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ベートーヴェンのラズモフスキー・セット全曲演奏は熱く高揚した「ラズモフスキー第3番」で圧巻のフィナーレ:関西弦楽四重奏団@鶴見サルビアホール 2023.11.6

鶴見サルビアホールでその名の通り、関西で活躍する関西弦楽四重奏団の演奏を久しぶりに聴きました。とても実力のあるカルテットの演奏で、ベートーヴェンの中期の傑作、ラズモフスキーセット全3曲を堪能しました。

前半の弦楽四重奏曲 第7番 ヘ長調 Op.59-1「ラズモフスキー第1番」は第1楽章、第2楽章はあまり、ピンとこない演奏でアンサンブルも今一つです。第3楽章は抒情味あふれる演奏で盛り返して、第4楽章もそのままの勢いでフィナーレ。

後半は第1ヴァイオリンと第2ヴァイオリンが交代。このカルテットのいつものパターンです。そして、いつもこの第1ヴァイオリンを田村 安祐美が弾く構成になると、俄然、アンサンブルがよくなり、素晴らしい響きになります。これなら、いつもこの構成で演奏すればいいのにね。
弦楽四重奏曲 第8番 ホ短調 Op.59-2「ラズモフスキー第2番」は冒頭の和音がピタリと決り、響きが素晴らしいです。そのまま、素晴らしい演奏でこの曲を終えます。
最後の弦楽四重奏曲 第9番 ハ長調 Op.59-3「ラズモフスキー第3番」はさらに素晴らしい演奏。第4楽章は全曲、フーガ風の激しい曲調ですが、その演奏の凄まじさはラズモフスキーセット3曲全体のフィナーレとして、ふさわしいもものです。演奏者も聴衆も一体になって、熱く高揚します。終わりよければ、すべてよしというパターンで、大満足のコンサートになりました。

以前、彼らの演奏でベートーヴェンの第16番と第14番を聴きましたが、それも後半に演奏された第14番が素晴らしい演奏でした。
彼らの演奏でベートーヴェンの後期をすべて聴いてみたいものです。特に第13番(大フーガ付き)と第15番。 → 平井さん


今日のプログラムは以下です。

  弦楽四重奏:関西弦楽四重奏団
    林 七奈vn  田村 安祐美vn  小峰 航一va  上森 祥平vc


  ベートーヴェンのラズモフスキー・セット全曲演奏
  
  ベートーヴェン:弦楽四重奏曲 第7番 ヘ長調 Op.59-1「ラズモフスキー第1番」 (第1ヴァイオリンは林 七奈)

   《休憩》

  ベートーヴェン:弦楽四重奏曲 第8番 ホ短調 Op.59-2「ラズモフスキー第2番」 (第1ヴァイオリンは田村 安祐美)
  ベートーヴェン:弦楽四重奏曲 第9番 ハ長調 Op.59-3「ラズモフスキー第3番」 (第1ヴァイオリンは田村 安祐美)

   《アンコール》
    なし

最後に予習について触れておきます。

3曲とも以下のCDを聴きました。

 リンゼイ弦楽四重奏団
  ピーター・クロッパー(ヴァイオリン)、ロナルド・バークス(ヴァイオリン)、ロビン・アイルランド(ヴィオラ)、バーナード・グレガー=スミス(チェロ)
   第7番 Op.59-1「ラズモフスキー第1番」2001年1月24/25日,2月6/7日 ホーリー・トリニティ教会、ウェントワース、ヨークシャー セッション録音
   第8番 Op.59-2「ラズモフスキー第2番」2001年11月21/22日 ホーリー・トリニティ教会、ウェントワース、ヨークシャー セッション録音
   第9番 Op.59-3「ラズモフスキー第3番」2001年1月24/25日,2月6/7日 ホーリー・トリニティ教会、ウェントワース、ヨークシャー セッション録音

リンゼイ弦楽四重奏団の2回目のベートーヴェン弦楽四重奏曲全集です。1回目の全集と演奏コンセプトは基本的には変わりませんが、より精密な演奏です。
このラズモフスキーセットは後期四重奏曲を見据えたような情緒の深い音楽になっています。
彼らは1965年に活動を始め、2005年に解散します。解散前にこの素晴らしい録音を残してくれたのが嬉しいですね。なお、saraiはこのカルテットの実演は未聴です。残念です。


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