モーツァルト《ピアノ協奏曲第20番・27番》内田光子+クリーブランド管弦楽団@サントリーホール 2010.11.16
今日のコンサートは大満足でした。
正直、1昨日は後半はともかく前半の23番で期待外れで完全燃焼できないモヤモヤが残り、そのため、今日も不安な気持ちで演奏を待ちました。
が、今日は最初の20番ニ短調のピアノの最初の一音から違いました。美しいピアノの響きです。また、このニ短調のピアノ協奏曲はよくデモーニッシュと表現されますが、この日の演奏は短調の曲らしい荘重さはありますが、全体としては暗さをあまり感じさせない流麗な演奏です。しかし、決して、モーツァルトの本質を見失っていない演奏です。ピアノが全体を支配し、それにオーケストラを融合し、繊細に美しく歌わせるというスタイルを内田光子が見事に作り上げています。
また、このニ短調の協奏曲で特筆すべきはカデンツァです。大きな強弱をつけた深い表現、間をとるための静寂によるより深い表現、精神性の実に高い表現はピアニズムの神髄ともいうべきものです。第1楽章のカデンツァはそれだけを聴くだけでも今日のコンサートに来る価値があるといっても決して過言ではありません。第3楽章のカデンツァも同様に身震いするほどの演奏でした。即興性を感じさせる演奏でもありました。いくら賞賛してもしきれない素晴らしいカデンツァでした。
そして、休憩後の27番の協奏曲は見事だった前半の20番をさらに超越した素晴らしい演奏です。
ピアノが主導し、オーケストラを歌わせる第1楽章。
繊細で美しさの極みの第2楽章。
明るく、ドラマチックな第3楽章。
ピアノが自在にテンポを変え、美しいメロディーを歌わせていき、オーケストラもそれにぴったりと合わせる。これこそ、弾き振りの醍醐味です。
それにピアノの音の響きの美しいこと、まったく素晴らしい!!
今日は指揮者、ピアニスト、まさに二人分の内田光子が存在しました。
クリーブランド管弦楽団の演奏も見事で、特にフルートの見事な音色にはため息の出るほどです。
これ以上、saraiの筆力では表現ができないのがもどかしいほどの素晴らしい演奏でした。
今日のコンサートの紹介をしておきましょうね。
プログラムは以下です。
モーツァルト:ディベルティメント ニ長調 K.136
モーツァルト:ピアノ協奏曲第20番ニ短調 K.466
《休憩》
モーツァルト:ピアノ協奏曲第27番変ロ長調 K.595
《アンコール》
なし
演奏は以下です。
ピアノ&指揮:内田光子
管弦楽:クリーブランド管弦楽団
最初のディベルティメントは1昨日と違い、弦楽の響きはピュアー。
少し、抑揚に欠ける面はありますが美しい演奏。
続く2曲のピアノ協奏曲は全く言うことなし。満足です
内田光子はアラビア風の衣装がよく似合い、大きな手振りもチャーミングでやはり、日本人演奏家という枠を超えた名ピアニストだと感じました。
また、内田光子はピアノだけのリサイタルも聴いてみたいものです。
来年もサントリーホールで演奏するようですが、リサイタルがあれば是非行きたいと思っています。モーツァルトでもベートーヴェンでもシューベルトでもすべてOKです。
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