ネーメ・ヤルヴィ+ウィーン交響楽団@ウィーンコンツェルトハウス 2011.4.9
先ほど偵察したコンツェルトハウスです。初めて中にはいります。今日はウィーン交響楽団の演奏会で指揮はネーメ・ヤルヴィ。CDでだけは特にショスタコーヴィチの交響曲を聴いてきた大指揮者です。あのころは彼の新しいショスタコーヴィチのCDを心待ちにして、聴いていました。当時はショスタコーヴィチ演奏の大本命でした。
ところで彼の息子のパーヴォとクリスティアンも若手のばりばりの指揮者です。息子たちの生演奏は聴いていますが、肝心の父親の生演奏は初めて。期待してしまいます。
今日のプログラムは前半が北欧音楽。
・グリーグ:抒情組曲
・スヴェンセン:弦楽合奏のための2つのスウェーデン民謡
・シベリウス:交響詩「クオレマ」より
第2曲《鶴のいる風景》
第1曲《悲しきワルツ》
《アンコール》
・シベリウス:アンダンテ・フェスティーヴォ
後半は休憩をはさんで
ケルビーニ:レクィエム ハ短調
ウィーン風の美しい弦の音色とネーメ・ヤルヴィの骨太かつ繊細な指揮がぴたっと合い、素晴らしい演奏でした。特にアンコールのシベリウスの素晴らしさには感動してしまいました。初聴きの曲だったにもかかわらずです。弦の響きと指揮が見事にマッチしての奇跡の演奏ともいえます。
さて、最初の北欧音楽はもともと抒情的な曲ばかりで、情緒に流された演奏だとBGM風にしかなりません。ネーメの指揮は芯の通った抒情性なので映画音楽のようにやわな音楽にはなりません。ウィーン交響楽団の美しい弦の響きをいかしつつ、底に秘めた音楽の本質をしっかりとつかみだしてきます。
特に顕著だったのが、《悲しきワルツ》です。息子のパーヴォは何故か、どんなオーケストラを指揮しても決まってアンコール曲は《悲しきワルツ》。演奏は美しいのですが、今日のネーメの演奏を聴いていると、パーヴォは若さの勢いで美しいだけの音楽にしていたことに気が付きました。ネーメは抑えた表現で内面的なやるせなさからくる抒情を見事に表現していました。これが年輪でしょうか。そして、その演奏に魅了されていると、突如、アンコール曲のアンダンテ・フェスティーヴォで一気に美しさの極みをウィーン響の弦から引きだしてしまいました。感涙ものの演奏でした。
後半のケルビーニ。初めはなぜこんなにマイナーな曲を選んだのか不思議でしたが、実に美しいレクィエムで聴き入ってしまいました。心に沁みとおってくるような演奏でとくに静かな部分は最高でした。特に変わった曲ではありませんが妙に胸をうつのはなぜだったんでしょうね。いずれにせよ、ウィーンでこそ聴けた曲で有り難いことでした。
パーヴォも頭で考えすぎることをやめて早く父親の域に達すればいいのにとsaraiの年相応の感想をいだいた素晴らしいコンサートでした。
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