庄司紗矢香ヴァイオリン・リサイタル@彩の国さいたま芸術劇場 2010.10.31
この秋、彼女が久々に出すCD:ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ集のCDのリリースにあわせて、リサイタルのシリーズが予定されています。
saraiもこれは聴き逃せないと思い、サントリーホールでの公演の日程を調べると、残念ながら、長期のドライブ旅行中で行けそうにありません。
ほかのホールでの予定もどうも合いそうになく、これは聴けない、残念と思っていた矢先、今日の公演を発見。
saraiの住む横浜からは少々遠いですが、同じ首都圏、行けなくはありません。そのホールが彩の国さいたま芸術劇場です。
もちろん、初見参です。埼京線の与野本町が最寄駅ですね。
延々と電車を乗り継いで、駆けつけました。
本日のプログラムは以下のオール・ベートーヴェン。
ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第8番
ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第5番《春》
《休憩》
ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第9番《クロイツェル》
《アンコール》
ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第7番より第3楽章
演奏は以下。
ヴァイオリン:庄司紗矢香
ピアノ:ジャンルカ・カシオーリ
で、予習したのは以下のCD。
ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第5番《春》
クレーメル、アルゲリッチ
録音もよく、よい演奏です。少し、ピアノのアルゲリッチの存在感が強いかな。
ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第8番
ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第9番《クロイツェル》
オイストラフ、オボーリン
かなり古くなってしまいましたが、やはり、これは名演奏です。
オイストラフの鋭く気迫に満ち、それでいて美しいヴァイオリンの魅力には何度聴いても感動します。特にクロイツェルは若い頃から何度聴いたことか、昔はLPレコードだったので、盤がすりきれるほど聴いた演奏です。残念ながら、CDにはあのLPのような艶やかな音がありませんが、それでも素晴らしい。
さて、まず1曲目は第8番、割と地味な曲です。
第1楽章、変な表現ですが、庄司紗矢香のヴァイオリンはベートーヴェンの音色になっています。ベートーヴェンを弾いているので当たり前ですが、ちゃんとベートーヴェンらしい雰囲気を醸し出すのは意外に難しいと思います。彼女はそれがしっかりとできています。
変なことに感心しているうちに第2楽章。これは弱音をうまく使って、繊細な表現で弾いています。彼女の音楽の世界に引き込まれていきます。この曲はこんなによかったのか記憶にありません。心のこもった音楽です。
次はスプリング・ソナタ。あまりにも有名な名曲中の名曲。
出だしのメロディーが特に有名ですね。
でも、意外になかなか気に入った演奏に出会いません。
この日の庄司紗矢香の演奏はsaraiの理想の演奏に限りなく近いものでした。実に爽やかでロマンの香りがたっぷりです。
不満はピアノとのバランスが少し悪いこと。ピアノが少し音を出し過ぎって感じです。ここは庄司紗矢香にあわせて、繊細な表現をお願いしたいところでした。
第2楽章もデリケートな表現です。なかなかいい感じ。この日は特に緩徐楽章の繊細な表現に惹かれます。庄司紗矢香のさらなる進歩でしょう。
で、休憩を挟んで、3曲目はお待ちかね、クロイツェル・ソナタ。
一体、庄司紗矢香がどう弾くのか、楽しみです。
最初の序奏のヴァイオリン独奏の素晴らしい響きに感嘆です。
最近の彼女のヴァイオリンは高域から低域まで実にバランスの取れた美しい響きを聴かせてくれるようになりました。完全に新しいストラディバリウス《レカミエ》を自由自在に弾きこなすようになりましたね。昔はボリュームのあるたっぷりした低音に比べて、高音の美しさがもう一つって感じでしたね。
このクロイツェルはCD録音のために相当弾きこんだようで、思いっきりの演奏で気持ちよく聴けます。ヴァイオリンの響きの美しさが素晴らしい!
演奏スタイルはオーソドックスですが、個性的な演奏はこれからの楽しみにしましょう。
そうそう、この曲ではピアノのバランスもよくなってきました。やはり、弾き込みが重要ですね。
今夜のリサイタルは大変満足でした。アンコール曲は以前も全曲聴いて感銘を受けましたが、今日の演奏も満足。
満足の拍手を送りながら、リサイタルは終了。
で、最後のお楽しみ。
今日は庄司紗矢香のサイン会があります。
目の前で彼女の新しいベートーヴェンのソナタのCDにサインをいただきました。彼女の初サインです。自分の娘よりも若い彼女のサインをもらってルンルンしているsaraiを見ながら、配偶者は呆れ顔。いいもん!!
この記事は帰りの電車の中で書いて、電車の中からWIMAXで速攻でアップしました。
次の音楽ネタはいよいよこれも待ちに待ったウィーン・フィルの来日公演です。指揮者交代劇はすったもんだでしたが、結論としてはsaraiの望み通りのジョルジュ・プレートル。本当に聴けるのでしょうか。きっと、ウィーンはsaraiを失望させることはないでしょう。プレートルはどんな演奏でsaraiを魅了してくれるか、正直、期待と不安ないまぜです。
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