル・スコティッシュ・ナショナル管弦楽団 2007年8月5-7日 セッション録音

ネーメ・ヤルヴィの意表を突くワーグナーの演奏。さすがに見事な演奏を聴かせてくれます。



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