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感動のハイドン《天地創造》byアーノンクール+ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス@サントリーホール 2010.10.29

筆舌尽くしがたしという言葉がありますが、真に素晴らしい音楽は言葉で表現のしようがないものです。まさに今日のコンサートはそれにふさわしいものでした。

ウィーンからの贈り物。それもとっておきの感動をともなったものでした。
今夜はアーノンクール+ウィーン・コンツェントゥス・ムジクスの来日コンサートで2度目に聴くコンサートです。ウィーンからの演奏家がウィーンの大作曲家ハイドンの名曲を演奏し、サントリーホールがウィーン音楽に満たされました。ウィーン好きのsaraiにとって、それだけでも幸福なことです。

それにしてもハイドンでこんなにウルウルになるほどの感動が味わえるとは思ってもみませんでした。もちろん、今年、最大級で期待していたコンサートではありましたが、ハイドンがこんな素晴らしい作曲家だとは恥ずかしながら、saraiには少しも分かっていませんでした。
で、今夜のハイドンのコンサートが火曜日にサントリーホールで聴いた同じアーノンクール+ウィーン・コンツェントゥス・ムジクスのバッハのロ短調ミサ曲をはるかに凌駕するコンサートになろうとは予想だにしませんでした。無論、今年1番のコンサートでしたし、生涯、何度聴けるか分からないほどの素晴らしい超名演でした。
一生、saraiの頭の中に今日の響きが残っていくでしょう。

さて、そろそろ、今夜のコンサートのおさらいにはいりましょう。
3日前は大変人間的なぬくもりに満ちたバッハのロ短調ミサ曲でしたが、今夜はハイドンの最高傑作といわれるオラトリオ《天地創造》です。

演奏はバッハとほとんど同じ、以下のメンバーです。
 
 ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス
 指揮:ニコラウス・アーノンクール
 ソプラノ:ドロテア・レッシュマン
 テノール:ミヒャエル・シャーデ
 バリトン:フローリアン・ベッシュ
 合唱:アーノルト・シェーンベルク合唱団


予習したCDはほとんど同じメンバーのCDでバリトンだけがゲルハーヘルです。このCDはお得なアーノンクール宗教作品BOXに含まれており、このBOXには、ハイドンのオラトリオで双璧をなす《四季》やヘンデルの《メサイア》やモーツァルトの《レクィエム》などが集められています。バッハのロ短調ミサ曲は録音がかなり古いので、このBOXには含めれていません。今回の来日メンバーを主体とした再録音が待望されます。

今夜のハイドンのオラトリオ《天地創造》は日本でこれだけのメンバーで聴ける稀有の機会と言えるでしょう。絶対に聴き逃せないと思い、無理してチケットを購入しました。
で、繰り返し、CDで聴き、頭の中にイメージを作り上げていました。
が、やはり、音楽ホールで聴く生演奏はCDとは比較になりません。

バッハのロ短調ミサ曲の演奏について、古楽器のことにについてずい分触れましたが、今夜の演奏はオーケストラの規模が大きく、多分、ウィーン・コンツェントゥス・ムジクスのフルメンバーということもあり、冒頭から古楽器を感じさせない自然な響き。saraiの耳も慣れたのかしら?
ロ短調ミサ曲では鍵盤楽器はオルガンでしたが、今夜は珍しいフォルテピアノ。ちゃんと聴くのはおそらく初めてです。
ときどき、ホルンの節回しがきれいに演奏できていないところでピリオド楽器だということを思い出す程度です。
ともあれ、素晴らしい響きで弱音の効果を最大に活かし、最強音との対比が見事です。アーノンクールの音楽作りの丁寧さが随所に光ります。

また、合唱の素晴らしさ、パーフェクトなのはバッハのときと同様。ただ、横に大きく広がった配置で声の広がり、響きが尋常ではなく、美しく、圧倒的です。
バッハよりも出番は少ないものの、それだけに珠玉の合唱といっても過言でありません。第2部の最後のハレルヤ、そして、第3部の終曲であるアーメン、涙なしには聴けません。第3部の終曲であるアーメンの対位法的な歌唱のバランス・響きはなんという素晴らしさ。

歌手陣では、みんな好調で聴き映えがします。ロ短調ミサ曲では幻滅したバリトンのベッシュも柔らかい声のアリアから力強い表現まで自由自在。テノールのシャーデは相変わらず好調。明るいハイトーンが伸びやかさは、誰にも真似できないでしょう。
で、今日一番はソプラノのレッシュマン。この曲はそもそもソプラノの出番が多いのですが、すべては素晴らしい美声で、完璧に歌いきり、もう、saraiは満足以上の何者でもありません。どのアリアもうっとり。持ち前のよく澄んだ美声に加え、芯のある強い声はもう無敵です。彼女の歌うフィガロの伯爵夫人も立派ですが、今夜の歌唱はそういうレベルではありません。これだけ歌えるソプラノはこの曲に関する限り、誰もいないでしょう。素晴らしいソプラノです。

アーノンクールについては、これから聴くことがあるとすれば、ウィーン訪問でたまたまスケジュールがあったときになりますね。もしかしたら、ラストコンサートかもしれません。最後に最高のアーノンクールを聴けて幸運でした。
この日のアーノンクールはすべてを掌中に収め、完璧なコントロール。当たり前のことでしょうが、強弱のつけかたが素晴らしい。また、ハイドン特有の節回しを丁寧に丁寧に表現していたのが印象的でした。これでハイドンの素晴らしさが如何に引き出されたか、何度も何度も感じました。

アーノンクールが何故、地味とも思えるハイドンを最後の演目に選んだのか。
とてもよく分かるコンサートでした。
少なくともsaraiはハイドンを不当に評価していました。
この曲の公開の場での初演はウィーンのブルク劇場でフォルテピアノはサリエリ、指揮はハイドンで180名の大演奏陣で、ベートーヴェンも聴衆の一人として駆けつけたそうです。モーツァルトは既に亡くなっていましたね。
このハイドンの大傑作を最後の日本公演でウィーンからの贈り物にしてくれたんですね。日本の聴衆の一人として、確かにこの贈り物、受け取りました。心に残る贈り物です。明日の聴衆も同様に贈り物をもらえるでしょう。あれ以上の演奏は難しいでしょうが、あれ以下の演奏も考えられません。

アーメンという歌声とともに演奏は終了。いつまでも聴いていたかったのですが、流石の大曲もあっというまに時間が過ぎ、フィナーレ。聴衆の拍手が始まり、アーノンクールが歌手たちをステージの中央で迎えます。そのときのアーノンクールの優しそうな笑顔、初めてみました。レッシュマンを温かく見つめながら、手を取り合い、ねぎらいの言葉。これもひとつのドラマ。こちらの心も熱くなります。

バッハのとき以上の会場の盛り上がり、演奏者たちも嬉しそうで、こちらも嬉しくなりました。
今日のサントリーホールは前回のバッハと違って、結構、空席も目立っていました。それだけに今日詰めかけた聴衆は本当に今日のコンサートを楽しみにしていた人達ばかりでしょう。ハイドンの傑作とは言え、日本では演奏機会も比較的少ない作品なので、余程好きな人達でしょう。
事実、コンサートの冒頭のしーんと静まり返ったホールの様子はただならぬもので、きっと、演奏者にもその期待感は届いたと信じます。
コンサートは昔の作曲家の作品を足掛かりに演奏家と聴衆が作り上げるものだと思っています。それらが1体になったとき、今日のような奇跡のようなコンサートが生まれるものだと経験上、考えています。
そういう場に居合わせたことは何者にも代えがたい幸せです。

サントリーホールから家に帰る電車の中で、コンサートのこと、人生について、深く思いを巡らせていたsaraiでした。
人生の中でこういう時間を持てるのは何と贅沢なことでしょう。



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テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

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オペラ・美術が大好きでヨーロッパの旅にはまっています。音楽の聖地ウィーンが中心で、イタリア、フランス、ドイツも巡っています。国内外のオペラ・コンサートの体験もレポートします。

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最終公演に行きますが、ムーティ&ウィーン・フィルは渾身の力で凄い演奏を聴かせてくれますよ。特にシューベルトは有終の

11/09 22:13 sarai

尻上がりに素晴らしくなりました!
あの弦の響きにもうハマるのですよ!
あと2公演ありますが、もう既に同じプログラムを2回演奏しているので、ますます良くなるか、ち

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