fc2ブログ
 
  

キリル・ペトレンコの明朗快活なメンデルスゾーンの交響曲第3番《スコットランド》 ベルリン・フィル@ベルリン・フィルハーモニー(配信) 2021年10月29日

ベルリン・フィルのデジタル・コンサートホールの第4回目の鑑賞記です。
ガーディナーの熱い共感のメンデルスゾーンの交響曲第2番《讃歌》を聴いて、ベルリン・フィルのほかのメンデルスゾーンにも俄然、興味が出てきて。ペトレンコのメンデルスゾーンのアーカイブがあることが分かり、即、聴くことにしました。交響曲第1番と第3番の演奏記録があり、とりあえず、第3番を聴きます。

キリル・ペトレンコは肩の力の抜けた見事な指揮でこの名曲を奏でます。第1楽章の有名な序奏は何度聴いても心がほっこりします。タイトルのスコットランドの名前の通り、メンデルスゾーンがスコットランドのエディンバラにあるホリールード宮殿Palace of Holyroodを訪れた際、隣にあるホリールード寺院Holyrood Abbeyの廃墟を眺めて、日本風に言えば、世の無常を感じて、このメロディーが頭に浮かんだそうです。ついでに言えば、saraiのオーディオシステムのスピーカーは英国のタンノイTANNOY社製のエディンバラなので、このスピーカーから響いてくる懐かしいメロディーにも何となく親近感を覚えます。それにメンデルスゾーンの交響曲第2番《讃歌》で滝廉太郎の箱根八里のメロディーが登場したのと同様に、序奏の静かな旋律は滝廉太郎の荒城の月を連想します。
第1楽章は懐かしい雰囲気のまま、素晴らしいアンサンブルの演奏が続いていきます。この曲はさほどに名人芸を要するようなものではありませんが、ペトレンコが指揮するとベルリン・フィルは凄技を繰り出した演奏を聴かせてくれます。役者も揃っています。コンサートマスターは我が樫本大進、フルートはエマニュエル・パユ、クラリネットはヴェンツェル・フックス、オーボエはアルブレヒト・マイヤー、ホルンはシュテファン・ドール・・・。1970年代のベルリン・フィルのスタープレイヤー揃いだった頃に比べても(コンサートマスターのミシェル・シュヴァルベ、フルートのゴールウェイ、クラリネットのライスター、オーボエのローター・コッホ、ホルンのザイフェルト)、現在も負けず劣らずですね。彼らが素晴らしい技術・音楽性を競い合っての演奏には度肝を抜かれそうになります。ペトレンコは軽く合わせるような指揮で自然な表現ですが、顔の表情から、音楽への愛を感じます。一見、オーケストラの自発性に任せたような指揮にも思えますが、どっこい、押さえるところは押さえた指揮で、瑞々しい音楽を表現していきます。
第2楽章のヴィヴァーチェ・ノン・トロッポは活き活きとした表情の音楽がそよ風のように吹き抜けます。
第3楽章のアダージョはまず、樫本大進を中心とした第1ヴァイオリンが抒情的な演奏で魅了した後、管楽器の首席奏者たちが静謐な音楽を奏でます。ペトレンコとベルリン・フィルの息はぴったりと合っています。
第4楽章はアレグロの勢いのよい音楽が進行し、いったん、静まり、コーダで第1楽章の序奏の動機を回想した後、壮大に高まって、明るく曲を閉じます。

キリル・ペトレンコの新たな一面を見たようなメンデルスゾーンの交響曲第3番でした。ただ美しいだけの演奏ではなく、本物の音楽がそこには息づいていました。オーケストラも個人それぞれの個性を活かしつつ、きっちりアンサンブルが整った理想に近い演奏を聴かせてくれました。キリル・ペトレンコとベルリン・フィルの行き着くところはどういう世界になるのでしょう。


この日のプログラムは以下です。

  2021年10月29日、ベルリン・フィルハーモニー

  指揮:キリル・ペトレンコ
  管弦楽:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

  フェリックス・メンデルスゾーン:交響曲第3番イ短調 Op. 56《スコットランド》
  
なお、その他、以下の曲も演奏されました。(未聴)
  
  ディミトリ・ショスタコーヴィチ:交響曲第10番ホ短調 Op. 93
  


↓ saraiのブログを応援してくれるかたはポチっとクリックしてsaraiを元気づけてね

 いいね!








関連記事

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

       キリル・ペトレンコ,

コメントの投稿

非公開コメント

人気ランキング投票、よろしくね
ページ移動
プロフィール

sarai

Author:sarai
首都圏の様々なジャンルのクラシックコンサート、オペラの感動をレポートします。在京オケ・海外オケ、室内楽、ピアノ、古楽、声楽、オペラ。バロックから現代まで、幅広く、深く、クラシック音楽の真髄を堪能します。
たまには、旅ブログも書きます。

来訪者カウンター
CalendArchive
最新記事
カテゴリ
指揮者

ソプラノ

ピアニスト

ヴァイオリン

室内楽

演奏団体

リンク
Comment Balloon

金婚式、おめでとうございます!!!
大学入学直後からの長いお付き合い、素晴らしい伴侶に巡り逢われて、幸せな人生ですね!
京都には年に2回もお越しでも、青春を過ごし

10/07 08:57 堀内えり

 ≪…長調のいきいきとした溌剌さ、短調の抒情性、バッハの音楽の奥深さ…≫を、長調と短調の振り子時計の割り振り」による十進法と音楽の1オクターブの12等分の割り付けに

08/04 21:31 G線上のアリア

じじいさん、コメントありがとうございます。saraiです。
思えば、もう10年前のコンサートです。
これがsaraiの聴いたハイティンク最高のコンサートでした。
その後、ザル

07/08 18:59 sarai

CDでしか聴いてはいません。
公演では小沢、ショルティだけ

ベーム、ケルテス、ショルティ、クーベリック、
クルト。ザンデルリング、ヴァント、ハイティンク
、チェリブ

07/08 15:53 じじい@

saraiです。
久々のコメント、ありがとうございます。
哀愁のヨーロッパ、懐かしく思い出してもらえたようで、記事の書き甲斐がありました。マイセンはやはりカップは高く

06/18 12:46 sarai

私も18年前にドレスデンでバームクーヘン食べました。マイセンではB級品でもコーヒー茶碗1客日本円で5万円程して庶民には高くて買えなかったですよ。奥様はもしかして◯良女

06/18 08:33 五十棲郁子

 ≪…明恵上人…≫の、仏眼仏母(ぶつげんぶつも)から、百人一首の本歌取りで数の言葉ヒフミヨ(1234)に、華厳の精神を・・・

もろともにあはれとおもへ山ざくら 花よりほか

月別アーカイブ
検索フォーム
RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR