贅沢な時間:ウィーン弦楽四重奏団@リリスホール 2010.11.23
初めて行く根岸線の本郷台駅すぐ近くのリリスホールでのコンサートです。
本郷台駅前の通りは紅葉真っ盛りで晩秋を感じさせられます。

今年は特に紅葉が綺麗だと配偶者が喜んでいます。
我が家の近くでも桜が真っ赤で黄金色の銀杏との組み合わせがとても美しく輝いています。
こんな時にはコンサートが似合いますね。それも室内楽はとてもよく似合います。
リリスホールは銀杏の木の向こうの階段の上に見えます。

広い階段を上るととてもモダンな建物が見えてきます。

左の塔は地下駐車場からのエレベータのようです。
正面の建物がリリスホールを含む複合施設です。
建物をはいると大きなロビーがあり、その向こうにリリスホールのエントランスがあります。

入館時間まで、まだ時間があったので、エントランス前の情報コーナーでインターネットで暇つぶし。ここは無線LANの無料サービスがあり、便利です。いつもsaraiはカバンにモバイルPCを入れているので、こんなときには役立ちます。
開場時間になり、ホールにはいります。
お決まりのCD販売コーナーがありますが、今日はCDを買えば、サイン会があるようです。CDをチェックすると、シューベルトの8重奏曲のCDがあります。ウィーン・フィルの腕利き奏者達の演奏ですから悪かろう筈がありませんね。価格もリーズナブル。思わず、手にとって、「これ、下さい!」。
さて、客席に向かいます。すごい急傾斜の座席の先がステージです。

これではどの席でも室内楽の響きをよく聴けそうです。
でも、今回、このホールで聴くことにしたのは、いわば穴場狙い。
昨日と明日は浜離宮朝日ホールでこのウィーン弦楽四重奏団のコンサートがあります。きっとそちらが混むだろうと思い、このホールでのコンサートを選びました。
で、その結果、今日の席は2列目のど真ん中です。
その席からはステージはこんな具合です。

どうです。真ん前での演奏です。まるでsarai達のためにコンサートを開いてくれるみたいです。
今日のコンサートについて紹介します。
まず、演奏は以下です。
ウィーン弦楽四重奏団
第1ヴァイオリン:ウェルナー・ヒンク(元ウィーン・フィルコンサート マスター)
第2ヴァイオリン:フーベルト・クロイザマー(ウィーン・フィル 第1ヴァイオリン首席奏者)
ヴィオラ:ハンス・ペーター・オクセンホファー(ウィーン・フィル ヴィオラ奏者)
チェロ:フリッツ・ドレシャル(ウィーン・フィル チェロ首席奏者)
まあ、ウィーン・フィルそのものといってもいいメンバーです。また、伝説的なウィーン・コンチェルトハウス弦楽四重奏団を継承している団体なので、よい演奏が期待できます。
プログラムは以下です。
ハイドン:弦楽四重奏曲第77番ハ長調「皇帝」
ドヴォルザーク:弦楽四重奏曲第12番ヘ長調Op.96「アメリカ」
《休憩》
モーツァルト:弦楽四重奏曲第19番ハ長調K.465「不協和音」
《アンコール》
モーツァルト:弦楽四重奏曲第17番変ロ長調K.458「狩」より第3楽章
良くも悪くも名曲コンサートです。楽しければ、それでいいでしょう。
まずは「皇帝」です。
ど真ん前から弦の音がばんばん響きます。
これは贅沢です。
演奏者の顔のしわまで見えるほどです。
よく知っている曲ですから、メロディーラインを弾く奏者に予測しながら目を転じながら聴くという感じです。
有名な第2楽章。主題提示が終わり、第1変奏はヴァイオリンのデュオという変わった構成です。主題を第2ヴァイオリンのクロイザマーが奏で、第1ヴァイオリンのヒンクが高音の分散和音で修飾しますが、この演奏の美しいこと、うっとりです。その後、ヴィオラのオクセンホファーが主題を奏で、第1ヴァイオリンと第2ヴァイオリンが伴奏する部分もヴィオラがよく響き、これもうっとり。
晩年のハイドンの見事な作品をミニのウィーン・フィルが演奏するという感じで素晴らしい出来でした。ウィーン・フィルの艶やかで流麗な弦の響きそのもので期待どおりの演奏でした。
次は「アメリカ」です。
先程のハイドンから一転して、これは力のはいった演奏です。特に第1ヴァイオリンのヒンクの熱っぽさが伝わってきます。
すみずみまで熟知している曲ですが、実演ならではの感銘があります。
昔聴いたスメタナ弦楽四重奏団とはかなり違った演奏ですが、とても流麗で美しい演奏でこれはこれでなかなか楽しめます。
満足のうちにフィナーレ。大拍手です。
休憩後は「不協和音」です。
モーツァルトとしては、そんなにメロディアスではない曲でポリフォニーの響きが目立つ曲ですが、これも美しい響きで、saraiはその響きのなかにゆったりと心を委ねて漂う感じです。
何もいうことはありません。
ウィーンの響きでのモーツァルト。それがすべて。
アンコールの「狩」。これもさらに美しいウィーンの響き。陶然とします。
今年はハーゲン弦楽四重奏団がスケジュールやなにやかやで聴けなくて残念でしたが、このウィーン弦楽四重奏団が聴けて満足です。
ハーゲン弦楽四重奏団はアクセントの強い独特な演奏スタイルで大好きですが、このウィーン弦楽四重奏団はスタンダードな演奏スタイルながらもウィーン・フィルと同じ傾向の弦の響きの美しさで魅了してくれました。
コンサート終了後はもちろんサイン会でみなさんのサインをいただきました。
「グリュス・ゴット!」って言って、握手までしていただき、「ダンケ・シェーン」。
晩秋の1日を音楽で楽しみ、今日も幸せでした。
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