極め付き!ヤンソンス指揮バイエルン放送響《エウゲニ・オネーギン》@ミュンヘン・ヘルクレスザール 2011.4.14
それにしても本拠地ミュンヘン・ヘルクレスザールに響き渡るバイエルン放送交響楽団の素晴らし過ぎる演奏にもあわせて圧倒されました。
チャイコフスキーのオペラ《エウゲニ・オネーギン》はコンサート形式での演奏でしたが、オペラ形式の上演に比べても、音楽内容の充実度は驚くべきレベルに達していました。ヤンソンス一人がなしえたことではないとして、ドラマチックで緊迫感にあふれた演奏は凡庸な指揮者では決して達成できないものだと思います。今夜のオペラは単なるオペラというよりもオペラと交響曲を融合し、高い次元の人間の愛と心理葛藤の芸術劇とでもいうべきものに昇華していました。ヤンソンス、オーケストラ、歌手、合唱団のみなさんに敬意を表したいと思います。こういう《エウゲニ・オネーギン》に接したのは初めてで音楽の流れのひとつひとつが強い意味をなして、頭のなかに認識を形づくることができました。チャイコフスキーの音楽の本当の凄さが分かったような気がします。
しかし、最初からだんだんと音楽が熱を帯びてきて、最後はほとんど熱にうかれて狂おしくなるような音楽、これはチャイコフスキーの交響曲第4番、第5番あたりをもっと強烈にした感じ、こういう世界を表現した音楽家には脱帽しかありません。
さて、今夜のキャストは以下。
チャイコフスキー:オペラ《エウゲニ・オネーギン》
ヤンソンス指揮バイエルン放送交響楽団・合唱団
タチアーナ:Veronika Dschiojewa
レンスキー:マリウス・ブレンチウ
オネーギン:ボー・スコウフス
オルガ:マリナ・プルデンスカヤ
グレーミン公爵:ミハイル・ペトレンコ
ラリーナ:Stefania Toczyska
さて、歌手の出来について、あまり触れていませんでしたが、いずれも大満足の出来でした。もっとも、saraiの席は最前列の中央で歌手の息遣いも聴こえる席だったので、その分、割り引かないといけないかも知れませんね。
オネーギンのスコウフスはそれは柔らかい声で歌い始め、最後は狂乱のような歌に達するという素晴らしい出来で流石ですね。タチアーナ役のDschiojewaは何と読むのか分からないくらいまったく知らないソプラノですが、実に美声で透き通った響きを聴かせてくれました。最初の純情可憐な乙女のリリックな響きから最後の成熟した女のドラマチックな響きまで見事に歌い分けてくれました。素晴らしいソプラノでこれからが楽しみな人です。
それにレンスキー役のブレンチウはこれまた美声のテノールで一途な青年の情熱を歌いきってくれました。張りのある声で声量も十分。楽しみなテノールが最近は随分出てきましたね。そうそう、グレーミン公爵を歌ったペトレンコの素晴らしいバスには聞き惚れました。これまた流石の一言。
ヘルクレスザールは初めてでしたが、ウィーンのコンツェルトハウスと似たような響きに思えました。よい響きのホールです。ここを本拠地とするバイエルン放送交響楽団ですが、清冽な弦の響きはとても素晴らしく、なかでも低弦の素晴らしさには驚嘆です。ドイツの重厚な音色に切れの良さを併せ持つ世界超1級のオーケストラです。ウィーン・フィル、コンセルトヘボウ、シカゴなどと並ぶ素晴らしさで感激の極みでした。
オペラ自体の個々の部分には触れられませんでしたが、手紙の場やフィナーレの素晴らしさはとてもsaraiの貧しい筆力では伝えられないほど、魅了されるものでした。あ、レンスキーとグレーミンのアリアも素晴らしかったし・・
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