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凄過ぎるキリル・ペトレンコ指揮のベルリン・フィルのR.シュトラウスの《英雄の生涯》にただただ、得心の笑いがこみあげるだけ@サントリーホール 2023.11.20

今日のベルリン・フィルのプログラムは今年8月25日のベルリン・フィルの2023/2024年新シーズン開幕コンサートをベルリン・フィルのデジタル・コンサートホールのネット配信で聴いたばかりで、その素晴らしさは分かっていました。あとは果たして、ベルリン・フィルがベストメンバーで来日してくれるかを心配するくらいです。
で、いよいよ、サントリーホールのステージにメンバーが入ってきます。
コンサートマスターは我が樫本大進、フルートはエマニュエル・パユ、クラリネットはヴェンツェル・フックス、オーボエはアルブレヒト・マイヤー、ホルンはシュテファン・ドール・・・。凄い! スーパースターの勢揃いです。
そして、いよいよ、待ちかねた首席指揮者のキリル・ペトレンコの登場です。例によって、柔和な笑顔です。彼はいわゆるカリスマ指揮者のような威厳はなく、音楽的実力で勝負というタイプです。初めて生で聴く彼の実力のほどをご披露願いましょう。

まずはレーガーの《モーツァルトの主題による変奏曲とフーガ》です。最初に主題がオーボエで奏でられます。懐かしい旋律です。モーツァルトのピアノ・ソナタ第11番 イ長調 K. 331の第1楽章の変奏曲の主題です。ピアノ独奏曲から管弦楽曲の主題をとったんです。オーボエで主題を演奏しているのは、アルブレヒト・マイヤー。達人中の達人です。そして、弦楽パートがはいってきます。恐ろしいくらいの弱音です。トップ奏者だけで演奏しているのかと思うと、何と全員で弾いています。何と言う静謐でピタッと合った合奏でしょう。驚嘆します。キリル・ペトレンコの柔らかい指揮で変奏が進んでいきます。聴き惚れているうちにたちまち、最後の第8変奏。既に主題の姿は消え去っていますが、実に心に響く繊細な表情が印象的です。そして、最終のフーガが始まります。第1ヴァイオリンが音型を示し、それが次々と他の弦楽パートに受け継がれます。さらに木管、金管も加わり、音楽が物凄く高潮します。鉄壁のベルリン・フィルのアンサンブルがうなりをあげていきます。美しい音響のまま、強烈なフォルテシモ。硬質で鋭角のベルリン・フィルが牙をむきます。最後は全楽器で主題が壮大に歌い上げられます。バロックの雰囲気を醸し出しつつ、音響の芸術が終焉。凄いね!

長い休憩後、最も期待していたリヒャルト・シュトラウスの交響詩《英雄の生涯》です。16型の構成で、コントラバスが8本に強化。4管編成でホルンは8本、トランペットは5本。ハープが2台。強力な布陣で、ステージは団員で埋め尽くされます。
冒頭から、低弦が凄い響きを上げます。さらに高弦も加わり、ホルンと一緒に強烈な響きで英雄の主題。いや、これは凄いね!もう、この時点で心が持っていかれます。英雄の主題はさらに高潮していき、最後は爆発的な響き。もう、かっこいいの何の。思わず、saraiは声を出さず、会心の笑いがこみあげます。指揮のキリル・ペトレンコもきっと会心の笑みを浮かべていたでしょう。もう、あとは何も語る言葉がありません。キリル・ペトレンコ率いる強大なベルリン・フィルの凄まじい響きを夢見心地で聴き入るのみです。大編成のオーケストラの隙のない完璧な演奏。saraiの生涯で最高に素晴らしい演奏です。音楽って、こんなに心が浮き立つものなんですね。第1部の《英雄》の最高の高レベルアンサンブルの後、第2部の《英雄の敵》では、木管の達人たち、パユ、マイヤー、フックスがあり得ない美しい響きの饗宴を聴かせてくれました。第3部の《英雄の伴侶》では、コンマスの樫本大進が素晴らしい技巧と響きのヴァイオリン独奏を聴かせてくれます。もう、コンマスというよりも、ヴァイオリンのソロ奏者の風情で、渾身の独奏。あっけに取られて聴き入りました。そうそう、saraiは最前列中央なので、目の前で樫本大進のすべての響きを漏らさずに聴き取りました。圧巻でした。第4部の《英雄の戦場》は、強烈な金管が鳴り響き、勇壮そのものの圧倒的な響きに圧し潰されそうです。第5部の《英雄の業績》はキリル・ペトレンコの巧みな棒さばきでオーケストラ芸術の粋を味わいます。ゲネラルパウゼを効果的に使い、緊張感を高め、物凄い気魄の指揮でベルリン・フィルを鼓舞し、超絶的な演奏を聴かせてくれます。そこまでやるかって、またまた、高笑い。第6部の《英雄の隠遁と完成》は音楽的にも演奏的にもカタルシスを感じ入ります。美し過ぎる弦楽合奏に心が癒されます。心を慰撫するような樫本大進のヴァイオリン独奏の果てに金管がうなりをあげてフィナーレ。
リヒャルト・シュトラウスの最高傑作のひとつ、交響詩《英雄の生涯》を、キリル・ペトレンコが音楽的実力を遺憾なく発揮して、達人集団のベルリン・フィルを最高にドライブして、もう笑うしかないような見事な演奏を聴かせてくれました。脱帽です。


今日のプログラムは以下のとおりです。

  指揮:キリル・ペトレンコ
  管弦楽:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 コンサートマスター:樫本大進

 マックス・レーガー
   モーツァルトの主題による変奏曲とフーガ Op. 132
   
 《休憩》
 
 リヒャルト・シュトラウス
   交響詩《英雄の生涯》Op. 40


最後に予習について、まとめておきます。

いずれもベルリン・フィルのデジタル・コンサートホールで聴きました。

  ベルリン・フィルの2023/2024年新シーズン開幕コンサート
  2023年8月25日19時(ベルリン時間)、ベルリン・フィルハーモニー

  指揮:キリル・ペトレンコ
  管弦楽:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

詳しい視聴記事は以下に書きました。

  https://sarai2551.blog.fc2.com/blog-entry-4808.html
  
このとき、2度視聴しましたが、その後、1回、そして、本日ももう1回、計4回も聴きましたが、聴けば聴くほど、素晴らしい演奏です。



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テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

       キリル・ペトレンコ,        ベルリン・フィル,

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