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ガーディナーの熱い共感のメンデルスゾーンの交響曲第2番《讃歌》 ベルリン・フィル@ベルリン・フィルハーモニー(配信) 2022年3月19日

ベルリン・フィルのデジタル・コンサートホールの第3回目の鑑賞記です。
東響のサントリー定期(鈴木優人指揮)の予習も兼ねて、ベルリン・フィルのメンデルスゾーンを聴きます。
このメンデルスゾーンの交響曲第2番《讃歌》はsaraiの人生の中でまったくの初聴きになります。考えてみれば、saraiはメンデルスゾーンのよい聴き手ではなかったような気がします。まあ、一般にメンデルスゾーンはその業績に比べて、特に日本では正当な評価を受けてこなかった作曲家の一人ですね。今日、この大作を聴いて、メンデルスゾーンの天才ぶり、何よりも音楽への深い情熱を感じ取ることができました。

メンデルスゾーンの交響曲第2番《讃歌》は前半は純器楽作品、後半は声楽を伴う大宗教曲で、全体は70分を超える大作です。こういう構成の作品としては、過去にはベートーヴェンの交響曲第9番、その後にはマーラーの交響曲群があり、それらは現在、よく演奏されますが、この曲はあまり演奏されません。宗教性が強過ぎるのかもしれません。ドイツではそれなりに演奏されるようです。
メンデルスゾーンのこの曲はスペシャリストと言えるような指揮者がいて、アバド、シャイーなどですが、これから聴くジョン・エリオット・ガーディナーもその一人です。それでも、彼がベルリン・フィルを振って、メンデルスゾーンを演奏するのは珍しい感じがしてしまいます。基本的にオリジナル演奏の指揮者ですからね。無論、ベルリン・フィルがオリジナル演奏をするとは思えません。

実際、第1部が始まると、弦はガット弦ではなく、普通にヴィブラートをかけています。初めて聴くにもかかわらず、どこかで聴いたような懐かしいメロディーが奏でられます。そして、ベルリン・フィルはとても美しいアンサンブルの演奏です。コンサートマスターは大柄なアジア系の女性。見たことのない人です。ガーディナーが臨時に連れてきた人でしょうか。時として、ガーディナーは情熱的な指揮をします。この曲への思い入れは半端ではない印象です。第1部は序奏と3つの楽章から成りますが、やがて、第2楽章に休みなく移行します。アレグレットで穏やかな主題が奏されます。そして、中間部では序奏で提示されたモットー動機を含む印象的なコラールが奏でられます。うっとりとしますね。休みなく第3楽章に入ります。雰囲気は第2楽章を引き継ぎます。宗教的な民謡が奏でられます。メンデルスゾーンらしい音楽が横溢します。この優しく穏やかな音楽が時として高潮しますが、だんだんと静まっていきます。
そのまま、第2部です。ここからは声楽が入るカンタータです。また、モットー動機から始まり、ガーディナーが激しい勢いで合唱を鼓舞して、第2曲を演奏します。ところで、序奏から登場するモットー動機は再三、各所で演奏される印象的な旋律です。一緒に聴いていた配偶者が急に笑いながら、唱和します。何と、《箱根の山は天下の嶮 函谷關も ものならず》。瀧 廉太郎の歌曲『箱根八里』です。まあ、そう言えば、否定できませんね。無論、メンデルスゾーンが『箱根八里』のメロディーを取り込んだわけではなく、瀧 廉太郎がこの曲から旋律を取り、『箱根八里』を作ったのでしょう。saraiが初めて聴いたのに、どこかで聴いたような気がしたのは瀧 廉太郎の歌曲『箱根八里』に似ていたからですね。
話を戻し、モンテヴェルディ合唱団の素晴らしい合唱に感銘を受けます。そして、途中から、ルーシー・クロウの澄み切ったソプラノ独唱が入ってきて、素晴らしい音楽が展開されていきます。

第3曲はテノール独唱がレシタティーボを歌います。まるで福音史家みたいな雰囲気です。でも、バッハのような音楽ではなく、あくまでもメンデルスゾーンの世界です。ヴェルナー・ギューラは見事な美声を聴かせてくれます。
このテノール独唱がそのまま、合唱に歌い継がれて、第4曲が進みます。

第5曲はソプラノとメゾソプラノの掛け合いのデュエット。このデュエットが素晴らしく、聴き惚れます。音楽もよし、歌手もよし。この曲のひとつの頂点です。

第6曲はテノール独唱で闇の恐怖が劇的に歌われて、《師よ、夜は間もなく明けますか?》と何度も歌われて、最後にステージの後方の上段からソプラノが《夜は過ぎ去れり!》と返答します。そして、そのまま、第7曲で合唱が《夜は過ぎ去れり》と晴れやかに連呼します。

第8曲はアカペラの合唱が祝典的なコラールを歌います。モンテヴェルディ合唱団、素晴らしい! 途中からオーケストラも加わり、晴れやかに高潮します。

第9曲はテノール独唱とソプラノ独唱の掛け合いですが、清らかなソプラノに心が洗われる思いです。

最後の第10曲はフーガ合唱に始まり、《すべての者は主に感謝せよ!》という感動の大合唱。そして、また、フーガ合唱。最後はモットー動機、すなわち、《箱根の山は天下の嶮》で締め括られます。

あっという間の70分でした。懐かしいモットー動機もあり、全然、退屈せずに楽しく聴けました。ガーディナーの熱い思い、そして、ベルリン・フィルの素晴らしいアンサンブルで、メンデルスゾーンの隠れた傑作を深く味わうことができました。

ベルリン・フィルのメンデルスゾーンに感銘を受けて、ベルリン・フィルのデジタル・コンサートホールでほかのメンデルスゾーンの作品も聴きたくなりました。もちろん、ありました。それもキリル・ペトレンコの指揮したメンデルスゾーンの交響曲第3番《スコットランド》。メンデルスゾーンの作曲した最後の交響曲ですね。次はこれを聴きましょう。


この日のプログラムは以下です。

  2022年3月19日、ベルリン・フィルハーモニー

  指揮:サー・ジョン・エリオット・ガーディナー
  ルーシー・クロウ(ソプラノ)
  アン・ハレンベリ(メゾソプラノ)
  ヴェルナー・ギューラ(テノール)
  モンテヴェルディ合唱団
  管弦楽:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

  フェリックス・メンデルスゾーン:交響曲第2番変ロ長調 Op. 52《讃歌》
  
なお、その他、以下の曲も演奏されました。(未聴)
  
  ヨハネス・ブラームス:《運命の歌》Op. 54
  


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