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男のオペラ、ヴェルディの歌劇「シモン・ボッカネグラ」なれど、ソプラノのイリーナ・ルングが舞台を支配@新国立劇場 2023.11.18

新国立劇場 2023/2024シーズンで最も期待したオペラですが、その期待通りの素晴らしい公演でした。まあ、ヴェルディのこの作品自体の持つ力が最高なんですけどね。このシモン・ボッカネグラを聴くのは3回目ですが、以前は海外でのみ、聴きましたが、今日の公演が一番よかったかもしれません。

このオペラはバリトン、バスという男声が中心の特異なオペラですが、まあ、十分にその黒光りのするような舞台が楽しめました。タイトルロールの【シモン・ボッカネグラ】役のロベルト・フロンターリはその複雑な性格描写をこなして、聴き応えがありました。他のバス、バリトン陣も及第点ですが、迫力という点ではもう少しというところでしょうか。

紅一点の【アメーリア(マリア・ボッカネグラ)】役のイリーナ・ルングは男声陣を押しのけて、見事な歌唱で魅了してくれました。最初は声の出がもう一つでしたが、すぐに美しい声を聴かせてくれて、光り輝くような歌唱で舞台を支配しました。繊細な表現が実に見事でした。以前、この新国立劇場でルチアを歌ったときも素晴らしかったのですが、今回も最高の歌唱でした。

唯一のテノールの【ガブリエーレ・アドルノ】役のルチアーノ・ガンチも素晴らしい高音を聴かせてくれました。イリーナ・ルングとの2重唱は最高でした。

ということで、このヴェルディの傑作オペラを十分に楽しむことができました。

大野和士指揮の東フィルも美しい演奏でとてもよかったと思います。

付録のアフタートークも大野和士、ロベルト・フロンターリ、イリーナ・ルングが参加して、予想外の楽しさ。これは今後も続けてほしいものです。井内美香(音楽ライター)さんの司会進行が素晴らしかったです。


今日のキャストは以下です。

  ジュゼッペ・ヴェルディ
   シモン・ボッカネグラ<新制作> プロローグ付き全3幕

  【指 揮】大野和士
  【演 出】ピエール・オーディ
  【美 術】アニッシュ・カプーア
  【衣 裳】ヴォイチェフ・ジエジッツ
  【照 明】ジャン・カルマン
  【舞台監督】髙橋尚史
  【合唱指揮】冨平恭平
  【合 唱】新国立劇場合唱団
  【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団 コンサートマスター:近藤 薫
  
  【シモン・ボッカネグラ】ロベルト・フロンターリ
  【アメーリア(マリア・ボッカネグラ)】イリーナ・ルング
  【ヤコポ・フィエスコ】リッカルド・ザネッラート
  【ガブリエーレ・アドルノ】ルチアーノ・ガンチ
  【パオロ・アルビアーニ】シモーネ・アルベルギーニ
  【ピエトロ】須藤慎吾
  【隊長】村上敏明
  【侍女】鈴木涼子
  

最後に予習について、まとめておきます。

 ヴェルディ:歌劇「シモン・ボッカネグラ」(ミラノ・スカラ座合唱団&管弦楽団/アバド)

  【指 揮】クラウディオ・アバド
  【合 唱】ミラノ・スカラ座合唱団
  【管弦楽】ミラノ・スカラ座管弦楽団
  
  【シモン・ボッカネグラ】ピエロ・カプッチルリ
  【アメーリア(マリア・ボッカネグラ)】ミレッラ・フレーニ
  【ヤコポ・フィエスコ】ニコライ・ギャウロフ
  【ガブリエーレ・アドルノ】ホセ・カレーラス
  【パオロ・アルビアーニ】ジョゼ・ヴァン・ダム
  【ピエトロ】ジョヴァンニ・フォイアーニ

  収録時期:1977年1月
  収録場所:イタリア、ミラノ

映像のないCDですが、この豪華キャストとアバドの素晴らしい指揮はこれぞ、ヴェルディと唸らせられる凄さです。主要4役の素晴らしさは言うまでもありませんが、特にタイトルロールを歌ったピエロ・カプッチルリは最高の光沢のある歌唱で、彼は唯一、実演で聴いていないことが残念です。今後、映像版を含めて、これを凌駕する演奏が出現することは考えられません。



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