シューマン・チクルス1日目:パーヴォ・ヤルヴィ+ドイツ・カンマー・フィル@東京オペラシティ 2010.12.3
パーヴォ・ヤルヴィとドイツ・カンマー・フィルハーモニー管弦楽団のコンビでの演奏です。
今年はシューマン生誕200年の記念の年。それにふさわしい企画です。
あまり、シューマンの管弦楽作品はこれまで聴いてこなかったので、これを機にしっかりと聴いてみましょう。
もともとシューマン自体はショパンよりも好きなくらいですが、どうしてもピアノ曲や歌曲を中心に聴いてしまいます。
それにこれまで聴いたシューマンの管弦楽作品は何か大時代的な演奏が多く、しっくりこなかったこともあります。
最近聴いたクーベリック+バイエルン放送交響楽団のCDはそんな感覚を払拭してくれる爽やかな名演奏で、それもあって今回のチクルスへの期待が膨らみます。
まず、今夜は次のプログラムです。
シューマン:序曲、スケルツォとフィナーレ Op.52
シューマン:交響曲第4番ニ短調 Op.120
《休憩》
シューマン:交響曲第1番変ロ長調 Op.38《春》
《アンコール》
ブラームス:ハンガリー舞曲第6番
ドイツ・カンマー・フィルハーモニー管弦楽団はその名の通り、規模の大きくないオーケストラです。ブレーメンが本拠地とのことです。ドイツのオーケストラですから、実力は期待できます。以前1度聴いた筈ですが、あまり記憶にないので、新たな気持ちで聴かせてもらいましょう。
最初の曲はいわば3楽章の小交響曲といえます。ただ、saraiはこれがCDも含めても初聴きなんです。初聴きって、めったにないことですが、新雪を踏みしめる感じで楽しませてもらいます。
悩ましい感じの動機で開始しますが、すぐに快活な調子に変わり、最後まで、明朗な音楽が続きます。演奏は素晴らしく歯切れがよく、明快な響きです。
初聴きなので何ともいえませんが、シューマンらしいよい曲です。そのうちにライブラリーに加えましょう。20分ほどの曲でした。
次は交響曲第4番。これは結構聴きこんだ曲です。
序奏に続き、テンポの早い軽快な演奏です。
パーヴォ・ヤルヴィへのインタビューによると、「この曲はシンプルで、特に論理的なところが一昔前のマエストロたちに好まれたところ」とのこと。
彼はそのマエストロたちの演奏のアンチテーゼか、きびきびとモダンな演奏です。ドライといってもいいくらい。saraiもこの傾向は前述のとおり、大歓迎と言いたいところですが少しやり過ぎかなと思うくらいです。よい演奏ではありましたが、何か違和感も残る演奏でした。もう少し、ロマン的、あるいは幻想的なところもあったっていいんじゃないかと思ってしまいました。
休憩を挟んで、最後は交響曲第1番「春」です。
これは曲自体もこの日の演奏もシンプルかつ明快でまさに春の祝祭という感じで素晴らしく文句なし。これぞ、シューマンです。
シューマンもクララとの新婚時代でまさに我が世の春という気持ちで明るい晴れやかな曲を書いたのですね。で、それをパーヴォは完全に引き出して、これは名演です。
saraiの気持ちまで晴れやかになりました。こういう音楽もいいものです。
もう、フィナーレなんか、スカッという感じで何の衒いもなし。
パーヴォの指揮は明快かつストレート。オーケストラは小規模なこともあり、完璧にドライブしていました。確信に満ちた指揮でした。それはそれでいいのですが、今後、オーケストラの自発性をどう引き出していくか、興味のあるところです。
ドイツ・カンマー・フィルは実に機能性の高いオーケストラです。ピリオド奏法ではありませんが、同一線上にあるモダン奏法と言えるのではないかと思います。こういうオーケストラは指揮者によって様々な色がつきます。いろんな指揮者で聴いてみたいオーケストラです。
今日はオーケストラの配置は第1ヴァイオリンと第2ヴァイオリンが左右に分かれる対向配置でした。明快な響きのオーケストラには合っているかもしれません。
今日演奏した3曲はシューマンが本格的に管弦楽作品を作曲し始めた頃に書いた同時期の作品です。第4番は初稿がこの時期に書かれ、この日の演奏は第2稿でしたが、ベースは同じなんでしょう。
明日はもっと後の時期の作品でよりロマン的な傾向が強い作品です。さて、パーヴォはどう料理するか、想像はできませんが楽しみです。
名曲の交響曲第3番「ライン」は圧倒的な演奏になるでしょうか?
↓ saraiのブログを応援してくれるかたはポチっとクリックしてsaraiを元気づけてね
いいね!

- 関連記事
-
- シューマン・チクルス2日目:パーヴォ・ヤルヴィ+ドイツ・カンマー・フィル@東京オペラシティ 2010.12.4
- シューマン・チクルス1日目:パーヴォ・ヤルヴィ+ドイツ・カンマー・フィル@東京オペラシティ 2010.12.3
- 生の炎:マーラー9番 ゲルギエフ+ロンドン交響楽団@サントリーホール 2010.12.1